2014年11月号

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アマチュア無線用ソフト紹介 その1

UKの無線雑誌「RadioUser」10月号のsoftware spotページ(QSP73著)に掲載されたアマチュア無線用の各種ソフトを、同誌の許可を得て紹介する。それらには、デジタルボイス、アンテナの解析、モールス符号の習得、デジタルモードの運用、QSOログ、安価なSDRを使ったスペクトラムアナライザーなどが含まれている。

なお、今回紹介するソフトは、1枚のDVD ROMに納められており、文末でそのDVD ROMの入手方法を紹介するので、ご参照いただきたい。

FreeDV

FreeDVはHF帯でデジタルボイス通信を行うためのフリーウェア。このソフトウェアを使うと、低ビットレートのデジタルボイス(DV)の運用ができる。音声は1.6kbpsでデジタル化され、1.25kHzという狭帯域の16QPSKで変調された信号を、無線機のマイク端子から入力し、SSBモードで送信する。受信時もSSBモードを使い、FreeDVを使ってデコード(復調)する。S/N比が2dB以下、または1~2WでのQRP運用でも通信できたとの報告がある。

アマチュア無線は、1950年代から1960年代にかけてAMからSSBに移行したように、昨今はアナログからデジタルに移行しつつある。無線機メーカーによりアマチュア無線のデジタル技術が特許で固められてしまうと、通信実験も含めて決められた技術を使用しなければならないことになるが、FreeDVでは、特許の制約を受けることなく、通信実験を自由に楽しめる。

FreeDVの特長は、音声のエンコード/デコード(コーデック)を含めて、ソースコードが100%開示されている点である。そのため、FreeDVを使うことで、メーカー製無線機によるデジタル通信だけでなく、ユーザー自身がデジタルモードの各種実験を楽しみ、新しい技術に挑戦することができる。

Open Digital Voice

このソフトウェアは、アマチュア無線のデジタルボイスのプロトコルをオープンソース化することを目的としたプロジェクトの最新版である。クライアントPC、レピータおよびゲートウェイでも使用できる。

RTLSDR Scanner

パソコンで操作できるドングルタイプのSDR(ソフトウェア受信機)をすでに使用中、あるいは、購入検討しているハムに有効なソフトウェアである。

このRTLSDR Scannerは、USBドングルタイプのデジタルテレビ(DVB-T)チューナー用スキャンソフトウェアの最新版で、安価なドングルとの組み合わせで簡易型スペクトラムアナライザーとして使用することができる。

このソフトウェアは受信周波数を中心とした一定の周波数範囲をスキャンし、その結果を平均化することで、チューナーの周波数特性を上げている。GUIまたはコマンドラインからの操作で広帯域スキャンができ、スペクトラムアナライザーの解析結果はビットマップ、ベクター、CSV、PDFなど各種フォーマットでの出力に対応している。なお、別ファイルでPDF版の取扱説明書がDVD ROMに収録されている。

RTL-SDR Panoramatic Spectrum Analyzer

このソフトウェアは、限定した帯域の周波数スペクトルを同時受信し、蓄積することで任意の帯域幅でイメージスペクトラムをリアルタイムに映し出す。

表示速度は接続するUSBに依存するが、RTL-2832/R820ベースのDVBチップを使用すると、通常は24MHzから1.75GHzまでの間の数MHzを表示できる。このソフトウェアは、同調している周波数の前後を監視できるので、出現波の見逃しを抑止できる。

QAntenna

このソフトウェアは、アンテナ輻射パターンの分析や表示ができるフリーウェアである。輻射パターンは3Dで表示され、ズームや回転もできる。これはオープンソースのソフトウェアで、マルチプラットフォームでの操作や、複数アンテナの輻射パターンの同時表示、さらにスナップショットの生成もできる。

QRadioPredict

このソフトウェアを使用するとVHFやUHFの電波伝搬予測や通信可能範囲の分析ができる。さらに無線機での通信可能範囲を可視化するだけでなく、レピータサイトの計画ツールとして使うこともできる。

背景画面には、OpenStreetMapタイルかフリーの衛星写真を使用するが、高解像度の衛星写真やGoogle Mapにも対応している。4NEC2またはNEC2互換のアンテナ設計プログラムで作った輻射パターンが使用でき、同時に異なる周波数の信号品質を予測できる。

また、ユーザーによって定義された時間で分類したAPRS局や、コールサインのプリフィックス、またはSSIDで分類したAPRS局を表示できる。さらにAPRSクライアントを内蔵しているため無線局の種類をアイコン表示できる。

Qsorder

Qsorderはコンテスト用のレコーダーである。2012年にN1MMコンテストロギングソフトウェアから削除されたQSO録音機能をこのソフトで復活できる。このソフトウェアはメモリーにバッファーを保持し、ロギングソフトウェアから送られてくるUDPブロードキャストを受信する。このブロードキャストをトリガーとして、設定された時間の経過後に音声バッファーの内容をファイルに変換する。よって、QSOがログに入力された後、録音された音声ファイルが該当するログに添付される。

Minos Contest Logging Software

これは、G0GJV Mike Goodey氏が作成したVHF/UHFコンテスト用のロギングソフトウェアで、RSGBやITU第1地域のコンテストに対応し、リアルタイムロギング、事後入力、提出用ログファイルの作成などができる。さらに、スコアの即時計算、1キロメートルあたりのポイントやQSO毎の固定ポイントの計算、デュープの自動チェック、過去のコンテストからのコールサイン参照、各種フォーマットに対応したエントリーログの作成、ADIF形式での出力、グリッドロケーター計算、定義済みのコンテストと無線局設定の読み込み機能がある。

TrueTTY v2.95

これは2014年8月18日に最新版がリリースされた人気のソフトウェアで、サウンドカードを搭載したパソコンを使い、下記のような多種にわたるデジタルモードを楽しむことができる。
・Baudot RTTY
・ASCII (7 or 8-bit)
・PSK31 (BPSK/QPSK)
・BPSK63
・QPSK63
・BPSK125
・AMTOR FEC (SITOR-B, NAVTEX)
・MultiFSK-8
・MultiFSK-16

なお、HF-PACKETとUHF-PACKET (AX.25)は、KISS-TNCのエミュレーションモードでサポートされている。また、SELFEC SITOR、AMTOR-ARQ(SITOR-A)、そしてDTMFのデコードもできる。

必要なものは、無線機とサウンドカードを搭載したパソコンだけで、無線機にPTT制御端子があれば、このソフトウェアを使うことができる。また、このソフトウェアには、送信に関するマクロがたくさん用意されており、簡単にデジタルモードの通信が行えるようになっている。

CW_Player 4.2.8

CW_Playerは、最近アップデートされたばかりのモールス符号習得用のフリーウェアである。必要なものは、サウンドカードを搭載したパソコンで、Windows 8にも対応している。また、トランシーバーからの自動CW送出機能や、初心者用メニューも搭載されている。さらに、このソフトウェアには、WAVファイルをMP3ファイルに変換する機能も搭載されている。

SAT_Explorer 3.1.9

最近アップデートされたばかりのSAT_Explorerは、アマチュア衛星の追尾とアンテナの自動制御機能を備えたフリーウェアである。各種のトラッキングインターフェースを備え、無線機とアンテナをコントロールするシステムであるTRX-Managerに対応している。

AziWorld 2.0.8

AziWorldは、指定した場所を中心としたカラーの大圏地図を表示する最新のフリーウェアである。ビットマップイメージファイルを保存すると、お好みのグラフィックソフトウェアを使って簡単に加工することができる。

リストから任意のDXCCエンティティを選ぶと、指定位置からの方位角と距離を計算して、大圏地図上に表示する。さらに、下記のソフトウェアAziPointと組み合わせて使用することで、選択したDX局に自局のアンテナを自動的に向けることもできる。

AziPoint 2.2.2

AziPointは、アンテナの回転を制御するためのシンプルなフリーウェアである。このソフトウェアは単体で使用できるだけでなく、AziWorld、Beam_DXまたはN1MM Loggerと組み合わせて使用することもできる。AziPointは、これら3つのソフトウェアのいずれかから送られてきた方位データを読み込み、選択したアンテナインターフェースを制御する。

Simplex 2.1.9

Simplexは、無線機をレピータとして使用するためのフリーウェアである。シンプレックス、デュプレックス、トランスポンダーとして操作でき、サウンドカードを搭載したウインドウズパソコンで動作する。(対応OSはWindows 95からWindows 8) 最新版には、タイムビーコンなどの、各種録音機能が装備されている。

Intercom 2.0.3

Intercomは、最近アップデートされたばかりの遠隔操作用のフリーウェアである。音量や周波数などのUp/DownやPTT操作などができ、ケンウッドのTMD700/710/V-71や、その他の無線機の遠隔操作ができる。送受信の切り替え、周波数の設定、メモリーチャンネルの選択、送信出力の設定といった基本操作コマンドは、TCP/IPによるインターネット経由で無線機に送ることができる。

さらに、上記のSimplexと組み合わせて使用することで、VHF/UHFレピータと近傍のレピータを接続することができる。SimplexによるDTMFのデコードにより遠隔操作のコマンドが送信され、TCP/IPを利用してIntercomにコマンドが再送される。これにより、無料かつ簡単に遠隔操作を行うことができる。

頒布について

10月号のソフトウェア集DVDの中には、7月号、8月号、9月号で紹介した下表のソフトウェアも含まれている。

このDVD ROMは、RadioUser誌に代わってQSP73が頒布している。

●頒布価格
5ポンド (郵便振替、現金郵送、ペイパル利用他) 日本からの注文でも同額
(現金郵送の場合は10米ドル紙幣でも可)

●問い合わせ先
Eメール software@qsp73.co.uk
電話 +44 02380 236429 (ただし、現地時間の夜間または週末のみ)

●注意
QSP73はソフトウェアをコピーして配布しているだけのため、DVD ROMの購入者は、ソフトウェアを購入するわけではない。そのため、いくつかのソフトウェアは登録するまで機能が制限される場合がある。

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