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Japan Castles On The Air (JACOTA)

Castle 2 福知山城 (京都府福知山市)

JO3SLK Greg Cook (翻訳 JP3DOI 正木潤一)

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歴史ある日本のお城や城跡で無線を楽しむJACOTA(Japan Castle On The Air)シリーズの第2回目です。今回訪れたお城は京都府福知山市にある福知山城です。福知山城はもともと1572年に建てられ、1580年に同じ場所に再建されました。日本の多くのお城と同様、明治維新(1868年~1880年頃)のなか1872年に取り壊されました。1986年に天守が地域住民の活動により復元されました。城内には郷土資料館が併設されています。城内にある「豊磐井」(とよいわのい)と呼ばれる井戸は、お城にある遺跡としては日本で最も深い井戸です。

私は、ここを数週間前にも訪れ、その際にお城と資料館の責任者を兼任する方と話しをしたのですが、なんとその方もアマチュア無線家ということもあって、ここで無線を運用することを快諾していただきました。前回の記事でも書きましたが、施設のスタッフの方に会って自分がやりたいことをちゃんと伝えて許可をもらうことが重要と思います。

天気予報ではその日(金曜日)は雨とのことでしたが、その次の月曜日が祝日で土日と合わせて3連休となることから、週末を通して訪問客が多くなると判断して一か八か金曜日に行ってみることにしました。残念ながら天気予報どおりでした。午前中に少し止むことはあっても、ほぼ終日雨でした。時々、雨が止む間を縫って写真を撮ることができました。


福知山城は福知山市内を見下ろす小高い丘の上に建てられています。元々は、代々この地を治めていた武士の土地に建てられたとのことです。下の写真は、お城の建つ丘の麓にある駐車場から撮ったものです。天守へはそこから歩いて15分くらいです。城内へは、かつて堀の一部だった水濠に掛かった橋を渡ります。


今回の運用には、近所のホームセンターで買ったカートを持ってきました。それにアンテナ機材一式、IC-705、傘、レジャーシート、カメラを積み込みました。駐車場と天守の近くを何度も往復するには遠すぎるので、一度で運べるようにするためです。


天守までの道はけっこう長くて急な坂です。荷物を満載したカートを引いて歩くのは本当に骨が折れました。天守のある小高い丘の頂上にようやく着いた時にはへとへとでした。もし足を滑らせてカートから手を離してしまうと、カートと荷物は轟音とともに坂を転がり落ち、物や人にぶつかってしまっていたでしょう!


天守はとても綺麗に復元されています。坂の角を曲がると現れる天守を見ると「すごい!」と思うはずです。福知山城の石垣は様々な大きさや色の石がいろんなパターンで「野面積み(のづらづみ)」方式で積まれています。壁に使われている木材も、復元されてからまだそれほど経っていないように見えるのもすごいです。


天守を背に振り返ると、天守の城門があります。入口から向かって右手に小さな神社があり、先に触れた井戸「豊磐井(とよいのい)」がその傍にあります。この写真の右に城内へと入る時にくぐる大手門があります。


今回の運用場所として、城内の隅っこを選び、そこにカートの荷物を下ろして雨除けにカバーを掛けました。足を止めて「外国人が何をしてるんだろう?」と見つめる人はあまりいませんでした。たしかに、私に何をしているのかを尋ねる人も中にはいましたが、驚いた様子を見せながらも、アマチュア無線をお城で運用するということを知ってもらえました。


自慢の米国製のポータブルアンテナBuddipole®に付属する2本の支持材とホイップアンテナエレメントで7MHzバンドのアンテナを組みました。カウンターポイズを、同じくBuddipole®に付属するVersaTeeアダプターに取り付け、生垣の稜線に沿って張りました。カウンターポイズが地面から1mくらい高さになるよう、端をそのあたりの木の枝に結びました。ローディングコイル上にある、運用バンドに応じたタップ位置を選び、アンテナアナライザーでSWRを確認しました。カウンターポイズの長さを少し調整しただけで、センター周波数のSWRを1.5まで下げることができました。私自身も、そして大事なIC-705やログブックが雨に濡れないように、3脚には傘を取り付けました。ちょうどそのときはコンテストの最中で、7MHzバンドは強力局でひしめき合っていました。


おまけに、常にS5からS7レベルのノイズが受かっていたのは予想外でした。これは、たくさんのアンテナが設置されているマイクロ波中継回線の鉄塔が原因しているのではないかと思います。初めてここに来た時、「すごく高いアンテナの鉄塔があるなあ」とは思いましたが、まったく気に掛けませんでした。鉄塔には、業務用無線に加えて警察や消防の無線用と思われるVHFやUHF帯のアンテナが沢山付いています。


また、近くに無線監視カメラや鉄道の直流1500V架線があり、さらに駅舎もここからそれほど遠くない位置にあります。


無線機やアンテナをセットアップした後、何度かSSBでCQを出したのですが応答なし。聴こえるのは他のCQを出している局とそれに応答する局ばかりでした。再び雨が降り始め、今度はいよいよ強くなってきました。傘が小さすぎて私の体もリグもログブックも濡れてしまいました! こんなに悲惨な状態では運用を続けることが難しくなってきました。


スマホで天気予報をチェックすると、30分以内に雨がさらに強くなり、それが1、2時間は続くような予報でした。そこで私はもう店じまいしたほうがよいと判断し、荷物をまとめて駐車場に停めた車に戻りました。結局、たった1時間程度の運用となってしまい、雨とノイズに見舞われて不満が残ることになりましたが、それでもとても楽しかったです。

こうして歴史的な場所で運用できる機会が得られ、ハムの方(福知山城公園の管理者)ともお会いできたし、素敵な福知山城の写真も撮れました。自宅から福知山城へ2時間半運転して訪れた価値はありました。

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次号は 12月 1日(木) に公開予定

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