2016年11月号

トップページ > 2016年11月号 > Masacoの「むせんのせかい」~アイボールの旅~/第10回 国立極地研究所と第58次日本南極地域観測隊の皆さん

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来年の運用当日のコンディションが良いことを、お空の神様にお祈りしなくちゃ!!
ではここで、今回集まっていただいた隊員の方をご紹介しまーす♪


齋藤さんと藤原さん

★齋藤さん
「電気設備を担当しています。基地内の電気の維持ですね。今回が初めての南極。自分から希望しました」
――電気が途絶えたら大変ですもんね。お仕事頑張ってください!!

★藤原さん
「観測隊の通信と保守を受け持ちます。日本との連絡はインテルサットの電話もできますので。あまりアマチュア無線をやる時間は取れないかもしれません…」

――日本への電話代はめっちゃ高いんですか~?
「昭和基地では国立極地研究所(極地研)の内線扱いで電話できます。もし自宅に電話連絡したい場合は、極地研から自宅までの通話料金がかかります」

――へぇ~!そうなんですね!それだったら連絡も取りやすい~!


吉川さんと鈴木さん

★吉川さん
「担当は超高層大気観測です。これで3回目の参加になりますけど、私の場合は一度日本に帰ってくると、“また南極に行きたい!”という気分になりました。中には“1回行ったらもう十分”という方もいるようです(笑)」

――長い越冬隊の生活で、ホームシックになられる方はいらっしゃらないのかなぁ?・・
「中にはいるようですね。でもインターネットも電話回線もありますから」

――あ、インターネットもつながるんですね。じゃあ、私の歌の動画も見て下さーい(笑)!
「インターネットは回線が細いので…、日本のように高速で快適にというわけにはいかないんです。前回は8J1RLで交信したログデータを上げたりしていましたが、あの程度が限界ですね。画像をアップすると時間がかかったり、途中で切れてしまうこともあります」

★鈴木さん
「今回初めて南極に行きます! 同じく超高層大気観測を担当しています。無線アンテナのメンテナンスもする予定です。アマチュア無線のコールサインは間もなく来ると思います。日本ではアマチュア無線でオンエアした経験はありませんが、南極から交信したいですね」
――初オンエアが南極からって素敵やなぁ!YLさんは日本国内で電波を出してもモテモテなので、鈴木さんが8J1RLで出たら猛烈なパイルアップになるかもしれませんね~。


葛西さんと大江さん

★葛西さん
「初めて参加します。ゴミとか汚水など、基地内と島内の越冬の環境保全が担当です。昭和基地は処理設備が整っていますので、すべて向こうで処理しています。アマチュア無線の運用もする予定です」
――基地の環境保全、重要なお仕事ですね。交信もお願いします!!

★大江さん
「医療を担当しています。54次隊に参加したので今回で2度目です。アマチュア無線を運用した経験はほとんどないのですが、山岳レスキューに関わっていたので、一応資格を取りました」

――基地で病気やケガをされた隊員の方がいらっしゃると大変ですね・・・!?
「皆さん厳しい健康検査をクリアした方ですし、ケガとかがない限り、私たちは基本的にヒマなんです(笑)。その分、いろんな部門の手伝いをしますよ。屋根の補修工事や電気工事もやりました。そうは言っても、土木建築作業が盛んな時期はケガが多くなりますが・・・54次隊は30人で越冬したのですが、医者2人でのべ99回しか診察や治療を行いませんでした」

ほかにもね、いろいろなお話を伺いましたよ~。鈴木さんは南極行きが楽しみで楽しみで、「一眼レフカメラを買ってしまった!」そうです(笑)。

大江さんからは“動物とは距離を空けないといけない”という決まりがあるんだよ!と。
「ペンギンとは5m、アザラシとは15m以上離れます。もし動物のほうが寄ってきたら、観測隊のほうで逃げなければならないんです」ですって!! あららー。ペンギンは抱っこできないのね~~!


昭和基地の全景(写真提供:国立極地研究所)

あと、昭和基地の夏(1月)の平均気温はマイナス0.7度、最高気温はプラス10.0度。冬の最低気温はマイナス45.3度と幅があるそうです。3月に日本に帰ってきたら「日本のほうが寒い」と感じたとか・・・。「多分、湿気があるからでしょう」と吉川さん。また大江さんは「(帰国後の)夏が堪えましたね、やっぱり…」とおっしゃっていました。

楽しみと言えば食事と娯楽! 食糧は「しらせ」に載せて1年分!を持って行くそうです。

――「これが食べたい!」ってものはありますか?
「特にないですね。充分おいしいものを食べさせてもらっていますよ~。料理人の方が本当に色々と毎日工夫してくれるんです! お腹がすいても倉庫にお菓子類もあるので自由に食べられますし~!」

――水は自由に使えるのかなぁ・・・?
「日本みたいに自由には使えないです。水源が池みたいな場所で、厳冬期は氷が張ってしまうんです。そこからポンプで汲み上げて、プールみたいなところに貯め、必要な分を使うようにしています。使い切ってしまうと大変なので、水は日本以上に節約しています。でもお風呂はちゃんと入っていますよ(笑)」

――基地での娯楽は、なんですか~?
「氷上でのキックベース、スケート、綱引き、スノーボード、バレーボール! そして基地の中ではビデオやゲーム! また、芸達者な隊員が結構いるんですよ。例年何人かは楽器が弾ける隊員がいて、ドラムセットやカラオケもあります。カラオケは数年前に新しいのに入れ替えました」

なんだか楽しそう~!! 出発の準備で忙しい中、集まっていただいた隊員の皆さん♪ 私のふとした疑問にお付き合いいただき、ありがとうございました!

さて! 最後に吉川さんのご案内で、南極へ持って行く物資の搬出準備をしている倉庫へ! ものすごい数のコンテナにびっくり! コレ全部「しらせ」に乗せるんだ!! 1年分ですもんね。“忘れ物した~”って取りに帰れないし、何度も確認、点検・・・一番重要な作業かもしれません・・・。


「しらせ」に荷物を積み込むための準備が進んでいます


昭和基地で活躍する雪上車。これも今年「しらせ」に乗せて持ち込みます

いろんなお話を聞いて、見て、想像でしかなかった昭和基地が、ぐっと近づいたような、とても新鮮なあっという間の取材時間でした!

あ!それと、2年前のKANHAM(関西アマチュア無線フェスティバル)で南極昭和基地との衛星ライブ中継があってね、大成功だったんです! 質問してる時の子供たちのキラキラした笑顔、あの日の感動は忘れません・・・来年のKANHAMでも懇願★

国立極地研究所の皆さん、第58次日本南極地域観測隊の皆さん、本当にありがとうございました! 8J1RLが聞こえたら私も呼びますね。2018年3月に戻られた時には南極のお土産話を聞かせてくださいね!!! お元気で行ってらっしゃい~♪
(JH1CBX Masaco)

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