Monthly FB NEWS 月刊FBニュース 月刊FBニュースはアマチュア無線の電子WEBマガジン。ベテランから入門まで、楽しく役立つ情報が満載です。

ニュース

JOTA2021体験会が3会場で開催される

世界スカウト機構は毎年10月の第3金曜から日曜の72時間にわたってJOTA-JOTIプログラムを実施している。これは、アマチュア無線やインターネットを使って、国内や世界各国のスカウトが交流しようという趣旨のプログラムで、アマチュア無線を使う交流をJOTA(ジャンボリー・オン・ジ・エア)、インターネットを使う交流をJOTI(ジャンボリー・オン・ジ・インターネット)と呼んでいる。


従来、アマチュア無線局から電波を出す場合は、無線従事者の資格が必要であり、小学生など若いスカウトにとってはハードルが高かった。しかし昨年の法令改正により、臨時に開設された体験局等であれば、無線従事者の資格を持たない者でも資格者の指導の下で、アマチュア無線局から電波を出して交信ができるようになった。

この法令改正をうけ、昨年は関東地区でこのJOTA-JOTIプログラムに沿ったJOTA体験会を開催し、体験局8J1JOTAが運用された。この実績をもとに本年2021年は10月16-17日の2日間、関東、東海、関西の3地区にてJOTA体験会がJARL、JARD、アイコム(株)、アツデン(株)の協力で計画され、それぞれ8J1JOTA(東京会場)、8J2JOTA(愛知会場)、8J3JOTA(大阪会場)の3局で体験局を開設し(1グループ120分の同時刻共通プログラム)、10月15-17日に世界規模で開催されたJOTA-JOTIプログラムに合わせて、スカウト達による運用が行われた。

月刊FB NEWS編集部では、関西アマチュア無線フェスティバル(KANHAM)の会場としておなじみの池田市民文化会館で実施された大阪会場を訪問し、その様子を取材させていただいた。また、東京会場、愛知会場においても関係者から写真等の提供をいただいたので、紹介させていただく。


ボーイスカウト大阪連盟ほくせつ地区のスタッフ達

プログラム実施に先立って行われたイベントの開会式では、実行責任者のあいさつに始まり、最後は8J3JOTAの免許状が手渡されて終了した。その後、カルチャーセンター内に設置された受付で、事前に申し込みを行っていた参加者(スカウト)の受付が始まり、いよいよJOTA体験会がスタートした。


大阪会場の開会式の様子

スカウト達は、実運用の前にアマチュア無線の簡単な説明と、交信方法のレクチャーを受けたが、これは、主にJARL関西地方本部のスタッフが対応した。このレクチャーの中ではモールスの実体験も含まれており、それぞれ自分の名前を縦ぶれ電鍵を使って送出した。


事前レクチャーを行う田中JARL関西地方本部長


縦ぶれ電鍵で自分の名前を送出する練習

その後、各班は半分ずつの人数の2手に分かれ、一方のグループは池田市民文化会館内に設置された8J3JOTAを、もう一方のグループは、カルチャーセンター内に設置された8J3YAE(ボーイスカウト大阪連盟ほくせつ地区が開設した体験局)をそれぞれ運用した。スカウト達は、430MHz FMで、ボーイスカウト関係者との体験交信を行い、その後、8J3JOTAと8J3YAE間で、スカウト同士の交信が行われた。


430MHz FMを運用するスカウト (8J3JOTA)

交信内容については、自分の名前と所属を紹介した後、交信相手のスカウトに対して簡単な質問を行っていた。緊張してうまくしゃべることができないスカウトには、指導者が適切なアドバイスを行い、参加者全員が交信体験を行うことができた。


430MHz FMを運用するスカウト (8J3YAE)

16日の午後の班は、7MHz SSBでも運用し、ボーイスカウト関係者との交信後、一般局からの呼び出しにも応答して、偶発的な交信も体験することができた。さらに、17日の午後の班は、D-STARを使って南極 昭和基地のアマチュア無線局8J1RLとの交信も体験できたようだ。


7MHz SSBで一般局と交信を行うスカウト (8J3JOTA)

ほとんどのスカウトが初体験とあって、運用中は緊張の様子がうかがえたが、運用を終わったスカウト達に話しを聞くと、一様に「面白かった」という返事が返ってきた。さらにぜひ免許を取りたいというスカウトもいた。


16日の体験会に参加したスカウト達

途中、大阪会場の責任者であるJL3BTU森氏とJQ3CYN菅沼氏に話をうかがった。本年に大阪会場での実施を計画したのは、昨年の東京会場での成果を見て、ぜひ大阪でもJOTA体験会を実施したいと考えたからで、実際には2月頃から準備をスタートしたとのことだ。

まずは、ボーイスカウト日本連盟JOTA-JOTI開催タスクチーム(Plaza統括責任者)であるJO1PGG吉田氏に相談するところから始めたという。その後、今期の予算に計上し、さらにボーイスカウト大阪連盟ほくせつ地区(豊能郡、池田市、箕面市、豊中市の大阪府北部地域)のアマチュア無線を運用している指導者が中心となって、計画を進めていった。その過程で新たに3名の指導者が4アマ免許を取得し、また4アマから3アマにアップグレードした指導者も3名いたという。

会場の確保については、JARL関西地方本部に相談し、KANHAM会場として使用されておりJA3RLの常設アンテナがある池田市民文化会館を、苦労せずに借りることができたのは幸運だったと話す。ただし、会場は確保できても、苦労したのがスカウトを指導する立場のスタッフ全員がアマチュア無線に慣れることで、そのためオンラインのレクチャーを何回も実施したという。

今回大阪地区では、コロナ対策のため、参加者をスカウトと指導者、関係者のみに限定する措置をとり、2日間通しての参加者は約120名だった。(3会場合計で350名の体験者を受け入れる計画)。今回の経験を元に来年以降も継続していきたいとのことだった。

東京会場の様子 (8J1JOTA)


PTTを押しながら話す。「どうぞ」の後にPTTを離す事から説明


小学生のカブスカウトが名前をモールスで打鍵して講師が答えるゲーム


身近な電波の話とアマチュア無線の楽しみ方を説明


ハンドマイクより人気があるスタンドマイクで運用中

愛知会場の様子 (8J2JOTA)


愛知はお寺が会場。アットホームな雰囲気で説明を聞く様子


真剣なまなざしでモールス符号の説明を受ける


はじめてマイクを握り、緊張しながら交信するスカウト


ゲーム形式で電鍵を打つ時は、歓声が上がるほど盛り上がった


大阪会場のスカウトと、好きな食べ物や趣味を伝え合う

2021年11月号トップへ戻る

次号は 12月 1日(木) に公開予定

サイトのご利用について

©2024 月刊FBニュース編集部 All Rights Reserved.