2016年2月号

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連載記事

みなさんこんにちは、歌手のMasaco(JH1CBX)です! 私もアマチュア無線を始めて丸4年が経過しました。これまで、いろいろなアマチュア無線の集まりに参加させていただき、多くのアマチュア無線家の方とアイボールさせていただきました。

その出会いを大切に、もっともっと多くのアマチュア無線家の方や、元気に活動しているハムクラブの皆さんと触れ合いたくて、今月から『Masacoの「むせんのせかい」~アイボールの旅~』を連載させていただくことになりました。どうぞよろしくお願いします。

第1回 奈良育英中学校・高等学校 情報技術部(JA3YTF)の皆さん


今回お邪魔した奈良育英中・高等学校(奈良市)は、創立100周年を迎える伝統校です。学校前に掲げられた「祝 全国大会出場」の看板には「情報技術部」の名前もありました!

さて、初めてのアイボールの旅は、奈良県奈良市にある学校法人 奈良育英学園 奈良育英中学校・高等学校にお邪魔させていただきました。この学校は今年「創立100周年」を迎える共学校で、中学校は167名、高等学校は1,021名の生徒さんがいるそうです。

そしてここには「情報技術部」という名前の課外クラブがあり、アマチュア無線やインターネット、ロボットなど、さまざまな活動を行っているそうですよ。ワクワク!!

学校に着いて、情報技術部顧問の菊一好史先生(JF3KRL)に、まず案内していただいたのが、新築されたばかりの校舎の屋上です。ここにはHFのT2FDという長~いワイヤーアンテナから、50MHz帯の10エレ、144MHz帯の11エレスタック、430MHz帯の8エレ4パラ、1200MHz帯や2400MHz帯まで、たくさんのアンテナが建てられていました。近くには東大寺の大仏殿も見えましたよ!!


新築された校舎の屋上にはたくさんのアマチュア無線用アンテナ!! みんな情報技術部の皆さんが建てたものだそうです


アンテナの向こうには東大寺の大仏殿も見えました!!

先生のお話では、このアンテナとタワーは情報技術部の部員の皆さんが、新校舎が完成した2015年の夏に、自分たちで建てたものだそうです。アンテナケーブルは配管を通して部室までつながっていて、その1本ずつの引き回しも、炎天下で頑張って作業されたとか。無線への愛と情熱を感じますね~。


情報技術部の部室に到着♪

校舎の中にある情報技術部の部室にお邪魔しました。小さな部室には無線機やパソコンがズラリ!! ほかにもインターネットのサーバーや、自作したロボットも置いてあります。部長で高2の中野君が「情報技術部はアマチュア無線のほかにも、インターネットのホームページを作ったり、動画を撮影・編集してYouTubeで公開したり、二足歩行ロボットの製作をしたりと、幅広い活動をしているのが特徴です。カメラ付きのドローンもありますよ」と教えてくれました。


小さな部室には大切に使っているアマチュア無線機やパソコンがズラリ!!


インターネット用のサーバーや連絡用の特定小電力トランシーバーもありました

この情報技術部は、中学生と高校生が一緒に活動するクラブで、11名の男子部員と2名の女子部員がいるそうです。アマチュア無線の免許を持っているのは6名で、3アマが4名、4アマが2名。アマチュア無線の活動では「ARDF」と「コンテスト」に力を入れているそうです。


放課後に集まってくれた情報技術部の部員の皆さんと楽しくお話ししました!!

「ARDF」という言葉は、私もなんとなく知っていたけれど、どういうルールなのかはよくわかりません。菊一先生に伺ったところ、「電波を使った方向探索競技で“Amateur Radio Direction Finding”の略なんです。山の中に設けた広い競技エリアに“TX1”から“TX5”まで5台の送信機を設置して、選手は受信機とアンテナを頼りに1つでも多くのTXを探して、2時間以内にゴールへ戻ってくるというルールです」と教えてくださいました。


ARDFの競技風景。受信機とアンテナを頼りに、山を駆け回るハードな競技です(菊一先生撮影)

まさに知力と体力のサバイバル!! 元々は東欧や中国で盛んだったものが、日本でも愛好者が増えて、さまざまな大会が行われているそうです。菊一先生もJARLのARDF委員会の委員として、さまざまな大会の運営に参加していらっしゃいます。

奈良育英の情報技術部は昔からARDF競技にとても強く、2015年はアジア地域ARDF競技大会に、“日本代表”として3名が出場して、銀メダルや銅メダルをたくさん獲得したそうです!! また2014年には全日本ARDF競技大会の15歳以下部門で優勝や入賞するなど、毎年いろいろな大会で好成績を収めているということでした。ビックリです!!


2015年に日本で開催された「アジア地域ARDF競技大会」に日本代表として参加。入賞した賞状とメダルを見せていただきました。向かって一番左が部長の中野瑛元君(JP3MTB)です


高1の川添雄太郎君(JA3-35645)がARDFで使うアンテナ付き受信機を見せてくれました

「入賞のコツは?」と部員の皆さんに尋ねたら、「ARDFは“力”がないと負けてしまう競技なんです。だから体力や知力を養うために、学校内に送信機を設置して練習しています」「一人ずつで行う競技なので、個人個人が技術を高めていかないとダメなんです」「入部したら、先輩たちにしっかり指導してもらいました」と教えてくれました。


クラブで作った144MHz帯のARDF競技用受信機。アンテナは金属製のメジャーを使って、木の枝に触れても壊れないようになっています


3.5MHz帯のARDF競技用受信機。アンテナはループ状になっています

ARDFは144MHz帯を使う競技と、3.5MHz帯を使う競技があって、どちらもクラブで大切に使っている受信機を持って行って参加するそうです。受信機はアンテナに組み込まれていて、エレメントは木に触れても折れないように金属のメジャーでできていました。私も持たせていただいたけれど、軽いのでビックリ。でも、これを持って2時間も山を走り回るのは大変そうです。

でも、スポーツみたいでなんだか楽しそう!! 「私も参加できるの?!」と興味津々の私に、「はい、いろいろなクラスに分かれていて、女性や初心者も気軽に参加できる大会がありますよ。でもMasacoさん運動されるんですか?」と聞かれ、「学生時代は8年間陸上部で走ってたわ!最近は富士山にも2回登ってるから、体力には自信あるはずなんだけど…。でも知力は、みんなに特訓してもらわないとね~」なんて盛り上がりました。来年はもしかして…(笑)。


私も受信機を持たせてもらいました。体力には自信があるけれど、これを持って2時間も野山を駆けるのは大変そう…

ARDF以外では、毎年8月の「奈良V・UHFコンテスト」に参加するのが恒例で、2014年はマルチバンド部門で優勝を果たした!! 「2015年は…?」と伺ったら「いや、アンテナとタワーの設置で全力を使ってしまったので、2位でした」と、ちょっと残念そう。2016年はまた頑張ってくださいね♪

そして今、情報技術部で流行しているのが、2足歩行ロボットの組み立てです。見せていただいた3台のロボットには「はくえもん」「ホワイトベアー」「のぞみ」という名前を付けて、みんなで操作やカスタマイズを楽しんでいるそうです。


クラブ自慢の2足歩行ロボット「はくえもん」「ホワイトベアー」「のぞみ」


みんな楽しそうに操縦♪

中1から高3まで幅広い年代の部員が、目をキラキラさせながらクラブ活動をしている姿にとっても感動しました。情報技術部の皆さん、ありがとうございました!!

奈良育英中・高等学校を訪問させていただいた翌週、私は滋賀県野洲市で開かれた「2015年全日本ARDF競技大会」の懇親会で歌を届けるため、会場にお邪魔しました。この大会にも情報技術部の8人が選手として、そして菊一先生は審判長として参加していらっしゃいました。これは私が当日撮った写真です♪


滋賀県野洲市で開かれた「2015年全日本ARDF競技大会」のスタートシーン。私が撮影しました。冷たい雨がポツポツ・・。とっても寒かったです


ゴールに奈良育英の選手が戻ってきました。あと少し、頑張って!!

雨が降ったり止んだりの悪天候の中、競技はめちゃくちゃハードでした。ずぶ濡れの選手がゴールに駆け込んでくるところを見ていたら、胸が熱くなってきました。ああ、頑張っている姿っていいなあ~!!

そして懇親会では、奈良育英の皆さんが私の歌「むせんのせかい」を一緒に口ずさんでくれて、めっちゃうれしかったなぁ! まさに愛ボールのひと時! 感動しました! みんなありがとう!!

(JH1CBX Masaco)

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