2013年9月号

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連載記事

移動運用便利グッズの製作

JO2ASQ 清水祐樹

第6回 ワイヤーアンテナ巻き取り器

移動運用でダイポールアンテナやロングワイヤーアンテナを使う場合、特にローバンド用の長い電線(ワイヤー)の設営や撤収には手間がかかります。現地でワイヤーが絡まって解けなくなり、運用を断念したこともあります。

以前は、ワイヤーをペットボトルや発泡スチロール板に巻いたり、縄跳びの縄のように何回も折り返して縛ったりして保管していました。その場合でも、絡まる可能性がありますし、何回も使用しているうちにワイヤーに折りグセがついたり、ねじれが生じたりして、使いやすいものではありませんでした。今回は、そのような問題点を解消するため工夫した、ワイヤーアンテナ巻き取り器の製作方法を紹介します。アンテナの設置や撤収の時間が短縮できる上、ワイヤーが絡まるなどのトラブルも皆無で、満足できる仕上がりになりました。

構造

電線を巻くためのリール(大型のものはドラムと呼ばれることもある)を利用し、手で持って回転させる取っ手と、それを支える枠を取りつけたものです(図1)。ロングワイヤー用はリールを1個、ダイポールアンテナ用はリールを2個使用しています。枠は木の丸棒です。図1に示すロングワイヤーは約40mのビニル線、ダイポールアンテナはACコードで作ったもので、リールには3.5MHzのフルサイズに相当する長さを巻いてあります(片側で約20m)。1.9MHzのフルサイズは巻ききれないので、延長用エレメントとして別に保管し、使用する時だけ接続しています。


図1 外観 左はロングワイヤー用(リール1個)、右はダイポール用(リール2個)と延長エレメント

アンテナを設置する際には、電線の給電点側をあらかじめバラン等に接続しておき、枠を持ってアンテナを展開したい方向に歩いていくと、リールが回転して自然に電線が引き出されます。そのため素早い設置が可能です。撤収の際は、枠を手で持って、ワイヤーが緩まないように力を加減しながら取っ手を手で回し、ワイヤーを巻き取ります。

製作

リールは電線専門店で有料で販売されていたものを購入しました。電線を大量に扱っている所から無料で入手できるかもしれません。リールの直径は100mm、長さは84~89mmです。電線を巻くためのリールはとても丈夫です。類似のものとして、工業用・園芸用のビニールチューブを巻くリールも試してみました。これは薄くて割れやすく、重くて固い電線を巻いて使うには耐久性に難がありました。

リールの中心の穴の直径は、16mmと21mmの2種類があります。それぞれ、直径より少し細い15mmと20mmの木の丸棒を通して、リールが回転できるようにします。リール1個の場合は丸棒を「コ」の字型に、2個の場合は「エ」の字型に組み合わせます(図2)。リールの穴に通す部分の寸法は、リールの大きさに現物合わせします。他の寸法は、持ちやすいように適当に設定しました。


図2 枠の寸法

丸棒の接合部分は、十分な強度が必要です。そのため次のような手順で接合しました。丸棒の接合は、T字型とL字型の2種類があります。T字型に接合する部分は、図3(a)のように、接合面が木の木目と平行になるように丸棒にノコギリで切れ目を入れ、その部分をノミや彫刻刀で削り取り、ヤスリがけして平らな面を作ります。そこに木工用ボンドを塗り、別の丸棒を接着し、極細のタッピングビス(1.7×15mm)を2本通して補強します。ビスが1本では、ねじれの力が加わった場合に簡単に外れてしまいます。


図3 丸棒の接合方法

L字型に接合する部分は、図3(b)のような45度に切断するための木工用の治具を使用して丸棒を切断し、その切断面を木工ボンドで接着し、極細の木ねじを通して補強します。木工用ボンドが固まった後は、水性のニス、または透明の塗料を筆塗りまたはスプレー塗りして防水加工をしておきます。木工用ボンドは水に溶けるため、雨の中の移動運用で濡れたまま撤収した後、溶けてバラバラになってしまったことがありました。

リールの固定は、直径22mm、穴の直径6mmの大型ワッシャーと、ワッシャーの穴から抜けない大きさの皿タッピングビス(4×10mm)を使用しました(図4)。


図4 リールの固定(中央にある大型ワッシャ)と取っ手

操作性を向上するには、取っ手(手で持ってリールを回す部分)が非常に重要です。これはアルミまたはアクリルの外径8mmのパイプが空転する構造にしました(図4、5)。リールのフチの1か所に4×30mmのボルトを通して、ナットを締めつけてボルトとリールを完全に固定します。ナットは、瞬間接着剤をネジ山に流し込んで緩まないように固定します。そしてアルミまたはアクリルのパイプを通し、自由に回転するように余裕を持たせて、もう1個のナットでパイプが抜けないようにします。2個目のナットが回らないように、瞬間接着剤をネジ山に流し込んで固定するか、断面を鉄工用ヤスリで十分に研磨した後、大型のハンダごてでハンダを盛ってビスとナットをハンダ付けします。


図5 取っ手の構造

電線の巻き始めと巻き終わりの部分は、ナイロンサドル(壁に同軸ケーブル等を固定するための部品)を使って電線を挟み込むようにしました(図6)。穴の片側だけを適当な位置にネジ止めします。当初は、目玉クリップや、切り込みを入れたプラスチック板を取り付けていたものの、ワイヤーが引っ掛かりやすく不便でした。ナイロンサドルを使うことにより、この問題は解消されました。


図6 ワイヤー終端をナイロンサドルで固定

収納は、100円ショップで市販されている「靴収納ケース」を利用しました。無線機、付属品、同軸ケーブルと合わせて、スーツケースに入れて運搬することが可能です。あとは電源と伸縮ポールを準備すれば、旅行の際にHFの移動運用を楽しむことができます。

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