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新製品インプレッション

ID-50 (アイコム株式会社)

JF1KKT 横田勝彦

2023年6月15日掲載

先日、アイコムから144/430MHzデュアルバンドのハンディトランシーバーID-50が発表されました。今回、実機に触れる機会を得ましたので、送信以外の面(免許の関係hi)を中心に、お伝えしたいと思います。


ファーストインプレッションです!

最初に手にして思ったことは、「あ、思ったより小さいな」という点です。比較対象がすでに発売されているID-52だったので、余計にそう思ったのかも知れません。

浦島太郎ネタでいえば、この大きさでデュアルバンド、5W出力、同時受信、しかもD-STARまで対応とか、驚き以外にないです(苦笑)。これだけ小さいと、操作性が悪いと思ってしまいがちですが、余計なボタンがないせいかスッキリとしています。

届いた時にはバッテリーの充電が乏しかったので、まずは充電しました。電源端子にIC-705で使用していた電源プラグを差し込もうとしたら刺さりません。サイズが違うようです。するとその下に見慣れたUSB-C端子が!


USB-C端子(赤丸部分)

説明によればPD対応の充電器で充電できるとのことで、万が一充電器を忘れてしまっても、近所の電器屋さんなりコンビニででも、充電器が調達できるはいいですね。スマホやノートパソコンの充電器も使えるかも知れません。まあ、一般的には別売りの乾電池ケースは買っておくのが安心かと思います(笑)
※PD対応の充電器を使った充電は可能ですが、PD規格に準拠した大電流での高速充電は行えません。


USB-Cで充電中~

画面を見るとID-52はカラー液晶ですが、こちらはモノクロ液晶です。しかし、電池の持ちを考えたら、私は個人的に白黒で十分と思います。

また、IPX7の防水性能を有しているので、屋外で雨に降られても安心できます。特にSOTA等の山岳移動を志す方には力強い味方になると思います。

電源オン!

充電を終え、電源を入れてみました。室内での受信では、窓のある方向に移動されている局が聞こえてきました。自宅の固定設備と比較しましたが、感度が良いように感じました。

今回、送信は出来なかったのですが、受信だけでも十分に良さは感じました。液晶画面も、モノクロではありますが、必要かつ十分な情報を与えてもらえますので、使っている上で、不自由は感じません。


見やすく省電力なモノクロ液晶画面

ダイヤルのクリックも軽く回しやすいです。腰に付けている時はダイヤルロックをかけておけば大丈夫です。スケルチの開放はスケルチツマミがないので、左側面の[SQL]ボタンを押せば開放になります。スケルチが開いたり閉じたりするような微弱な信号の場合、有効に使えます。


スケルチボタン(赤丸部分)

細かな設定は全てセットモードに入っています。表示言語は日本語または英語が選べますので、操作にまごつくことは少ないと思います。

新オプションのスピーカーマイクHM-243LS

今回、ID-50といっしょに新型のスピーカーマイクHM-243LSが登場しました。最初、「IC-705付属のマイクと同じかな?」なんて思ったのですが、どうやらマイク自体の形状は同じようですが、ジャックが異なる新しいオプションのようです。


新しいスピーカーマイクHM-243LS(手前)

今までのハンディ機用スピーカーマイクというと、ほとんどがPTTとスピーカーとマイクしか付いていませんでした。しかし、今回のスピーカーマイクは、ファンクションキー2つとアップ/ダウンキーが装備されています。

これなら、固定機のハンドマイクすら凌駕してしまいます。実際に触ってみると、特にベルトクリップで腰に付けた時や、車載運用時にとても威力を発揮します。便利だなと思ったのは、無線機本体のダイヤルロック時でもマイクのスイッチは有効に動くことです。アップ/ダウンは効きますので、ダイヤルロックしていても周波数の変更は可能です。

しかもダイヤルスピーチをオンにしておけば、ディスプレイを見ずに周波数を変更しても、どの周波数なのかがわかって便利です。モービル運用時にも活用できるかも?(スピーチ機能も日本語または英語が選べる)。これはイチオシのオプションですね。

なお、このスピーカーマイク、ID-52を持ってる方はID-52にも使えますし、旧製品(ID-31、ID-51など)にも使えそうです。欲張りかも知れませんが、マイク部分にイヤホン端子があると便利かな? とも思いました。

バンドスコープはたまらん!

私がバンドスコープに触れたのは、その昔、当時のHF最高級機種であるIC-780についていたものが最初でした。その時のカルチャーショックはすざましく、今でもバンドスコープ無しの運用は考えられないほどです。

ID-50にもバンドスコープ機能があるとのことで、試してみました。IC-705などにも付いているウォーターフォール表示が出来ますので、バンドの状況を時系列で確認できます。この機能は、バンドが空いているエリアや時間帯で活用すれば、より効率的なQSOが出来るのではないでしょうか?



バンドスコープ画面の実際

FMラジオもエアバンドも聴けちゃうハンディ!

またまたカルチャーショックですが、ID-50は多彩な受信機能を持っています。本格的な受信専用機にはかないませんが、1台だけハンディ機を購入するなら、十分に選択肢に入るくらい、充実した装備です。中でもFMラジオは便利ですね。AMの補完局も受信できるので、AM局もFM局も事実上受信OKなのが嬉しいところです。


FMラジオも付いている!

ラジオを聴く機会は少なくなりましたが、昔、50MHzで移動をしていた時、移動地を決める目安に電波を飛ばしたい方角にあるFM局を受信して、場所を決めたことを思い出しました。もちろん、エアバンドも受信できます。ただしUHF帯エアバンドは受信出来ません。どうしてもここが外せない! というならば、ID-52を購入されることをおすすめします。

要望! なんておこがましいですけど・・・

Bluetoothに対応していないのは、ちょっと残念です。対応していれば、マイクコードの接続なしでもモービル等で運用できるのですが・・・

あとこれは、ID-50に対するものではないのですが、この機能、大きさで、430/1200MHzのハンディを出してくれたら嬉しいのですが・・・ もちろんD-STAR対応で(笑)

先日まで発売されていたアルインコのDJ-G7が、現在中古市場では高値で取り引きされている現実を見ると、市場的には十分あると思うのです。こんなハンディ出してくれるのはアイコムしかないですから、期待しております!

総括として・・・

久々にハンディトランシーバーを手にしましたが、時代の流れはすごいな~と思ってしまいます。皆さんがもし購入する際に、ID-52との比較で悩むと思いますが、Bluetoothが要らなくて、UHF帯エアバンドが不要なら、ID-50が小さくてよいと思います。

液晶も白黒になりますが、その分消費電力が少ないので、移動運用時には有利になりますね。充電もUSB-C対応なので、最近のPCや携帯、タブレットをお使いの方は、流用が効くと思います。

ハンディ機は大きいのは面倒になって、結局使わなくなってしまいます。であれば、せっかくお金を出して買うのですから、いつでも持ち歩ける小さいハンディが一番だと思います。

ID-50とID-52の比較表がアイコムのサイトに出てますので、ご覧になってみてください。(リンク先: https://www.icom.co.jp/lineup/products/ID-50/)

なおご意見、ご感想、ご質問等については、筆者である私宛(jf1kktアットマークgmail.com)へご連絡頂けますと幸いです。

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