2015年4月号

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連載記事

移動運用に便利なこの一品

JO2ASQ 清水祐樹

第1回 地図の活用法

今回から、テーマを「移動運用に便利なこの一品」と改め、移動運用における“モノ”の使い方をご紹介します。

移動運用において、地図は現在地や道順を知るだけでなく、アンテナの向きを決めるという目的があります。また、未知の地域で、移動運用の場所を決めるためにも重要です。筆者はスマホやカーナビの機能も使いますが、やはり紙の地図も捨て難く、場合によって使い分けています。移動運用では、位置だけでなく「方位」を知ることも必要です。その方法についても述べます。

日本全図と世界全図をすぐ見えるところに

交信中に日本全図と世界全図をすぐ見えるところに準備しておくと、何かと便利です。お子さんが学校で使っている地図帳のようなものでなくても、100円ショップで入手できるような簡素な地図で十分です。

例えば、「コンテスト中にV/UHFをワッチしていて、ビームアンテナで弱い局が受信できた。コンテストナンバー等から県名や市郡名は分かったけれど、交信するには信号が弱い。」といった場合、アンテナをその局に向けて信号を強くするためには、日本全図(または日本全図を数分割したくらいの縮尺の地図)を見ると、アンテナの向きが分かります。

ホイップアンテナなど無指向性のアンテナを使っている場合でも、伝搬の関係で特定の地域が強力に入感する場合があるため、地図を参照しながら運用すると伝搬の状況が分かりやすくなります。

海外局と交信する場合は「正距方位図法」と呼ばれる、中心点からの方位と距離を示す円形の世界全図が便利です(図1右)。これに従ってアンテナの向きを決めます。さらに、エンティティなど無線に必要な情報を書き込むと良いでしょう。

世界全体が長方形で描かれる地図(メルカトル図法、ミラー図法など)は、方位が正しく表示されない欠点があり、無線で交信する用途には向きません。例えば、北アメリカ大陸は、長方形の世界全図では日本の東にあるように見えますが、実際は地球が丸いために日本の北東にあります。


図1 日本全図と世界全図の例。世界全図は方位と距離が分かる「正距方位図法」の地図を使う。

運用場所を探すための地図

運用場所を探すための地図としては、縮尺1:100,000(1cmが1km)の道路地図を使っています(図2)。車で広範囲に移動し、公園や河川敷などの広い場所を見つけるには、この縮尺が使いやすいと感じました。

道路地図は、全掲載範囲を均一の縮尺にしているものと、都市部だけを詳細図にしているものがあります。後者は都市部から離れたところの情報が乏しいように感じたので、通常の移動運用では前者、都心部の運用場所を探す目的では後者を使い分けてもよいでしょう。


図2 運用場所を探すための1:100,000の地図。
車で広範囲を移動して運用する場合、1:100,000(1cmが1km)の縮尺が使いやすい。

現在地の方位を知る方法

アンテナを目的の向きに向けるため、目的の向きに障害物がないことを確認するため、衛星通信で衛星の位置を確認するためなど、移動運用では現在地から見た方位を知りたいことがあります。車で移動する場合はカーナビを使うと最も簡単です。車以外での移動運用ではポータブルGPSを使う方法もあります。方位を知るだけであれば方位磁針でも十分です。

移動運用における車の向き

筆者は移動運用で車を長時間駐車する時、可能ならば車の向きを南北または東西に合わせています。これは地形やアンテナの向きを確認しやすくするためです。筆者の車はモービルアンテナを運転席側の後方に付けており、助手席側前方はアンテナがボディーに隠れるため、その影響を回避するよう車の向きを決める意味もあります。

車の向きを決めるには、通常はカーナビで確認しながら合わせています。ただし、地形が複雑な場所などカーナビが現在地を正しく認識しない場合は、方位磁針を併用します。

直射日光や強風の影響を受けないように車の向きを決めることもあります(図3)。強風時に運転席に座って運用する場合、左前方から風を受けるように車の向きを決めます。これは、ホイップアンテナに支線のロープを1本だけ張る時、左後輪のホイールまたはリアワイパーの先端にロープを縛るためと、雨や雪が降ってきた場合に車内への浸入を防ぐためです。


図3 移動運用における車の向き。
南北または東西に合わせると、地形やアンテナの向きを確認しやすい。
直射日光や強風を避けられるようにするとよい。

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