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大好き! アマチュア無線

第21回 ラズベリーパイでファクシミリを楽しみましょう!

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こんにちは! 新人編集員のアキラです。画像通信がテーマの第10回のときから、頭のすみにアマチュア・ファクシミリのことが気にかかり残っていました。何とか受信だけでもできないものかなあという思いでした。ラズベリーパイも、Windows®PCもあるし、何かええソフトはないかなあとね。灯台下暗しとは私のファクシミリ・ソフトへの不勉強のことで、いくつかソフトの候補はありました。またファクシミリのことも、もうちょっと事前学習しましょう。

アマチュア無線のファクシミリは電波形式が“F3C”で、変調の方式は副搬送波周波数変調で、搬送波(1900Hz)を周波数変調します。周波数変移は±400Hzで、+400Hzのときが「白」-400Hzのときが「黒」になります。それら±400Hzの変移の間の周波数で中間調が表現されています。無線機のUSB端子で、このファクシミリの信号を入出力すれば、ファクシミリ装置になりますね。この場合、送信機の変調の方式はSSBでもFMでも電波型式はF3Cです。 運用がより多いと思われるHF帯の場合では、占有周波数帯域幅が3kHz以下に制限されます。


おや、ハードウェアの構成図をみてみると、以前にラズパイでFT8やらdmonitorを楽しんだときと基本的に同じじゃないですか。じゃあやっぱりラズパイ用のファクシミリ・ソフトが欲しいですよね。そしてできればWindows®用のものもね。

ファクシミリ用のソフトなどを探しましょう
ネットでいろいろと見てみますと、ファクシミリ用のソフト関係は国内・外よりいくつか出ており、アマチュア用途に無償で使えるものがあります。かなり古くから出ている(現状のOSでは動作しないような?)ものや、改訂が続けられているもの、とかを動作させてみました。また、国内ではJARL登録の“ファクシミリクラブ”という方々の活動がアクティブで、毎年のハムフェアなどでブース展示を見たことがある人もおられると思います。昨年のハムフェアは新型コロナウィルスの影響で開催中止でしたが、2021年のハムフェアは開催されると大変うれしいですけど。

今回、私アキラがチェックしましたソフトは、次の3つ+参考の1つです。簡単に使えそう(私が、ですね)ということと、ラズパイ版がある(1つありました)ことが大事なポイントでした。それでは、それぞれのソフトの概要や特徴をみてみましょう。

① Fldigi このソフトは、ラズパイ版とWindows®版がサポートされています。
下記3つのURLをのぞいてください、W1HKJとその仲間の方たちが作成されたもので、ファクシミリのみならず、本ソフトはマルチプロトコル対応のソフトです。

3つめのURLには前述の“ファクシミリクラブ”の方が作られた解説(PDF)があり、私はその中の「Fldigiのインストール1」という手順でラズパイに、そして後ほどにはWindows®版もインストールしました。私がいうよりは、この解説をご覧いただくのが早いですね。注意点としまして、ラズパイでは「5-2言語の選択」が大事ですよ。


W1HKJ Software
fldigi download | SourceForge.net
http://www.hotozuka.com/fax/pdf/fldigi.pdf

KG-FAX このソフトは、Windows®版がサポートされています。
本ソフトは10年くらい前からあると思われますが受信デコード用であり、ライセンスフリーで、たいへん簡単につかえます。

ダウンロード・他については下記URLの解説をご覧いただくのが早いと思います。習うより慣れろ!です。簡単なので、まず使って見てくださいね。

KGFAXも信号を受信すれば「自動受信開始」をします。設定が必要なパラメータは「回転速度」と「同期信号長」でJMH用(後ほど実践で少し解説します)の値が初期値として設定されています。
無線FAXデコードソフト KG-FAX (plala.or.jp)
(本URLの下方にある赤字注意書きを守ってご覧くださいね。)

MULTIPSK このソフトは、Windows®版がサポートされています。
本ソフトは、F6CTE/Patrick Lindeckerさんが作ったもので、FAXのみならずRTTY、PSK、CW、SSTV、などで送受信が可能になっています。

下の2つめのURLに、これも前述の“ファクシミリクラブ”の方が作られた解説(PDF)があります。この解説もたいへん分かり易いです。
http://f6cte.free.fr/index_anglais.htm
http://www.hotozuka.com/fax/pdf/multipskmanual.pdf


➃ WIN_FAX 参考のみ: このソフトはWin95用でしょうか? 相当古いようです。
1998年頃に作成されたソフトのようです、が今の私の環境ではうまく動作しませんでした。
FAX (coocan.jp)
でも、このURLの記事は、以前より何回も目にしたことがありまして、内容はいろあせずにおもしろいと思います。(JMHが6波であった時代の画像もみられますね)

さあ読者の皆さん、ファクシミリのソフトは、うまくダウンロードできたでしょうか? 今回の主目的は、ラズパイで動作させるということで①「Fldigi」が私の中では1番ですねもちろん「Fldigi」Windows®版もできたら試してくださいね。

次のソフトはWindows®版のみです。もっとも手軽に動かせるソフトは②「KG-FAX」ですね。そして③「MULTIPSK」は名前がMULTIなだけに、FAXのみならずSSTVやRTTYやら、その他のたくさんの機能がついています。じっくり楽しむのも手かなと思われます。ラズパイ/ Windows®PCにソフトがインストールされたら下記のようなアイコンが生成されます。


それから、「Fldigi」「MULTIPSK」は無線機の周波数/モードなどが制御できる機能(CI-V対応・他とか)がありますが、パッパッとは設定できないので、今回はこの機能は割愛して受信機能に専念して使っています。

さあ、そろそろ実際のファクシミリの信号を受信してみましょう。ハードの構成は本稿の最初の図にあったように、FT8やdmonitorが動く環境があれば、同じでOKです。アマチュアのファクシミリを受信したいのですが、出ている局をつかまえるのが容易でないので、JMHを受信してみましょうか。まずは受信周波数を7.793.10MHz/USBにセットしてください、チョワチョワとなにか信号が聞こえませんかー。

JMHを受信してみましょう。
JMHは気象庁がアジア地域の気象機関及び主に日本近海の船舶向けに送信している気象情報の無線FAXです。その運用は1958年より開始され、今日も正確なスケジュールによって、毎日約50枚の天気図が鹿児島県の送信所から送信されています。

おおよその諸元・規格は下記の通り、変調の方式はアマチュア規格に似ていますよ。


電波の送信は、鹿児島県無線漁業協同組合に委託され南九州市から送信されているそうです。送信出力は5kWですから電波は強力で安定して受信できます。私はJMH2(7MHz帯)をよく受信しています。信号強度は7MHz短縮ダイポールで、通常はS9+程度ですが、聞こえなくなるくらいの時間帯もあり、電波伝搬はおもしろいです。これらの3波ある周波数で季節や時間帯により、うまく選択すれば全日にわたり気象関係の情報が受信できます。放送スケジュールは気象庁より公開されています。
http://www.jma.go.jp/jmh/jmhmenu.html

さあ、ソフトをスタートさせれば受信が始まりますよ。操作方法はそれぞれの解説をみれば、それほど難しくはありませんね。下図が我が家の構成で、ダブルで受信です。


KG-FAXでの受信、Fldigiでの受信、FldigiとKG-FAXの同一画面上での同時受信、MULTIPSKでの受信のそれぞれの画像を並べてみました。Fldigiでは、ラズパイもWindows®PCでも、出て来る画面はまったく一緒です。あたりまえですねえ。



読者の皆さん、うまく受信できましたか。JMHは日本の近海で漁業や海洋関係の仕事に従事されている方向けに重要な天気図を配信しています。JMHの周波数は以前もっと多くて、6波くらいあったと思います。衛星通信とかで多様性になったからでしょうか、現在は3波のようですね。命を守る通信網であり大切なものです。

さて、JMHは毎日決まったスケジュールで運用されていますが、1日に1回、美人に会えます。永遠の美人といった画像でしょうね、ずーーっとこの人です。電波伝搬は日によって違うので、綺麗に受信できるようにアンテナや機器などの状況チェックにも使えます。下の画像はJMH2で受信したときのものです。


このテストチャート以外は、静止気象衛星雲写真や天気図情報、台風予報とかが送信されます。天気図の読み方も大切なスキルで、海上ではまさに命を支えていますね。

アマチュア・ファクシミリとチェックポイントについて、
さてさて閑話休題ってところで、アマチュア無線の話にいきましょう。少し古い資料ですが、私のアマ免許の申請書類の一部を引っ張り出してきました。下図のような感じです。なにかみたような感じですね、そうJMHの規格に似ていますね。


まあ、なにせファクシミリの原点は1840年頃からだそうで、それ以後も発展を続けてきた訳ですが短波帯を共有していますし、プロの技術をアマチュアなりに育んできたのですからね。それから、最近はソフトで動作していますから、自動認識・判別されていて勝手に動作してくれている部分も多いです。でも私がちょっと気になりましたのは、回転数/協働係数/起動信号などのことです。アマ/プロはどうなっているのでしょうか。

回転数の設定
PCソフトだとドラムはありませんが、機械式のファクシミリは円筒ドラムが回転していました。記録によれば円筒の直径は66・70・88mmの3種があったそうです。これに感熱紙を巻いて、回転しながら記録して行きました。ドラムの回転速度は、(60・90・120・150・240rpmとかあるようです。アマチュアは120回転が多いでしょうか。JMHも120回転ですね。家にある有線回線のPanasonicのFAXでは受信画像はディスプレイ表示しますが、ハードコピーしたいときはA4用紙をセットすれば出てきますが、回転するドラムはありません。回転数という言葉が生き残っているのですね。

協働係数IOC(INDEX OF CO-OPERATION)
PCソフトでは、アマチュア・ファクシミリ=288に、気象FAX=576にセットします。これだけでOKなのですが、協働係数って何?と思いませんか。“International Olympic Committee”ではありませんよ。円筒ドラムに話は戻るのですが、協約数が同一であれば円筒径が異なる(今ではソフト円筒ドラムかな?)送受信機間でも画像乱れの無い通信を可能する係数のようです。例えですが、走査ピッチ(円筒軸方向の移動幅)は円筒直径を協約数で割り算した数値です(直径66mmで協約数264の場合の走査ピッチは0.25mm)。なにか直感的でないので、下図のように実験しました、なーるほどですね。


起動信号/自動画像受信など
JMHを聞いていますと、アイドリング時はピーと2300Hzのトーンが聞こえ、画像送信開始時よりピヤーンというスタートトーンになり、以降のシーケンスに入ることが判ります。キタキターと思うと自動受信開始となり天気図などの図が現れてきます。送信の終わりにストップトーンの少し高いピヤーンが聞こえて停止となります。

そして、ストップトーンが受信されると受信された画像は“PNGファイル”などになって、指定されているPC内のフォルダーに保存されます。(注: MULTIPSKでは、この自動記録の機能は有償版でしか動作しないようなので要注意です。)

残念ながら私は、まだアマチュア無線のファクシミリ信号の受信の成功に至っていないので分かっていないのですが、アマチュア・ファクシミリでもソフトによって、これらの自動画像送信フォーマット/APTは動作しているのだと思います。


その他のラジオ・ファクシミリについて
JMHやアマチュア・ファクシミリだけでなく、業務用ですが共同通信社よりもニュース/海況図/航法警報とか、無線漁業協同組合もいろいろ送信業務を行っているようです。それから海外でも同様にファクシミリの送信業務はあるようです。これらは業務用途ですが扱いには注意してネット検索などで調べてみると面白いと思います。うまく受信できるかな? 流石に日本ではJMHの電波は強力にしっかりと受信できますので、入門/学習用にも適しています。

3.5MHz帯でFT8を運用していると、ファクシミリの音が聞こえて信号がかぶってきて、弱いDX局などはデコード(交信も)できなくなることもありますよね。なんだろう? と、今回いろいろ調べてその信号を受信してみました。ああ、デコードできますねえ。


調べてみますと、コールサインがHLL2という韓国気象庁海洋気象部の気象FAXのようです。送信所はソウル近郊の金浦にあり3585kHzの気象FAXで、送信出力は3kWのようです。USBだと3583.1kHzで受信します。なぜ10kHz下の3573kHzにかぶってくるのでしょうか? 私の無線機のスコープでは、このファクシミリ信号に同期して中心周波数に対し上下で不要輻射らしい電波がみえます。それで3.573MHzのバンドにもかぶっているようです。何か設備に問題でもあるのでしょうね、調整・修理要なのでは? と思います。3.5MHz帯でDXCCを追いかけている私たちには残念な現象です。
ちなみに7.793.1MHzのJMHでは、このような不要輻射の現象はみられませんね。

カラーFAXの事など
前述のファクシミリクラブより、Mup-FAX(マップファックス)というカラーFAXの基板を出されているようです。どうも20年くらい前から基板やキットの領布が行われていたようですが、2021年のハムフェア開催があれば(あるようですね)会場などで、クラブ・ブースに行って色々と見たりして、現状のお話を伺うのもよいのではないでしょうか。力作で改良などもあったりするようですね。

●あとがき
皆さん、2021年のゴールデンウイークはステイホームでアマチュア無線を楽しみましたか。私は、例年には旅行に出かけたりしていますが、今年は南極昭和基地8J1RLとのFT8の交信に頑張ったり、5/1からは東京オリンピックの記念局運用(8JxOLYMPICと8NxOLPのコールサインで、1エリアから0エリアまで)も始まり、20局ほどあるので、まあ全局のQSLカードを貰いたいなあと頑張りました。このオリンピック記念局のパイルアップぶりはDXペディションなみに賑やかですね。そうそう私は久しぶりに8J0OLYMPIC局と7MHzのRTTYで交信しました。RTTYもFBですね。

太陽黒点も上がったり、下がったりしていますが、まだまだサイクル25もこれからですね。ニューエンティティは、なかなかゲットできていません。それからコロナワクチンの予防接種/注射券の配布・予約申し込み(高齢者から)も始まったようですが地域によって方法は異なるようですね。聞くところではネット申し込みや電話申し込みで、有名人のコンサートのチケット入手と同じように(若しくはより厳しい)かなりの手間/時間が掛かるとのこと。まー、無線のパイルアップとは比べられませんが、希望をもってアタックというところは似ているかもしれません。

さて、今回のファクシミリの記事を書き始めまして、ずーっと2週間以上、毎日JMHなどをいろいろ受信して、ファクシミリのことを調べながらも、飽きずに面白いなーと思っています。そのうちに私自信が、人間デコーダーになって、チョワチョワを聞いているだけで頭の中で画像生成されるのではと思うほどです。そんな訳はないのですが、ファクシミリの音が聴感上でほどよく心地よいです。

アマチュア・ファクシミリもよくできたソフトがあり、楽しめることがわかりました。また、SSTVでも色々なモードがありますが、ソフトが自動的に仕事をしてくれます。先人の方たちの長年の努力の賜物です。しかし今回アマチュア・ファクシミリを調べてみて、その原理や規格について、私はよい資料に行き当たることができませんでした(どこかにはあるのでしょうね)。古くからの技術ですが、今回おもしろかったこともあり、もっとハードやソフト解説資料などがあればいいなあと、もうちょっと勉強したいと思いました。

皆さんFBDX。ではまた次回まで、

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