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MasacoのFBチャレンジ!

1年ぶりに「JL3ZGL/1」でオンエア!

新型コロナウィルスの影響でしばらくお休みしていた、Masacoさんによる1エリアからの「JL3ZGL(FB Girls Radio Club)」の移動運用を、2回目の緊急事態宣言が解除された3月下旬に行いました。

今回の移動運用地ですが、「三密を避ける(観光地などは除外)」「東京都心からも行きやすい」「ロケーションが良好でアンテナ設置が可能」「きれいなお手洗いと食事ができる施設がある」などの条件を備えた候補地の中から、千葉県長生郡長柄町の「長生き展望台」を選びました。


今回の移動運用場所「長生き展望台」は房総半島の中央部、長生郡長柄町にある
(フリー白地図 freemap.jpを加工)

ここは房総半島の高台「房総台地」の“縁”にあたる場所(海抜約130m)。すぐ東側の眼下には広大な九十九里平野が広がり、遠くには太平洋が見えるという素晴らしいロケーションです。


「長生き展望台」は海抜130m。東側は障害物がなく、天気の良い日には九十九里平野から太平洋まで一望できる

この一帯は「ながら太陽ファーム」と呼ばれるエリア(約20,000平方メートル)で、所有している地元の建設会社が斜面に広大な蕎麦(そば)畑を作り、収穫した蕎麦の実は石臼で製粉するというこだわりの蕎麦店を運営。それを目当てに訪れるお客さんのために、展望台を整備しました。

ただし東側は絶好の眺望ですが、西から北西方面は数百メートル先にもう少し高い丘があるため“大票田”の東京都内の方角は見渡せないのが残念です。


「長生き展望台」の西側、東京都心方面は小高い丘があるので眺望できない。手前はソバと野菜の栽培が行われる畑

アンテナ設置と430MHz帯で第一声

午前10時前、Masacoさんとサポートスタッフを乗せたレンタカーが長生き展望台に到着。Masacoさんはしばし展望台のデッキで景色を楽しんでから、設営を始めました。


Masacoさんが展望台に到着!


展望台からの眺望を楽しむMasacoさん

まず設置したのは、全長5mの伸縮ポールとタイヤベース、そして144/430/1200MHz帯の3バンドGPです。念のため144MHz帯の5エレ八木、430MHz帯の8エレ八木も持参していましたが、GPで十分呼ばれたことから、結果的に出番はありませんでした。

Masacoさんにとっては使い慣れた(建て慣れた)アンテナシステムなので、GPの組み立て(ラジアル取り付け)、同軸ケーブルの引き回し、タイヤベースの組み立てなどを黙々と進めていきます。


伸縮ポールとタイヤベースでアンテナをセットアップ中


アンテナのセッティングが完了、まもなく運用スタート!

無線機はクラブ所有のIC-9700。別に持参した自動車用のバッテリーから12V→13.8Vのコンバータを介して、安定した電力を供給し50W出力を確保しました。

設営は30分ほどで完了。さっそくIC-9700のスイッチを入れ、まず430MHz帯のFMモードをワッチ。土曜日の午前中とあって、バンド内はかなりの混雑で、なかなか空き周波数が見つかりません。緊急事態宣言が解除になったためか、移動局もたくさんQRVしているようです。


クラブ所有のIC-9700を使用。スペクトラムスコープで空き周波数をチェック中

Masacoさんはようやく空き周波数を見つけ、メインチャンネルでCQを出し、移行するサブチャンネルの周波数をアナウンス。そしてサブチャンネルでもう一度短いCQを出したところ、数局から同時に呼ばれました。

最初は千葉市花見川区、続いて千葉市稲毛区の局と交信。どちらも25km程度離れていますが信号は59+で強力でした。お相手いただいた2局ともオペレーターがシンガーソングライターのMasacoさんであることに気が付いたようで、激励の言葉をかけていただきました。

3局目は神奈川県座間市、4局目は東京都葛飾区と交信。両局とも東京湾を挟んだ向こう側で、運用地点の先にあるやや小高い丘が被ってしまう方角でしたが、信号はまったく問題なく強力に入感していました。続いて5局目は150km離れた群馬県前橋市。相手局からの「こちらのQTHは群馬県前橋市です」というアナウンスに、思わずMasacoさんが「やった!」と小声でつぶやきました。

この後も順調に呼ばれ続け、結局50分間で20局と交信。一番遠かったのは約270km離れた日本海側の新潟県柏崎市の局でした。信号は安定していたので山岳回折でしょうか。交信の瞬間、「新潟県! 遠くから呼んでいただきありがとうございます!!」とMasacoさんのテンションはMAXになりました。


ドアを開け放った車内から430MHz帯で運用中のMasacoさん

144MHz帯と1200MHz帯でも運用

呼ぶ局が途切れたところで144MHz帯のSSBにQSY。ここでは約25分間で千葉、東京、神奈川、埼玉などの12局と交信。最も遠かったのは約70km離れた神奈川県藤沢市の局でした。430MHz帯よりも心なしか“飛距離”が伸びませんでした。また多少ノイズレベルが高かったのも気になりました。

持参したIC-9700は144/430/1200MHz帯の3バンド機。使用しているアンテナもこの3バンドに対応したGPなので、1200MHz帯にもQRVしてみました。送信出力を1Wに低減する必要があるため、ロスを少しでも減らそうと、アンテナはトリプレクサ(3バンド共用器)を通さず、IC-9700の1200MHz帯端子に直接接続しました。

FMのメインチャンネル(1295.00MHz)付近の周波数をワッチすると、5局ぐらいの交信が確認できました。「これなら誰かに呼んでもらえるかも!」とMasacoさんは意気揚々とメインチャンネルでCQを送出。するとすぐ近くの千葉県茂原市の局に呼んでいただきました。茂原市は展望台から見て東側、何も障害物がないのでRS59++という感じで聞こえてきました。この局からは「茂原市には1200MHz帯に音声デジピータも設置されているんですよ」という情報も教えていただきました。この後は千葉市花見川区、千葉県船橋市の局とも交信成功。しかしロケーションの関係か、東京都心方面とはつながりませんでした。

お昼休憩後はIC-705でQRP運用

12時を回ったところで昼食タイム! 展望台の下にある蕎麦店に入り、Masacoさんは人気の「天ぷら蕎麦」を堪能。お店の方から「初夏と秋には窓の外の畑が、真っ白いソバの花で埋め尽くされるんですよ。その季節にまたいらしてくださいね」という案内を聞いて、「絶対にまた来ます!」と話していました。


地元食材をたっぷり使った天ぷら蕎麦を堪能!


6月頃は観賞用の「春そば」、秋は収穫用の「秋そば(特産の千葉在来という品種)」で、広大な畑は真っ白いソバの花で埋め尽くされる

13時半から午後の運用をスタート。もう一度430MHz帯のFMモードでCQを出して10局と交信。今度は120km離れた伊豆半島(静岡県)の移動局や150km離れた栃木県塩谷郡の局にも呼んでいただきました。

続いてHFにQRV! カメラ用の三脚にオートアンテナチューナーのAH-705を取り付け(AH-705の底部にカメラ用三脚が取り付けられるネジ穴があるので便利)、そこから伸縮ポールを利用して約15mのリード線を張り、末端は樹木の枝に這わせる形にしました。


カメラ用の三脚にAH-705を取り付け。IC-705で7MHz帯の運用に挑戦!

これにIC-705をつないでチューニングを取ると、見事に7MHz帯でSWRが1.2以下に収まりました。スピーカーからはバンド内の賑やかな様子が聞こえてきます。

ところが、なかなか空き周波数が見つかりません。ようやく見つけたところでCQを出しても応答がなく、そのうちに他局が被ってきたり、JL3ZGL/1の存在に気付かずに同一周波数でCQを出し始めたりと、ちょっと苦しい展開に…。これはIC-705付属のリチウムイオンバッテリーを使ったため出力が5Wだったことも影響しているのかもしれません。

周波数を変えながら、粘り強くCQを出し続けて、ようやく和歌山県紀の川市の局から応答があり、59-59で交信。その後も忍耐のCQを出し続け、長野県長野市、愛知県弥富市の局と交信できたところで、この日のタイムアウトになりました。


7MHz帯でCQを連発するMasacoさん。粘りに粘って3局と交信

今回の交信結果は…

今回のバンド別の交信結果は次のとおりです。

・7MHz帯SSB:3局
・144MHz帯SSB:12局
・430MHz帯FM:30局
・1200MHz帯FM:3局

総交信局数は48局。1年前に千葉県内(千葉市美浜区)で、Masacoさんとあーちゃんの2人が行った移動運用の4割弱という局数でした。

首都圏で緊急事態宣言が解除されてから初めての週末でお天気も良く(桜も満開で絶好のお花見日和)、外出していた人が多かったと思われること、7MHz帯がQRP運用のため、なかなか気が付いてもらえず、“制空権”がままならなかったことが理由と思われます。


この日の総交信局数は48局。「ソバの花が満開の時期にまた来ます!」とリベンジを誓った

ロケーション的には良い場所なので、HF 50W機にフルサイズのダイポールなど、それなりの設備で臨めば、7MHz帯でもかなりの局数が期待できそうです。また東側は太平洋まで一望できるので、午前中に21MHz帯や18MHzで北米方面を狙ってみるのも面白いかもしれません。Masacoさんは「もう一度、ここに来てリベンジしましょう! ソバの花が満開の時期がいいなあ!!」と感想を述べていました。

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次号は 12月 1日(木) に公開予定

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