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「新スプリアス規格」への移行期限を延長する総務省令が施行

総務省は8月3日付けの官報で、「新スプリアス規格」への移行期限を“当分の間延長する”ことを目的とした総務省令(無線設備規則の一部を改正する省令の一部を改正する省令)を公布し、即日施行した。


スプリアス規格の変更と新規格への移行経緯

ITU(国際電気通信連合)は、無線機器から発射される不要電波(スプリアス)を、世界が足並みを揃えて低減させるため、2003年の世界無線通信会議(WRC)でスプリアス発射の強度の許容値を改正した。これに伴い、日本の総務省も「新スプリアス規格」を決定し、平成17(2005)年12月に法令(無線設備規則)を改正した。

この改正法令施行の際、既存の旧スプリアス規格で製造された無線機や無線設備については段階的な経過措置が設けられたが、旧スプリアス規格の無線機を使って新たに無線局の開局や既設無線局の無線設備の増設等を行うことは、すでに平成29(2017)年11月30日以降できなくなっている。

また、「旧スプリアス規格の無線設備で平成29(2017)年11月30日までに無線局免許を受けている場合、その使用は令和4(2022)年11月30日まで」という経過措置も設けられたが、その使用期限があと1年半に迫っていた。総務省によると、これまでに新スプリアス規格への移行対象となっている国内約276万局(包括免許を除く)の無線局うち、約8割にあたる210万局が新規格への移行を完了したという。

しかし、新型コロナウイルス感染症による社会経済への影響等により、新スプリアス規格への移行に遅れが生じることが想定されるため、総務省は今年3月、旧スプリアス規格で免許を受けている無線設備の使用期限(経過措置)を「令和4年11月30日まで」から「当分の間」と改める方針を固め、新スプリアス規格に移行していない無線局は「令和4年12月1日以降、他の無線局の運用に妨害を与えない場合に限り使用することができる」とした無線設備規則の一部改正と関連告示の改正案を作成。パブリックコメント募集と電波監理審議会への諮問・答申を経て、8月3日に官報で公示、即日施行された(インターネット官報 8月3日付け参照)。


8月3日付けの官報で関連法令が公布された

現在「旧スプリアス規格の無線設備で免許を受けている局」が対象

これにより、現在旧スプリアス規格の無線設備で免許を受けている局は、令和4年12月1日以降も他の無線局の運用に妨害を与えない場合に限り、その無線設備の使用が可能で、再免許を受けることもできるようになった。

また現在、無線局免許状に「旧スプリアス規格の無線設備は令和4年11月30日までとする」という条件(付款)が付されている場合は、その条件が付されていないものと見なされ、「令和4年12月1日以降も他の無線局の運用に妨害を与えない場合に限り、使用することができる」との条件が付されたものとして扱われ、その無線設備での再免許も可能だ。


旧スプリアス規格の無線機を含んで免許を受けているアマチュア局の無線局免許状には、「使用は令和4年(平成34年)11月30日までに限る」という条件(付款)が記載されているが、今回の法改正で、記載されていないものとして扱われる

しかし、現在免許を受けていない旧スプリアス規格の無線機で、これから(旧スプリアス規格のまま)無線局の開設または変更・増設を行うことはできない。こうした場合は、その無線機が新スプリアス規格に適合するように必要な措置を講じた上で、JARDなどの基本保証(いわゆる保証認定)を受ける必要がある。

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次号は 12月 1日(木) に公開予定

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