アパマンハムのムセンと車
2026年2月16日掲載
さて、季節は風の強い時期へと突入します。「春一番」が吹くのももう間もなくです。冬の間の北風や雪に耐えてきたアンテナや同軸ケーブル、タワーのボルト類。これらに緩みや腐食がないか、本格的な強風シーズンの前に点検をおすすめします。高所作業は無理をせず、まずは地上からの目視確認を。愛機と設備を守るのも、ベテラン無線家の嗜みです。安全第一で、春のオンエア・シーズンを万全の状態で迎えましょう。
1.「春一番」とは?
気象庁の定義によると、立春(2月4日頃)から春分(3月20日頃)までの間に、初めて吹く「南寄りの強い風」のことを指します。具体的な目安は以下の通りです。
時期: 立春~春分
風向: 南寄り(東南東~西南西)
風速: 最大風速が約8m/s以上(地域によって違いがある)
気温: 前日より気温が上昇する
気圧配置: 日本海に低気圧があり、太平洋側に高気圧がある配置(西高東低の冬型が崩れた状態)
この気圧配置により、南からの暖かい空気が日本列島に流れ込み、一時的に春の嵐となります。しかし、春一番が吹いた翌日以降は「寒の戻り」と言って、再び冬型の気圧配置に戻り、寒さが厳しくなることが多いのも特徴です。

春一番発祥の地
2.春一番の時期の移動運用 5つの注意点
この時期の移動運用は、冬の寒さと春の強風が混在する、ある意味で「装備と判断力が試される時期」です。アマチュア無線家として特に注意すべき点をまとめました。
①アンテナ・マストの突風対策(最重要)
春一番は、一定の強さで吹き続けるだけでなく、突発的な「ガスト(突風)」を伴います。
釣り竿アンテナ・伸縮ポールの破損:
カーボンやグラスファイバー製の伸縮ポールは、しなりには強いですが、強烈な突風を受けると一瞬で折れたり、縮んでしまったりします。
対策:
特に伸縮ポールでは、通常よりステー(支線)を多めにとる(2段ステーにするなど)。また、「フルアップしない(全伸させない)」ことで強度を保つ工夫が必要です。風が強まったら即座にクランクダウン(撤収)できる体勢で運用しましょう。
かくいう私も、自宅の釣り竿アンテナが一瞬で倒壊した経験があります。人的、物的被害は、私のサイフが寒くなった(釣り竿が破損)以外にはなかったのが救いでした。
②車両運用時の「ドアパンチ」と「揺れ」
移動時に車を使うのはよくあることです。当然、車の中で運用することが多いと思いますし、別の場所で運用するにしても、車の出入りは頻繁に行うことになると思います。
ドアの開閉:
強い南風に煽られ、ドアが勢いよく開いて隣の車や立木に激突する事故が増えます。また、機材の搬入出時に風でドアが勝手に閉まり、手指を挟む危険もあります。このような場合に備えて、各種保険の加入をお忘れなく。
車体の揺れ:
ルーフに大型のHFアンテナを設置している場合、強風で車体が揺れ、運用に集中できないだけでなく、基台(マウント)ごと脱落するリスクがあります。この時期は小さめのアンテナを選ぶか、停車中もマグネット基台などで補強することをお勧めします。
特にルーフの破損は事故車扱い(修復歴あり)になってしまうこともあります。そうなると次の車の乗り換え時に不利になりますので、無理は禁物です。

ドアパンチにはご注意を!
③「寒の戻り」による低体温症リスク
春一番が吹いている最中は気温が上がります(20℃近くになることも)。しかし、前線が通過した直後に風向きが北寄りに変わり、気温が急激に10℃以上下がることがあります。
山岳移動:
山頂で汗ばむほどの陽気だったのが、数時間後に氷点下近くの体感温度になることも珍しくありません。
対策:
服装は「レイヤリング(重ね着)」を徹底し、春の装備ではなく、まだ冬の装備を持参してください。車で移動する場合でも、寒さ対策は万全にしましょう。設営時、撤収時は外で作業することになるのですから。

寒の戻りの空
④ログ帳・軽量機材の飛散
屋外でテーブルを広げる場合、紙のログ帳、QSLカード、ハンディ機、軽いSWR計などが一瞬で吹き飛ばされます。
対策:
バインダーは強力なクリップ付きのものを使用し、機材は養生テープやバンジーコードでテーブルに固定するなどの「風対策」を卓上でも行ってください。

風で飛ばされないように注意しましょう!
⑤静電気ノイズ(Electrostatic Noise)
春の強風は、埃や砂、花粉を大量に巻き上げます。これがアンテナに当たると、摩擦による静電気ノイズ(「バリバリ」という音)が発生し、受信感度を著しく下げることがあります。特にハイインピーダンスのアンテナ(ロングワイヤー)で顕著です。無理に運用せず、ノイズがひどい時は運用バンドを変える(V/UHFにするなど)柔軟性が必要です。
3.春の交信を楽しむために
春一番の時期はリスクもありますが、一方で、Eスポの兆しが見え始めたり、暖かい空気が流れ込むことによるダクト伝搬が期待できたりと、無線家としてはワクワクする季節でもあります。「風が強すぎる」と感じたら、勇気を持って撤収する、あるいは最初から風裏になる場所(南側に山がある場所など)を選定することが、安全運用の鍵です。
2月16日からは確定申告の受付期間です。また、ついつい忘れがちなのが無線局免許状の「再免許申請」。リグの前で熱中するあまり手続きを忘れては大変です。この時期、シャックの整理整頓と合わせて、免許の有効期限も一度チェックしておきましょう。このところ申請方法が変わっています。以下、簡単にまとめましたので、ご参照ください。
2025年10月以降、電波法の制度改正により、アマチュア無線の再免許手続きが大きく変わりました。5年に1回のことですので、なかなか覚えられていないと思います。今回は大きく変わっていますので、特にご注意ください。
1.ここが変わった! 最大のポイント
「新しい免許状(紙)」は送られてきません! これまでは、郵送で新しい免許状を受け取るために「返信用封筒」を送っていましたが、現在は原則としてデジタル免許状(画面で確認)のみとなります。
※これにより、返信用封筒の準備や郵送の手間がなくなりました。

この免許状も見納めですね
2.申請できる期間(重要)
申請期間は、有効期間満了の「6ヶ月前」から「1ヶ月前」までです。
受付開始: 半年前(6ヶ月前)から
受付締切: 1ヶ月前まで
3.最もカンタンな申請手順(電子申請)
現在は、スマホやPCを使った「電波利用電子申請」が主流かつ最安です。
①申請する
「総務省 電波利用電子申請」にログインし、「再免許申請」を選択。必要事項(ほとんど自動入力されます)を確認して送信。
②手数料を払う
審査終了のメールが届いたら、ネットバンキングやATM(Pay-easy)で手数料(1,700円)を納付。
③完了確認(ここが新しい!)
納付後、しばらくして「審査終了」となれば手続き完了です。何も郵送されてきません。総務省の「無線局等情報検索」サイトで、ご自身の有効期限が更新されていることを確認してください。
4. よくある質問 Q&A
今のアマチュア無線局免許の更新は、「半年前になったら、スマホでポチッと申請・支払い。封筒は不要」と覚えてください!
なおご意見、ご感想、ご質問等については、筆者である私宛(jf1kktアットマークgmail.com)へご連絡頂けますと幸いです。
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