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特別寄稿

無線機用マイクをUSB HID化する音声通信インターフェースの製作

VK3/7M4MON 野村秀明

2026年2月2日掲載


製作したUSBアダプター2種類(ハンディー機用/固定機用)

Mumbleという、オープンソースのVoIP(Voice over Internet Protocol)アプリケーションをご存じでしょうか。

Mumble は低遅延な音声通信を目的として設計され、主にゲーマー向けのボイスチャットとして広く利用されています。操作方法は Push-To-Talk(PTT)方式を採用しており、「押して話す」という点では無線機の運用スタイルと同じです。また、1対1の通話ではなく、複数のユーザーが同じチャネルに参加して同時に通話する仕組みを基本としている点も、無線通信に近い特徴と言えるでしょう。

そこで今回は、「アマチュア無線機の固定機用マイクやハンディ機用スピーカーマイクを、そのまま Mumble の操作に使えないだろうか?」というアイデアから、実際にインターフェースを製作してみました。

Mumble について

Mumbleは以下のような特徴があります。
・無料で利用できるオープンソースソフトウェア
・Push-To-Talk(PTT)による送信制御が可能
・遅延が少なく、クリアな音質
・複数ユーザーが同一チャネルに参加するグループ通話が可能
・自分でサーバーを構築でき、プライベートな通話環境を作りやすい

Windows版では、PTTや各機能をジョイスティック(ゲームパッド)のボタンに割り当て可能であることが分かりました。ならば、アマチュア無線機用マイクのUP/DOWN・PTTをそのままゲームパッドのボタンに変換すれば、まるで無線機のような感覚でMumbleを操作できるはずと考えました。

USBゲームパッド化の仕組みと使用ライブラリ

USBデバイス化には、HIDデバイスとしての使用例が多く、過去の動作実績も豊富なATmega32u4を採用しました。ATmega32u4を採用したマイコンボードはいくつか種類がありますが、ケースに収めやすいように、USBコネクタ一体型の小型マイコンボードを採用しました。


ATmega32u4 マイコンボード

USB Joystickデバイスとして振る舞うためのライブラリは、Joystick library by Mheironimusを使用しました。このライブラリを組み込むことで、Windowsからは専用ドライバ不要で、標準のゲームコントローラとして認識されます。

マイク信号の読み取り方法

アイコムの固定機用マイクのボタン仕様は以下のようになっています。
・PTT ピン: アクティブ Low
・UP/DOWN ピン:
 UP       : Low
 DOWN    : 470Ω を介して Low

UP/DOWNピンを5V、2.2kΩでプルアップしてアナログ入力で電圧を読むと
・UP          → 0V付近
・DOWN → 約0.88V(10bit ADC値≒180)
・OFF       → 5V(プルアップ状態)
となります。

PTTについては本来デジタル入力でも検出できますが、後述する「ハンディー機用スピーカーマイク版」とファームウェアを統一するため、こちらもアナログ電圧で判定しています。

製作したプログラムは、Githubで公開しています。

ハードウェア構成(固定機用マイクロフォン)

固定機用マイクロフォンUSBアダプターのブロック図は以下のとおりです。


固定機用マイクロフォンUSBアダプターのブロック図

・USBハブでPCとの接続を以下の2系統に分岐します。
 ①USBオーディオデバイス
 ②ATmega32u4 → HID変換

・マイクからのUP/DOWNおよび、PTTはATmega32u4のアナログ入力に接続

Windowsでは「Arduino Micro」という名前のゲームパッドとして以下のように認識されます。


「Arduino Micro」ゲームパッドのプロパティ

ケースはAltronics H216(W60×D120×H30mm)を使用しました。工作性も良く、収まりも上々でした。


ケースに収めた状態の固定機用マイクロフォンアダプター

なお、今回使用したUSB Audio Codec IC(一般的なPC/スマートフォンのヘッドセットアダプター)はイヤフォン出力機能付きで、PCに接続すると“デフォルト出力先”として選ばれてしまうことがあります。これを回避するには、音声入力専用のUSB Audio Codec ICを使用する必要がありますが、やや特殊で入手が難しいようです。

次ページは「Android(Mumla)+スピーカーマイク版の製作」

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