2016年3月号

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連載記事

日本全国・移動運用記

JO2ASQ 清水祐樹

第6回 大阪市移動

前々回に「都心部の限られた場所で移動運用」というテーマで移動運用の様子を紹介しました。その方法で、実際に大阪市の都心部での移動運用を行いました。大阪市で移動運用する場合の特徴や、新たに気付いたことを以下に記します。

大阪市の特徴

大阪市の特徴としてまず挙げられるのは、区の数が多いことです。政令指定都市の中で最多の26区あります。例えば1日4か所のペースで全部の区から運用するには7日間かかります。

都心部には超高層の建物が多いことも特徴の一つです。HFの場合は、高い建物が周囲にあっても、アンテナさえ設置すれば何とかなります。しかし、V/UHFや衛星通信が目的となると、目的の方向が超高層ビルに遮られるロケーションでは、その影響があります。
大阪市には高層ビルは多くあっても、山は少ないので、例えば山に囲まれている京都市、北側に山が迫っている神戸市のように、地形的な原因で運用場所が制約されることは少ないと言えます。

他の政令指定都市にあまり見られない特徴として、大阪市は一方通行が多く、自動車で一旦通り過ぎてしまうと、元の場所に容易に戻って来られない地域があります。運用場所の候補地を事前にできる限り調べておき、移動時間のロスが無いように道順を考える必要があります。
あと、運用場所とは直接関係ありませんが、年度末に近い2月という時節柄、宿泊施設がどこも満杯で、確保に大変苦労しました。宿泊を伴う移動運用を計画する場合、早目の確保をお勧めします。

運用場所探し

運用場所としては、河川敷や公園の駐車場が理想的と考え、出来る限り利用しました。しかし、都心部では広い駐車スペースが無いので、コインパーキングに駐車して、釣竿アンテナを使って自動車1台分のスペースで運用するスタイルとしました。
しかし、某区では大規模なイベントが行われていたようで、コインパーキングが全て満車。地下駐車場しか空いていない状況で、やむを得ず運用は中止としました。その他、運用時に困ったこととしては、住宅地の中の公園にはトイレが少なく、かといって近くにコンビニなども見当たらない、ということがありました。

電波伝搬の特徴

大阪市で運用する場合、7MHzや10MHzでコンディションが低下して近距離がスキップした時には、2エリアで運用する時よりも呼ばれる局数が多いです。1エリアの最も局数が多い地域からは2エリアよりも離れているため、その点では地理的に有利です。 一方、1.9MHzや3.5MHzの8エリアは、今回の移動運用では期待した成果が得られませんでした。ロケ的に北東側が開けた場所が確保できなかったことと、時期的に北日本ではスノーノイズがあるために、こちらの弱い信号が拾えなかったことが主な要因と思います。

運用の様子

2月にEスポが発生することはまず無いので、運用スタイルは必然的に、昼間の伝搬のコンディションが良い時には10/14MHz、そうでない時は7MHz、夜間は1.9/3.5MHzが中心という形になります。14~28MHzは、あらかじめ運用周波数を決めておき、一定時間(例えば5分)後に順番に上のバンドにQSYするようにしました。Eスポシーズンではなく14~28MHzで混信になることは極めて少ないため、この方法でうまく運用できました。耳の良いDX局から呼ばれることもあり、国内の伝搬が悪くても油断できないことが印象的でした。
特に、夕方の7MHzと3.5MHzのパイルアップは、かなり長時間続きました。また、大阪市の14MHzは運用が少なく需要が多いので、コンディションが良くなって1エリアが開けた時には結構なパイルになりました。

電車や地下鉄が近くにある場所では、HFの全バンドで強力なノイズに悩まされました。固定局でも、都心部でのHFの運用はノイズ対策に苦労しているという話を聞きます。今回の移動運用では、その心境がよく分かりました。
V/UHFの場合、ガラス張りの超高層ビルが近くにあれば、そこにビームアンテナを向けて反射で遠距離通信を狙う技もあります。実際に高層ビル反射を使って、大阪市内から144/430MHzで名古屋市や鳥取市と交信できました。意外だったのは、海に近い所ではアンテナを淡路島方向に向けると144/430MHzの信号が強くなることがありました。淡路島の標高の高い所に反射源があるのかもしれません。

運用場所の一例を図1に示します。高層の建物が立ち並ぶ中、駐車スペースを有効に使って運用しました。


図1: 運用場所の一例

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