10月25〜26日、オーストラリアの首都キャンベラで「VKFF National Get Together 2025」が開催されました。筆者はオーストラリアに長期滞在していることもあり、セミナー参加を兼ねて現地のハムとの交流やワークショップを体験してきましたので、その様子をレポートします。

セミナー会場の「Eastlake Football Club」の外観

VKFFとは

World Wide Flora & Fauna in amateur radio(略称: WWFF)は、国際的なアマチュア無線プログラムであり、その目的は『自然・動植物の保護の重要性に対する関心を高め、特にポータブル運用を通じて無線技術の発展を促進すること』にあります。

WWFFプログラムは、世界中の指定された公園や保護地域からアマチュア無線家がポータブル運用を行うことを奨励しており、これにより自然保護地域への注目を喚起しつつ、無線家にとって意義ある活動の機会を提供しています。

Australian Flora and Fauna in amateur radio(略称: VKFF)は、2013年に開始されたWWFFの認定ナショナルプログラムであり、WWFFの正式なパートナーとして活動していいます。

セミナー会場内の様子

初日のイベント

・午前のセミナー
午前のセミナーは、VKFFの成り立ちや仕組み、パーク運用のコツなどを分かりやすく紹介するセッションが行われました。開会では「最初は誰も公園で運用しないと言われた」という裏話も披露され、今の盛り上がりとの対比に会場が湧きました。

初心者にも役立つ内容が多く、ログ提出の方法、パークの探し方、忘れ物防止、天候への備えなど、実運用に直結するアドバイスが次々と紹介されました。また、Flinders Islandでの大規模アクティベーション報告や、世界中の運用が一目で分かる新システム「Spotline」の紹介もあり、ポータブル運用の魅力が存分に伝わる内容でした。

・午後のセミナー
午後のセミナーはアンテナ実演やデジタルモードの紹介など、実践的な内容が中心でした。3名の講師によるアンテナ講座では、ZS6BKW HFアンテナやリンクダイポール(ギボシダイポール)、エンドフェッドなど、キャンプでも使えるお手軽アンテナの使い方や工夫が紹介されました。また、CWやFT8を公園から運用する方法も実演され、RBNの活用や時刻同期のコツなど、初心者にも役立つポイントが丁寧に説明されました。

後半の質疑では、ボランティア不足やログアップロードの仕組みなど運営側の裏話も共有され、VKFFが多くの人の善意で成り立っていることが伝わってきました。最後はVK1(キャンベラ)地域の公園紹介と表彰式、そして来年はVK5(南オーストラリア州)での開催が発表され、和やかな雰囲気の中で一日が締めくくられました。

以下はセミナーのセッション一覧です。
・開会あいさつ(VK5FR / VK5PAS)
・WWFF/VKFFプログラムの紹介(VK5MAZ)
・アクティベーター & ハンター向け実践アドバイス(VK3YV)
・パーク登録の仕組みと探し方(VK6XN)
・フリンダース島 DXペディション報告(VK5FR)
・Spotline(スポットシステム)の紹介(VK2YK)
・パーク運用のアクセス・安全・マナー講座(VK5PAS)
・アンテナ実演ワークショップ(VK6XN / VK5LA / VK5PAS)
・公園からの CW運用紹介(VK5LA)・公園からの FT8運用紹介(VK3ZPF)
・質疑応答 & 表彰式
・VK1(キャンベラ地域)パークの紹介(VK1DI)
・くじ引き & 2026年開催地の発表

2日目のイベント

・朝のBBQと実技ワークショップ

その後、前日の講義内容に基づいてリンクダイポール(ギボシダイポール)アンテナを実際に製作しました。

製作したアンテナはSWRの落ちも良く、その場で実際に交信することができました。

現地OMに見守られながら交信をする筆者

・Calum Brae Nature Reserve VKFF-0836でのアクティベーション

•      その後VK5PASと共にCalum Brae Nature Reserveに移動し、オージースタイルの交信でアクティベーションを実施しました。
•   ・一つの無線局が複数コールサインを持ち、一度の交信で別コールサインでもレポートを交換するケースあり。
•   ・交信が終わると、友人局が待っており、順に呼ばれるスタイル。

現地ハムの指導のもと、VK1/7M4MONで現地スタイルのQSOをできたのは貴重な経験となりました。

オージースタイルの交信の指導を受ける筆者

感想

今回のVKFFの集いを通じて、アマチュア無線が「ボランティアの熱意」で支えられていることを強く感じました。初対面のハム同士でもすぐに打ち解け、知識や経験を惜しみなく共有し合う姿に、この趣味ならではの温かさを実感しました。自然の中で電波を通じて人とつながるWWFF/VKFFは、ニューカマーだけでなくベテランハムにもおすすめしたい魅力的な活動です。