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HW Lab

第15回 矩形波から正弦波を作る実験(後編)

JH3HWL 箭野佳照

2026年4月1日掲載


前編の復習

前編の復習から始めます。前編では、デューティー比50%の矩形波(くけいは)には、基本波に加え、その奇数倍の高調波が含まれていることを難しいフーリエ級数で展開した数式(1)式と、実際の矩形波のスペクトラムをtinySAで観測した画像で確認しました(図1)。


参考ですが上記(2)式は正弦波を数式で表したものです。( )内には矩形波f(t)のように高調波を表す、例えばsin3ωtやsin5ωtが含まれていません。


図1. 1MHzの矩形波の高調波をtinySAで観測したスクリーンショット (START:0Hz STOP:10MHz)

このあと、1kHzの矩形波の信号を抵抗(R=10kΩ)とコンデンサ(C=0.047µF)で構成したRCローパスフィルター(RC LPF)1段に通し、高調波のレベルが低減していることを確認しました(図2)。


図2. RC LPFを通す前(左)と後(右)の波形の比較

RC LPFを通す前の矩形波では1kHzの3倍の高調波(3kHz)のレベルは基本波に対して-10dBのレベル(図2左)でしたが、RC LPFを通すと-17dBのレベル(図2右)まで低下しており、RC LPFで7dB抑えられたことが分かりました。同様に5倍の高調波では、11dBの低下となりました。

後編の実験の目的は、RC LPFを通した出力波形を図2右の上側に現れているサメの背ビレのような波形から正弦波に見えるように近づけることです。そこで後編では、矩形波の信号をRC LPFを1段のみならず、複数段通すことで高調波をできる限り取り除きます。その結果を測定器で確認していきます。

RC LPFに矩形波の信号を通すとどのような波形になるか

10kΩと0.047µFのコンデンサで構成したRC LPF(fo=338Hz)に矩形波の信号を通すと高調波が抑えられるのは先の図2のスクリーン画像で確認できました。

図3のように抵抗とコンデンサで作ったRC LPF 1段に1kHzの矩形波を入力します。その入力信号と出力信号をオシロスコープの同じスクリーンで観測したものが図4です。


図3. fo=338HzのRC LPFに1kHzの矩形波を入力して出力波形を観測する

黄色が入力信号となる1kHzの矩形波、青色がRC LPFを1段通した後の出力波形です。RC LPFに矩形波を通すとその出力はサメの背ビレのように三角形のような形をした波形になりますが、正弦波の形ではありません。


図4. 1kHzの矩形波とRC LPF 1段を通した後の波形の比較

複数段のRC LPFに矩形波の信号を通すとどのような波形になるか、LTspiceを使ってシミュレーションしてみる

ここで、10kΩと0.047µFのコンデンサで構成された複数段のRC LPFに1kHzの矩形波を通し、それぞれの段間で出力波形をシミュレーションしてみます。シミュレーションとは、電子部品を実際にハンダ付けして回路を組まなくても、パソコン上で回路を作って動作を解析できる仕組みのことです。

実際に抵抗とコンデンサで回路を組んで波形観測するのは早道ですが、このような方法もあることの紹介も含めて説明します。回路シミュレーションソフトで使用するソフトはフリーのLtspiceです。


図5の下段がRとCだけで構成されたRC LPFの回路です。RC LPFを4段シリーズ接続しています。この4段のRC LPFの入力に矩形波V(n001)を入力したときの各ポイントの出力波形をLTspiceでシミュレーションした波形がそれぞれV(n002)、V(n003)、V(n004)、V(output)です。それぞれの出力波形が図5の上段に表示されています。


図5. 4段RC LPFの各段における LTspiceによるシミュレーション波形

図5、V(n002)青色のグラフは、矩形波がRC LPF 1段通過後の出力波形です。図4で示したサメの背ビレと同じ波形をしているのが分かります。同様にRC LPFを2段、3段、4段と通過すると出力波形が変化していくのが分かります。3段目、4段目(Output)になると信号が大きく減衰しているためRC LPF通過後の波形はこのグラフからは小さすぎて読み取ることができません。

他の信号を消して、4段目のV(output)だけを拡大表示したものが図6です。これもシミュレーション波形です。振幅10Vp-pの矩形波もRC LPFを4段通すと8mVp-pまで減衰しました。約60dBの減衰です。そのため、信号のスタートを30msから40msまでとし、かつ信号の振幅目盛りも大きく拡大して表示しています。信号のレベルはたいへん低いですが、正弦波に近い形をしているのが分かります。


図6. 図5のV(output)だけを取り出して拡大した波形。正弦波の形に近づいているのが分かる

次ページは「シミュレーションで得た結果を実際の抵抗とコンデンサで作ったRC LPFで確かめる」

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