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無線をせんとや生まれけむ。

第九話 中国製の小さな短波ラジオを比べる

無線(CQ)をせんとや生まれけむ。
短波(ラジオ)聞かんとや生まれけん。
呼ぶ、かの局の信号(こえ)聞けば
我が身さえこそゆるがるれ。

JF3SFU 永野正和

皆さま、こんにちは。いかがお過ごしでしょうか?

はやいもので、長かった梅雨が終わり、立秋を過ぎ、9月になりました。
リフレッシュon BON-Holidays!と思っていたのですが、なにせ暑すぎましたね。
ましてや、新型コロナの騒ぎで、どこにも出かけられず、ほぼ引きこもりの夏休みでした。
さりとて、35℃のシャックは、修行部屋の様で入るには気合が必要です。
まぁ、なんです。暑くっても、BCLとアマチュア無線は楽しいですからいいんですけどね。
元気を出して、この暑い夏を乗り切りましょう。
気分的には、なんともぱっとしない状況が続きますが、もう少しがんばってまいりましょう。
出口のないトンネルはないと聞きます。
しごとの仕方や考え方を変える良いチャンスではあります。
テレワークなんてちょっと前まで、それ何のこと?という感じでしたもんね。

こんな時にこそ、まわりを見渡しますといろいろな発見がありますぞ。
より道、上等。(ふむ。)
いき抜きは大切です。(大好きです。)
もうね、わき目もふらず疾走しているだけが人生じゃござんせん。(そうだ、そうだ。)
ゆるりと夜空の月を愛でましょう。(いいですねぇ。)
つめたいビールがあれば最高です。(おっ、益々いいじゃないですか。)
くつろぎタイムが人生には必要ですね。(御意!)
リッスン・トゥ・マイ・ハート、心の声に耳を傾けて、といっても難聴気味なんですけど(笑)。

本稿をお読みの皆様におかれましては、残暑のお見舞いを申し上げますとともに、ぐれもご自愛ください。ゆっくり行き(生き)ましょう。(笑)

さて、前回、第八話では、海外(台湾、中国)のBCLラジオについてざっくりとお話しさせていただきました。今月は、BCL諸兄に人気のあるXHDATA D-808と、ちょっと気になるTECSUNの新製品、PL-330の2台を比較したいと思います。

アンテナは、WellbrookのALA-1530LNを使います。ラジオのアンテナ入力端子への接続は、アッテネータ付き変換ケーブルAPEX RADIOの35BNC-AT(現モデルは35BNC-AT3)を使用します。例によって、記述は私の主観でありますので、いつものようにお含みくださいますようお願い申し上げます。では、まずは基本スペックからまいります。
 

基本スペックの比較


主要項目評価

2台の評価です。
現在の私のBCLスタイルを主軸に評価をしました。
①短波放送の受信を主体に、自宅で外部アンテナをつなぎ受信することがほとんど。
②時々持ち歩き屋外で受信を楽しみたい。
③耳に全神経集中のDX受信には、もはやあまり興味はなく、受信のほとんどは、SINPO=オール3以上の英語放送や日本語放送、音楽番組などをのんびりと楽しむ。
④聞き疲れのしない音質のラジオが好み。
 


外観と外形寸法を比べる

〇寸法
下の写真の通り、PL-330はD-808より一回り小さいです。ちなみに、第八話で登場したTECSUN PL-380と比較しますと、サイズはほぼ同等です。変化したところとしては、単三乾電池駆動がBL-5Cのリチウムイオン電池駆動になり、同期検波が装備され、短波帯の受信バンドが拡張されました。ロッドアンテナで聞き比べたところ、大きな感度差はありません。


フロントビュー・サイズ比較 左:D-808 右:PL-330


サイドビュー・サイズ比較 左:D-808 右:PL-330

駆動電源

どちらも、リチウムイオン充電池駆動です。充電池は付属しています。D-808は18650型充電池を搭載し、充電池の容量は3.7V 2000mAhです。PL-330はBL-5C型充電池を搭載し、充電池の容量は3.7V 1000mAhです。

充電中は、特にAMとSWで受信音にノイズがのります。受信するバンドによっては盛大ですので、充電をしながらの受信はお勧めできません。D-808は、比較的早く充電池が早く減るように思えますので、私は、大容量の替え充電池を準備しています。両機とも充電器は付属していませんが、充電のためのUSBケーブルが同梱されていますので、USB充電器で充電することができます。また、充電池の交換はラジオをパワーオフの状態で、素早く行えば、周波数メモリやユーザ設定が消えることはありません。


充電池比較 左:D-808 右:PL-330

受信してみる

〇受信可能な周波数レンジ
長波、中波、短波で両機に大きな差はありません。長波はPL-330の方が上に60kHzほど広いですが、この受信周波数域に受信できる商業放送局は無いように思います。かたや、D-808はAIRバンドの受信ができます。外部アンテナにつないでワッチしますと、航空機と管制塔の交信が聞こえます。

〇受信感度
・長波: 内蔵のフェライトバーアンテナでの受信は難しいのではないかと思います。自宅では何も受信できません。(冬季に再トライです。)
・中波: ほぼ同じ感じで受信できます。両機の数値スペックは同じです。
・短波: 数値的なスペックは同じですが、実受信における了解度などは別の次元の話です。次項以降で、比較したいと思います。
・AIR(D-808):外部アンテナをつなぎますと、当地京都でも複数の交信が聞こえます。感度は充分です。

〇同期検波
このクラスのラジオではPL-330がはじめてだと思います。TECSUNの上位機種には既に搭載されていますが、使用したことがありませんので比較はできません。手持ちのラジオで同期検波を搭載しているものは、ソニーのICF-SW7600G/GRそれから、ICF-2001D/2010ですので、少し比較しました。PL-330に搭載されている同期検波は、ソニーICF-SW7600G/GRに搭載されている同期検波ほど、「キレ」はよくない感じです。それでも、IFフィルタ帯域を選び、U/Lの選択を行い、周波数微調整ダイヤルを操作することで、サイドからの混信が軽減することができ、了解度が上がるケースは多いです。表現が難しいのですが、ICF-SW7600GRの同期検波は懐が深く、どのような受信状況においても比較的オールマイティーにその効果を発揮しますが、PL-330のそれは、有効な場合とそうでない場合があり、「状況を、より好みする」感じがします。しかし、ハマれば了解度は大きく改善します。かたや、D-808に同期検波はありませんが、SSBモードで上側波帯と下側波帯の選択を行い、微調整機能(ダイヤル)でゼロビートをとることで、疑似的に同期検波とほぼ同じ効果を得ることができます。但し、操作と調整は少々コツが必要です。

〇IFフィルタの選択
両機ともDSPモデルらしく複数のフィルタ帯域から選択が可能です。選択できるフィルタの帯域が、AMとSSBで個別に設定されているというのは既に市場に出ているDSPモデルの踏襲ですが、好ましいと思います。但し、フィルタの切れ味は、表示されている帯域でスパっと落ちる感じではありません。(通信型受信機や、トランシーバのそれとはフィーリングは全く違います。)

とはいえ、サイドチャンネルから混信がある場合、立派に役に立ちます。D-808はPL-330と比較して少し細かな設定が可能ですが、ここまで必要だろうかという気がします。私は、「あの頃のBCLラジオ」の音質で放送を楽しみたいと思っていますので、D-808の最広帯域6kHzはちょうど良い感じで嬉しいです。PL-330の長波、中波のフィルタの最広帯域9kHzはやや広すぎで、その次のフィルタ幅が3.5kHzですので、これはちょっと離れすぎです。9kHzと 3.5kHzの間に、やはり6kHzあたりがあれば良いのになと思います。両機とも最狭域フィルタは500Hzですが、これがなかなか良いです。放送受信ではないのですが、このフィルタを使って7MHzのCWバンドをワッチしますと結構楽しめます。(ホイップアンテナで海外局が聞こえます。)

〇SSB復調時の周波数表示 (周波数ステップ表示)
ファインチューニング時の表示は、PL-330の場合、10Hzのオーダで表示され直観的です。また、メインのチューニングダイヤルで連続的に可変できます。D-808のファインチューニング時は+99~0~-99の範囲で表示がされます。(この表示の単位がHzかどうかは不明です。) チューニングは、筐体横のFine Tuneダイヤルで行います。

表示方式はPL-330が好みですが、表示全体の美しさはD-808かなと思います。D-808の表示部のバックライトカラーのライトブルーは、ドレークのSPR4の様で、実に美しいです。かたや、PL-330はアンバーイエローで視認性は高いです。(ICOMのIC-R75のカラーに似ているかもしれません。)


周波数表示 左:D-808 右:PL-330

〇操作のしやすさ
ボタンの大きさや配置とそこから導かれる操作性は、D-808に軍配が上がります。D-808は少し筐体が大きいこともあるのですが、実に操作がしやすいボタン配置とデザインだと思います。PL-330はどうもスイッチ類が微妙に小さく、使いづらく感じます。特に周波数STEP変更ボタンなど頻繁に使うスイッチは押しにくく、数字キーと同じくらいのサイズが欲しいところです。


(右)PL-330のボタンは全て少し小さい。周波数表示横のSTEP変更ボタンは使いづらい

〇受信音質

個人の好みに大きく関わりますので、どちらが良い、悪いといった評価は本当にしづらいところです。私的には、D-808は音質が豊かで、耳に優しい感じがします。PL-330の音質はどちらかといえば高音域に振られており、音の輪郭がはっきりしています。了解度は良いのですが、長く聞いているとややしんどい感じがします。FMや中波、それから、強力な短波放送をのんびり楽しむならD-808です。

〇混変調

ゲインの高いアクティブアンテナ(今回も、Wellbrook Communications: ALA-1530LNを使いました)をつなぎますと、受信状況によって混変調が発生します。

これは中波帯や、短波帯にいる超強力局の影響によるものですが、この混変調は、アンテナとラジオの間に、ATT付き変換ケーブルと共にHigh-Pass Filter(2MHz付近にカットオフにあるハイパス・フィルタ)を装着し、アンテナ端子への入力信号を調整することで解決できます。また、APEX RADIO: 303WA-2や、全長6.5mモノポールアンテナなど、パッシブアンテナにつなぎ変えますと、気にならないレベルに落ち着きます。強電界域でアクティブアンテナを使うということであれば、このクラスのラジオでは仕方ないかもしれません。


パッシブアンテナ(303WA-2 & 6.5m Long Mono Pole)


ATT(アッテネータ)付き変換ケーブルとハイパス・フィルタ

実受信

よく聴く外国語放送と主な日本語放送を両機で受信してみました。
結果は、下記の通りです。


SINPOがALL3以上の局は両機の受信で差はなく、同じように受信できるように思います。受信波が極めて弱い場合、D-808では放送の存在が確認できても、PL-330では聞きにくいということが何度かありました。(個体差かもしれませんので、これを以て、D-808の方が高感度とは言えないと思います。)

復調する音域が高音に振っているため、「私の耳」では聞きづらいだけかもしれません。トシと共に、高い音が聴きにくくなってきたような気がします。(汗)

また、表中の日本語放送はどの局も強力で、ロッドアンテナで全局の受信が可能です。

で、どっち?

なんとも、せっかちな質問です。(笑)でも、気になりますね。PL-330は既に販売されているPL-380とほぼ同等のサイズにSSBモードと同期検波を搭載した意欲的なモデルで大変魅力的です。手に取り使い始めた当初、第一印象は大変良いものでしたが、使っているうちに細かなアラが見えてきました。これは「新製品に対するいつもながらの過度な期待」のせいであります。

①表に示す実受信以外で、PL-330で聞き取りにくくなるシーンが何度かありました。多くは、弱い局を受信しようとした場合です。外部アンテナを接続している状態で、弱い信号を受信する場合、私のPL-330は、D-808と比較して、受信感度が微妙に低い感じがします。また、高域のノイズ成分により聞き取りにくく感じます。
②周波数入力ボタン以外のスイッチが小さすぎ、使いにくいです。
③サイドの周波数チューニングボリュームと音量ボリュームはロータリエンコーダを採用していて回転にクリック感が備わっていますが、もう少し高級感が欲しなと思います。(すぐダメになりそうなチープさを感じます。)
④同期検波への期待は高かったのですが、ICF-SW7600G/GRと比較すると見劣りしてしまいます。(ICF-SW7600G/GRは「できすぎ君」で、相手が悪いです。)
⑤日本国内流通がまだ確定しておらず、競争の原理が働かず、価格がまだ充分こなれていません。(D-808のコストパフォーマンスは極めて高いと思います。)
⑥知り合いのBCLの方に教えていただいてこのPL-330を購入したのですが、この方のPL-330が不調とのこと。中国東莞市にあるTECSUNのカスタマーサービスにメールを入れましたが1週間を過ぎてまだ返事はありません。どうも中国製品の品質とアフターサービスには不安があります。ましてや国内流通が確定していないと、購入に勇気が必要です。

PL-330が手元に届き、間もなく3週間という短い期間でのレポートで、インスタントな比較レポートになってしまいましたが、私の受信環境での総合評価としては、D-808に軍配が上がるように思います。大きなポイントは、音質の良さ、それから、ユーザ・インタフェースの出来ばえです。しかし、PL-330がダメだということではありません。PL-330は、先月の第八話に登場しましたPL-380の素性の良さをそのまま受け継ぎ進化した良い短波ラジオだと思います。今後、生産ロットが進むにつれ、同期検波や、外部アンテナからの強入力処理など、細かなパラメータの熟成を期待したいところです。

お盆休みも終わり、下界はまだまだ暑いですが、お空はそろそろ秋模様でDXシーズンの到来です。新コロナに気を付けて、週末はもう少し我慢です。お互いに気を付けて過ごしましょう。
Stay Safe。

では、また来月お目にかかります。
ごきげんよう。
Very Best 73&88。

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次号は 10月15日(木) に公開予定

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