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子供の無線教室 ~電波のフシギをやさしく学ぼう~

第9回 「アンテナの形や大きさに注目!!」

月刊FBニュース編集部

このコーナーは小学生のキミたちに電波や無線のふしぎなところ、面白いところを知ってもらうために毎月連載しているよ。バックナンバーも読んでみてね。

さて今月は「アンテナ」のお話だ。目には見えないけれど、空中に飛び交っている「電波」をキャッチして受信機に送り込んだり、無線機(送信機やトランシーバー)が作った電波を空中に発射(放射)して、遠くまで届けるという、“電波の出入口”になっているのがアンテナだ。


いろいろな種類のアンテナが建設されている通信施設の例

アンテナにはたくさん種類があり、さまざまな分類のしかたがあるけれど、小学生のキミたちにわかりやすいように、今回は「指向性アンテナ」と「無指向性アンテナ」という2つに分けて紹介してみよう。

「指向性アンテナ」ってどんなもの?

「指向性(しこうせい)アンテナ」は、ある方向から届く電波だけをキャッチしたり、ある方向に向けて電波を発射したいときに使われるアンテナのことだ。

その代表例は、みんなの家の屋根にある地デジのテレビアンテナだよ。よく見ると、魚の骨がズラリと並んだような形をしているね。それと、近所のテレビアンテナもみんな同じ方向を向いているようには見えないかな?


屋根の上でよく見かける、地デジテレビの受信用アンテナ。「八木アンテナ」と呼ばれる種類の代表的な指向性アンテナだ

この魚の骨のようなアンテナは、「八木アンテナ(正しくは八木・宇田アンテナ)」と呼ばれるもので、今から約90年前、現在の東北大学の研究者だった八木博士と宇田博士という2人が発明したもので、世界中でポピュラーな指向性アンテナなんだ。海外でも「YAGI Antenna(ヤギ・アンテナ)」という名前で呼ばれているよ。

太い背骨のようなパイプの左右に、ズラリと並んだ細い骨。これは「エレメント(素子)」と呼ばれるもので、キャッチした電波をアンテナケーブルが取り付けられている「給電部(きゅうでんぶ)」の放射エレメントまで、どんどん送り込んでいく働きをしている。電波を導いていくことから「導波器(どうはき)」とも呼ばれるんだ。

このエレメントの数が多くなればなるほど、指向性は鋭さを増していって、アンテナ先端の、プラスマイナス数度の方角から来る電波だけをキャッチできるようになったり、アンテナの真横とか、斜め後ろとかからの電波はとても弱くなるといった特徴があるんだ。

だから、こうした指向性アンテナは、受信したいテレビの送信所や、交信する無線局の方向にしっかりと合わせ、風でフラフラ揺れたり、雪の重みで倒れたりしないよう頑丈に取り付けないといけないぞ。キミの家のテレビアンテナは大丈夫かな!?

ところで、テレビ電波の受信なら送信所の方角に向けてアンテナを固定できるけれど、「これから大阪の無線局と交信する。終わったら次は札幌の無線局と交信だ」といったように、全然違う方向の無線局と通信するような仕事では、アンテナを一つの方向に固定すると具合が悪いことがある。そんなときには“指向性アンテナを目指す方向に回してしまう”というワザがあるんだ。実際、大きな指向性アンテナを回転させるためのモーターシステム(ローテーター)も売られていて、自宅で本格的な交信を楽しむアマチュア無線家たちにも愛用者が多いんだよ。


いろいろな大きさの八木アンテナを使っている、アマチュア無線局のアンテナタワー。交信したい地域に合わせてアンテナを向けるため、矢印の部分に回転用のモーターがついている

このほか、代表的な指向性アンテナとしては、テレビの衛星放送や、国際的な衛星中継に使われる「パラボラアンテナ」がある。また短波帯などで使われる長いワイヤー(電線)式のアンテナでも、アンテナ線と直角の方向に指向性が出ることを覚えておいてほしい。


衛星通信用の「パラボラアンテナ」(左)と、短波帯用の大型「ログペリアンテナ」(右)。どちらも指向性アンテナだ


電線を張った中波~短波帯の「ワイヤー式アンテナ」も、アンテナ線と直角の方向に指向性が出る


ビルの屋上などで見る機会が多い携帯電話用のアンテナも、実は指向性アンテナだ


自動車に取り付けられた謎の大きなリング!? これは「ループアンテナ」という指向性アンテナで、垂直パイプの根元にあるモーターで回転できるんだ(写真は停車時)

無指向性アンテナの特徴は?

アンテナにはもう一つ、「無指向性アンテナ」というものがある。指向性がない、つまり360度どの方向から来た電波も平等に受信し、まんべんなく送信ができるというアンテナだ。

代表的なものは、写真のように垂直に立てたエレメントが1本だけの「ホイップアンテナ」だ。自動車に取り付けた無線アンテナとか、ハンディトランシーバーのアンテナとしても使われているから、きっとキミたちも見たことがあるだろう。


自動車に取り付ける無線アンテナ(ホイップアンテナ)や、ハンディトランシーバーのアンテナは無指向性で、すべての方向からの電波がキャッチできる

また、タクシー会社の屋上とか、山の上にある無線中継局を見ると、垂直のエレメントが1本と、その下に水平のエレメントが3~4本クロスした「グラウンドプレーンアンテナ」というアンテナが立っていることがある。これも無指向性で、360度さまざまな方向からの電波を、分け隔てなくキャッチしたり、どの方向にも電波を届ける働きを持っているよ。


タクシー会社の屋根にあった3つのアンテナ。すべて「グラウンドプレーンアンテナ」という無指向性アンテナだ。中央のものは遠距離交信に対応した高性能タイプ

そのほかでは、飛行場でよく使われる、傘が破れで骨だけになったような「ディスコーンアンテナ」や、鉄道会社で見かける「スリーブアンテナ」「J型アンテナ」、中波ラジオの送信所の円管柱アンテナなども無指向性だ。


飛行場などで見かける「ディスコーンアンテナ」(左)は幅広い周波数をカバーする。右の「h型アンテナ」は鉄道会社などでよく使われる。どちらも無指向性アンテナだ

無指向性アンテナで送信すると、電波は360度にまんべんなく発射されるため、1つの方向に電波のエネルギーを集めて発射する指向性アンテナよりも、到達距離は短くなることが多いんだ。

無指向性アンテナは、どの方向から届く電波もキャッチできることが逆に災いになって、同じ周波数を使っているいくつもの無線局の電波が同時に聞こえてきて「混信でよくわからないよ!」という現象が起きることがあるんだ。こんな時は、聞きたい無線局の方向に指向性アンテナを向けてみると、混信が減ってクリアに聞こえる場合もあるよ。

だからアマチュア無線家も「近距離の交信は無指向性で、混信を避けて遠距離の局を狙うときは指向性アンテナで」と使い分けている人もいるよ。

指向性アンテナと無指向性アンテナの違い、面白いよね。最後に特徴を表にまとめておこう。

アンテナを見て周波数がわかる!?

キミたちも気が付いていると思うけれど、アンテナにはいろいろな大きさのものがあるよね。これはどうしてだか、わかるかな?(ヒントはバックナンバーで連載第5回を見てね)

そう、アンテナの大きさ(長さ)は、使う周波数の「波長」と密接な関係があるんだ。例えば、さっきの八木アンテナの場合、エレメントの片側が波長の1/4の長さで、導波器と導波器の間隔も波長の約1/4という設計が基本になっている(実際のアンテナでは少し異なることもある)。これは八木・宇田アンテナの発明時から研究と実験を繰り返し、電波の送受信性能が一番良くなる寸法がこれであることがわかったからなんだよ。

また、無指向性のホイップアンテナだと、車のボディから垂直に立っているエレメントの長さは「波長の1/4」が基本だ。

そうすると、アンテナの長さを見れば、周波数がわかりそうだね。
電波の波長は、「波長(m)=300÷MHz」で計算できる。つまりこれは「MHz=300÷波長(m)」でもある。

もしキミが、片側のエレメントの長さが50cmの八木アンテナを見かけたとしよう。そうしたら「1/4波長が50cmなんだから、1波長は0.5mの4倍で2mだ。“MHz=300÷2”ということになるから、このアンテナは…150MHz帯で使うものだ!」と推理できてしまうんだよ。面白いね!! 身の回りでアンテナを見かけたら、長さを調べて計算してみよう。


消防車の屋根に取り付けられている2本のホイップアンテナ。左は約27cmなので260MHz帯、右は約50cmで150MHz帯のものだと推理できる

ただし、波長が長い周波数のアンテナは建設するのが大変だから、エレメントの途中にコイルを入れるなどして、短めに設計することがある。ハンディトランシーバーのアンテナも、持ち歩きのしやすさや耐久性を考えて、短くなるように設計されているものが多いよ。


アマチュア無線の7MHz帯用アンテナ(V型ダイポールアンテナ)の例。片側のエレメントは約10mの長さが必要だが、電気的に短くする部品(コイル)を使うことで、片側約2.3mというコンパクトサイズを実現した

その逆で、VHF帯やUHF帯の自動車用ホイップアンテナや、基地局のグラウンドプレーンアンテナは、無指向性でも遠くまで強力な電波が届けられるように、エレメントを特殊な方法で電気的に積み重ねて、性能アップを図ることがある。そうするとエレメントの長さは1/4波長よりも長くなってしまうので、ちょっと見ただけで周波数を推理するのは難しくなってしまうんだ。

最後に、アンテナは電線やアルミパイプを使って自作することもできるよ。たとえば、キミの家のFMラジオ(周波数76~100MHz、波長は3.9~3m)が、もっと感度良く受信できるように、いろいろなアンテナを自作してみると面白いかもしれない。もちろんお家の人にOKをもらってからね!!

アンテナのお話、面白かったかな!? ではまた次回!!

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