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海外運用の先駆者達 ~20世紀に海外でアマチュア無線を運用した日本人達~

その90 COVID-19その後 1994年(1)
「あの人は今 (第15回)」JA4FUZ有馬久満氏

JA3AER 荒川泰蔵

COVID-19その後

COVID-19の第2波は、10月末に予定していた「東京ハムフェア」も中止に追い込みました。世界の感染状況を見ても短期間に終息する気配がなく、ワクチンや治療薬の開発競争と共に、国際間の争奪合戦も始まっているようです。Stay HomeからWith Coronaとしての生活様式の変革も迫られているような状況ですが、読者の皆様も気を緩めることなく、ワクチンや治療薬の早期開発に期待して、どうぞお元気でお過ごし下さい。尚、今月の「あの人は今 (第15回)」は、JA4FUZ有馬久満氏の紹介です。

1994年 (タイ HS7/7L1MFS)

7L1MFS吉田博氏は、タイのHS7CDI, Mr. Pissanu Kittipakornの無線局立ち上げに協力し、HS7/7L1MFSで運用した時の様子をアンケートで知らせてくれた。「(1回目) HSはいまだアマチュア無線には厳しいようです。まして外人のHS国内運用は前途多難です。以前にVU帯のハンディ機を持って行ったのですが、正式な免許人以外は、傍受はもとより所持も禁止されており、発覚の際は逮捕にまで及ぶようです。無線を楽しむというより以前に、無線機の所持の方が難しいようです。オセアニアの相互運用協定のように、JA局が無線機を持ち込んで運用することは、今のHSの法律では不可能です。ただし、HS連盟の主催するDXペディションによる特殊バンド(衛星通信)等は、HSに機器や運用技術がまだ無いので、海外からの無線機器の一時輸入も許可されているようです。特にHF個人局の開設は無線機の輸入から問題が多く、開局には非常に労力と数々の提出書類、そして若干の賄賂が必要です。私の運用局は、彼の開設に伴い金銭的にではなく労力的に援助した個人局です。日本でHF無線機の他周辺機器の購入とHSまでの運搬、そして現地での開局設備調整を致しました。さて、1994年4月15日開局の準備も終了し、いよいよ試験電波の発射をすることにしました。無線機はTS-450S。アンテナは、逆Vワイヤーダイポールです。給電点の地上高は約20mです。アンテナは私のHS入り以前に設置しておくよう彼に指示しておきました。先ずCWゾーンにアンテナがあっています。アンテナが長いので、後で調整をするように指示しました。ともかく内蔵のオートアンテナチューナーにてチューニングを取り、出力100Wにて21MHz SSBでJA向けCQをかけました。しかし、階下よりTVIの情報が入り、やむなく25Wまでパワーダウンをして再度CQコール。2-3回コールしたところで、JA局がコールサインを送ってくれました。アンテナの不良とパワー不足、そしてコンディションの不安定の中、5局のJA局と交信出来、試験発射はまずまずでした。5局で終了したのは、外気温37度、シャック内気温は42度と、とても無線をやっておられない状態だったからです。また、私の妻がタイ人ですので、1年に4-5回はHSに行きますので、あせってやらなくても良いと思ったからです。私の場合は、無線を目的にHSに行っているのではないのですから。なぜか、外国からQRVして日本人の方とお話するのは、久しぶりに旧友と会ったように感じました。局数を稼ぐのではなく、VU帯のような電話ごっこの海外運用も良いのではないでしょうか。(1994年5月記)」

そしてその後、写真やQSLカードと共に、再びアンケートを寄せてくれた(写真1及び2)。「(2回目) 今回は2回目の運用です。夏場の、DXには悪いコンディションの中、6月18日と24日の2日間運用しました。朝から日中は全くJAが聞こえず、夕方ぐらいからぼちぼち始めました。それにしても外気温40度、ノークーラーのシャック内44度と、とても長時間QRVできない環境です。リグはTS-450S、アンテナは自作3エレ八木で、地上高25mです。出力は限界の100Wです。海外運用で思うのですが、JA内部で聞いている各局の強さと海外で聞くのとは、相当違いますね。10W局も500W局もあまり大差なく感じます。リニアをかましている局は、「自局は強い」と思っていますが、その局が一斉にコールをかけると、全く判別つきません。けっこうタイミングをはずして来る10W局が簡単にコピーできたりします。面白いものですね。 -中略- 次回は今年10月に現地より運用します。もしかしたら、HS7CDIとマイナーなエリア(5エリア、6エリア)あたりへ移動運用するかも知れません。(1994年8月記)」


写真1. (左)HS7/7L1MFSを運用する吉田博氏。
(右)HS7CDIのシャックにて、吉田博氏とHS7CDI, Pissanuさん。


写真2. (左)HS7/7L1MFS吉田博氏のQSLカード。(右)吉田博氏のRAST会員証。

1994年 (マレーシア 9M2HD, 9M2IY)

JA4FUZ有馬久満氏は、マレーシアのペナンで9M2HDの免許を得て運用したと、免許状のコピーやシャックの写真を添えてアンケートを送ってくれた(写真3~5)。「会社の同僚、9M2KE河野さん及びローカルの9M2FK, Esheeさんの全面的な指導・支援を得て、約1ヶ月半で局免を取得しました。現在2m onlyの運用ですが、近日中にHFにてON THE AIRしますのでよろしく! マレーシアでは無線機器の購入が出来ない(HAM SHOPが無い?)ので、シンガポールで調達予定、従ってON THE AIRは7月中旬よりの予定です。ペナン地区のハムはHFにおいてかなりアクティブです。また、毎週金曜日の夜9時頃よりオープンレストランにてEyeball QSOが行われており、私も参加しています。その他コンテスト等も開催されており、5年間の滞在の間に出来るだけローカルに馴染もうと思っています。(1994年6月記)」


写真3. (左)9M2HD有馬久満氏のQSLカードと、(右)MARTSの会費の領収書。


写真4. (左)9M2HD有馬久満氏の免許状と、
(右)9M2HD有馬久満氏の住むマンション。屋上にはアンテナが見える。


写真5. (左)9M2HD有馬久満氏のシャックと、(右)そのアンテナ。

JA1INP吉岡生朗氏は、マレーシアで9M2IYの免許を得て運用していると、免許状や写真などを添えて、CQ誌編集部経由でアンケートを寄せてくれた(写真6~8)。「業務で1992年11月より4, 5年の予定でマレーシア国イポー市に駐在する事になったので、CQ誌で当国の運用事情を読み、ローカル局9M2FKを通じて申請。小生は書類を出してから免許が下りるまで約2ヶ月を要しましたが、コネを使えば2~3週間で免許がおりるようです。当国で開局出来るのはCWレベルがJAの2アマ以上が必要か? 免許の範囲は全ハムバンド、出力はHF帯で400W PEP。リグはシンガポールのヤエスの代理店よりFT-890を購入。敷地約900坪の一戸建て借家に、アンテナは14/21/28MHz用のトライバンダー(CD318Jr)とルーフタワーCD45、それに3.5/7MHzのマルチバンドDPを日本から輸入して組み立て、主に7/14/21MHzでワールドワイドにQSOしております。その他、7MHzでローカル局のネットに参加したり、ミーティングに出席したり、努めてローカルとの交流を計っています。(1995年1月記)」


写真6. (左)9M2IY吉岡生朗氏の住宅とアンテナ。(右)9M2IYのシャックにて吉岡生朗氏。


写真7. (左)9M2IY吉岡生朗氏の免許申請書と、(右)アマチュア無線局の使用周波数表。


写真8. (左)9M2IY吉岡生朗氏の免許状と、(右)そのQSLカード。

1994年 (スプラトリー諸島 9M0A, 9M0AG, 9M0BZ)

JA9AG吉井裕氏は、スプラトリー諸島から運用する機会を得たとアンケートを寄せてくれた(写真9)。「1994年4月2日から5日まで、Spratly Is.のPulau Layang-Layangで運用した。マレーシア・テレコムより9M0A, 9M0AG, 9M0BZの3局が免許されましたが、免許人はBorneo Amateur Radio Club会長, 9M6BZ, Armstrong氏に与えられました。OPはJA9AG, JS1QHO, G3NOM, 9M6BZ, 9M6JC, 9M6STの6人でした。1.8~50MHzのCW, SSB, FM, RTTYで、約4,700 QSOを行いました。Layang-Layangは海軍の最前線ですので、免許にはマレ-シア国防省の許可が必要です。(1994年5月記)」


写真9. JA9AG吉井裕氏達が運用した9M0AのQSLカード2種

1994年 (シンガポール S61ARU)

JH1VRQ秋山直樹氏は、シンガポールで運用する機会があったと、アンケートで知らせてくれた。「第9回IARL第3地域会議が1994年9月5-9日にシンガポールで開催された際、地元の団体SARTSがS61ARUを開設した。会議場となったアポロ・ホテル内に設置されたこの局は、アマチュア免許を有する者であれば、出身国を問わず、誰でも運用することができた。ARRL代表団の一員として会議に出席していた私は、わずかな時間ながら、14MHzのCWでオンエアーした。(1995年3月記)」

「あの人は今 (第15回)」JA4FUZ有馬久満氏

今月号のマレーシアの項で紹介しましたJA4FUZ有馬久満氏は、その後インドネシアへ移住され、現在はバンドンからYB1AQHでQRVしておられますが、その有馬氏から最近の様子をアンケートでお寄せ頂きましたので紹介させて頂きます(写真10及び11)。「2009年2月当地に移住。連盟支所のOMや移住して開設している人のアドバイスを得て開局申請を行いましたが、相互運用協定が締結されていないために却下! ワッチのみの状態に・・。2013年10月に日本との相互運用協定が締結されたので早速開局申請、12月に指定される呼出符号(外国人用でYB1AQ*)が確定しましたが、免許証交付は2014年2月になりました(当時は暫定一時滞在許可の状態であり、免許の有効期限は1年。現在は定住許可で5年)。ローカルのYC1CYM局の助けを頂きながら、輸入した全長10mのT2FDを何とか設置し、又、2m用GPも設置してHF全バンドと2mで波が出せるようになりました。開局当初はコンディションも良く、SSBでJAと繋がるので無線機にかじりついていました(英語は上手ではなく、ローカルはインドネシア語と方言のスンダ語で話しており、さっぱり解らないので、交信相手は専らJA各局)。2014年10月頃から徐々にコンディションが低下してきたのでCWのウエイトが高まっていきました。時々、和文でQSOしているとローカルが「解読できない符号を使っている」と覗きに来たことも・・。その後、更にコンディションが低下し、2017年6月頃からはJT65で1,000局交信を達成した為、10月からはFT8で運用、現在に至っています。18MではYB局が少ないためかヨーロッパ方面からたて続けに呼ばれ、対応に忙しく楽しいひと時を過ごすこともあります。

1.当地での運用ハプニングや困ったことは、1-1.QSLカードの受け取り:Bureau経由では何時になるかわかりません。2014~15年6月交信分は2017年12月受領、2015~16年交信分は2017年6月受領でした(今迄、この2回しか受けとれていません)。QRZ.comでのYB局検索では、ほとんどの局がDirectにしている意味が分かるような気がします。こちらからの発送分は有料ですが、3~4ヶ月後位までにはJAに届いているようで安心しています。その為、e-QSLで受領したカードを、写真紙にプリントしてコレクションしている次第! 1-2.雷様のご来訪:雨季(10月~4月頃)になると、スコール(運転できないほどの大雨)と共に雷様が大暴れします。何時もは同軸を外しておくのですが、2mのGPを外さずにいたため大被害!2m/HFリグ・30A安定化電源・デスクトップPC・プリンター・ルーターなどは内部焼損・破損で修理不可能。TV・ステレオなどは修理で直りましたが出費多大で大目玉をくらいました。それにしても直撃の破壊力はすさまじく、2m 5/8λ 2段GPのエレメントは無くなっていました。更に30A電源からは、大事には至らなかったものの発火していました。XYLを拝み奉った結果、1ヶ月後にはIC-7300始め全て新品になり、VY Happy!


写真10. (左)ジャワ島旅行中のJA2PVE甘蔗生氏来訪、左からYB1AQH, JA2PVE, YC1CYM。 (右)YB1AQH有馬久満氏のe-QSLカードの画像。

2.免許制度と今後の目標:、呼出符号により免許人の資格が分かります(YB/YEは日本の1アマ相当、YC/YFは2アマ相当、YD/YGは3アマ相当)。サフィックスは変わりません。YC1AQHが1アマ相当の資格をとったらYB1AQHになります。又、固定/移動などの制限はありません、依って移動でハイパワー運用も資格の範囲内で可能です。監督官庁の検査もありません。よって、コンディションが良くなり、日本とSSB交信が可能になったら、HF機を車に積んで約1ヶ月かけて(半分野宿しながらでも)、「日本列島より大きなスマトラ島を1周する」のが夢です。ここバンドン(Bandung)は首都ジャカルタの南東約120km位の所ですが、ジャカルタと違い、海抜が約800mと高い為、昼間でも日陰は涼しく、夜は20度位まで下がるので快適な所です。エアコンは殆ど必要なく扇風機で十分です(雨季の夜は扇風機でも寒いくらいです)。この地域で一番高い所は海抜1,000m位です。蚊もいないのでデング熱の心配をしなくて済みそうであり、更に良い条件下で無線が楽しめるのではと、移転を考えロケの良い所を物色中です。又、バンドンはインドネシア3番目の大都市で、人口200万人です。日本人は1,000人程住んでいます。日本料理店や日本食材店もあり、日本人学校や日本人会の行事にも参加できて楽しんでいます。町の中心部に電気店街がありますがHF機やHFアンテナを取り扱っている店は皆無です。無線関係ではほとんどの店がVHFのハンディ機です(YD/YH局が圧倒的に多いから)。HF関連機器は首都ジャカルタの電気街迄、時々片道3時間かけて覗きに行っています。私は年金定住者ですので、働くことが出来ませんが、年金収入に対する課税がないので、趣味のドライブ(各地訪問・観光)と、無線に課税相当の幾何かをつぎ込み楽しんでいます。次のスマトラ1周を目指し、何としても車で移動すべく、体力を蓄えて準備していきます。(2020年4月記)」


写真11. (左)YB1AQH有馬久満氏の免許状。(右)YB1AQH有馬久満氏のQSLカード。

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次号は 10月15日(木) に公開予定

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