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テクニカルコーナー

Biquad Antenna(バイカッドアンテナ)の製作

JP3DGT 生地 克成

私は以前からSOTA山岳移動運用で主にHF運用をしていましたが、1200MHz帯も面白そうだなと思い、アルインコのDJ-G7を入手し2年ほど前から運用を開始しました。当初はロケーションの良い山の上からCQを出しても1~2局応答があれば良い方でしたが、今年1月アイコムよりIC-9700が発売されて以降、1200MHz帯の運用局が増加しているように思います。

経験の浅い私ですが、山岳移動運用で使用している1200MHz帯用のアンテナをご紹介いたします。

山岳移動運用の際、ザックに突っ込めるコンパクトでゲインのあるアンテナは無いものかと検討していました。元々ビームアンテナが欲しくてあれこれ検討していましたが、市販アンテナはかさばる為、少しでも荷物をコンパクトにしたい山岳移動には不向きです。アンテナアナライザーを入手しコンパクトな5エレ八木を作ってみましたが、多エレメントの八木アンテナは私には調整が難しく、なかなか思うような物ができませんでした。そんな折、海外のサイトでBiquad Antenna(バイカッドアンテナ)の存在を知り作成してみました。

特徴

片側1λのループを左右に配置し、リフレクター板を付けた形となっています。(随分以前にCQ誌にもツインクワッドアンテナとして掲載されていたことがあるようです。)5エレ八木と比較すると少々かさばりますが、製作上はエレメントが1本であることから調整が容易です。1λループのインピーダンスが約100Ωですので、パラにすることで50Ωとしています。帯域幅が広く、上手くできればSWR1.5以下の帯域は50MHz以上になります。

ゲインは約10dBiとの事です。(MMANAでシュミレーションすると9.87dBiでしたが)。放射角(半値角)は約60°と広い事とバックも適度に抜けているため、山岳移動やコンテストでは非常に使いやすいアンテナです。

材料

エレメントは針金の方が加工は楽ですが、エレメントとリフレクター板の間隔がSWRに大きく影響しますので、柔らかい針金よりも銅棒が良いと思います。リフレクター板は金属であればなんでも構わないようです。(海外では空缶やアルミホイルを使った作例もありました。)

銅板を使う場合は0.3㎜厚では強度不足、0.5㎜厚ではハンダの熱が逃げてしまいハンダ付けが難しくなります。あらかじめトーチで余熱したうえで高温のコテでハンダ付けが必要になる上、短時間で仕上げないと給電部内の同軸ケーブルが溶けてしまう為、生基板を使用するようにしました。

製作

以下の順番で製作していきます。
①エレメント製作
②給電部製作
③リフレクター板製作
④エレメント取付け(ハンダ付け)
⑤SWR調整
⑥銅パイプとリフレクター板の固定(ハンダ付け)
⑦プラスチックボルト(エレメント支え)の取付け
※ハンダ付けには熱容量の大きいハンダゴテを使用してください。銅パイプ・銅棒は熱が拡散してしまいますので低温のコテでは難しいと思います。(私は温度調節機能付きのコテを使用しています。)

① エレメント製作

一辺59mm(銅パイプ接続部のみ56mm)とし、全長466mmをペンチで折り曲げます。ダイポールアンテナ等では波長短縮率を使用し、計算値よりも短いエレメントで同調しますが1λループの場合は計算値より若干長くなります。

私の場合ハンディー機での運用ですので1295MHzを中心周波数とし、1λの計算値(300/1295=0.2316m)よりも若干長めの0.233m(約0.6%延長)、左右で0.466mとしています。

② 給電部製作
銅パイプを長さ35㎜で切り出し、先端を2㎜程削ります。

コネクタに3D2V同軸を装着。

同軸網線と銅パイプを導通させるため網線を折り返します。

同軸を銅パイプに通し、網線と銅パイプを半田付けします。


給電部完成

③ リフレクター板製作
生基板を横23.2cm(1λ)、縦11.6㎝(1/2λ)で切り出し、銅パイプを通す穴を中心に開けます。

位置決めしドリルで開けますが、最後の仕上げはリーマーを使うと上手くできます。穴あけ完了後銅パイプと生基板をスチールウールなどで研磨しておくとハンダ付けが楽になります。

④ エレメント取り付け(ハンダ付け)
リフレクター板に給電部を通し、エレメントを半田付けします。

エレメント中心を芯線に、エレメント両端を銅パイプへハンダ付けします。
※銅パイプと銅棒のハンダ付けは熱容量の大きいハンダゴテを使用してください。
※銅パイプとエレメントが直角になるよう注意してください。

⑤ SWR調整
アナライザーを見ながら銅パイプを出し入れし、エレメントとリフレクター板の間隔を調整してSWR最低点を探します。

一番いい場所が確認できれば銅パイプにマークをしておきます。
※同調点がズレている場合は多少であればエレメントを左右に広げたり縮めたりすることで調整可能です。
※調整は広い屋外で行ってください。そこそこゲインがありますので狭い室内で調整すると同調点がふらついて上手く調整できません。

⑥ 銅パイプとリフレクター板の固定(ハンダ付け)

マークした場所がズレないよう注意しながらハンダ付けします。ハンダ付け後再度SWRを測定し、高いようであればエレメントを前後に動かす事で多少の調整は可能です。

⑦ プラスチックボルト(エレメント支え)の取付け
リフレクター板に位置決めをしてドリルで開け、ボルトを通してエレメントをエポキシ樹脂で固めます。


給電部は固めないでください。SWRが悪化します

使用感

遠方のレピーターにアクセスし、返ってきた信号を受信したところ、手持ちのツインデルタループアンテナやプリンテナ、自作5エレ等と比較してSメーターの振れは格段に良いですし、電界強度計で比較してもBiauad Antennaの方が強く放射されていることが確認できました。

1200MHz帯の電波は元々よく飛びますが、山に登り標高を稼げば200㎞超も問題なく交信できました。車でのモービル移動やホームからであればさらにゲインのあるスタック八木等がいいのかもしれませんが、荷物をコンパクトにしたい山岳移動には最適なアンテナではないでしょうか。

また、6m&Downやフィールドデーコンテストに参加してみたところ、これまでの関西地区では考えられないほど多くの局と交信できました。運用者が増えたこともあると思いますが、ビーム幅が広いためサイドからの呼び出しも取りこぼすこと無くスコアアップにつながったと思います。

参考

1. アンテナ固定


L字金具を利用してリフレクター板に直接金属ボルトを刺し、三脚に固定しています。

2. 収納ケース


百均のお道具箱にカットしたPPシートを入れてかさ上げしています。

3. さらにコンパクトに


リフレクター板の左右をカットして弁当箱サイズのタッパーに入るようにしました。ビーム幅は広がりますが、ゲインの低下は体感できるほどではありませんでした。ビーム幅が広がった分コンテストなどではより扱いやすくなりました。

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