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テクニカルコーナー

移動運用用可倒式竿立て台の製作

月刊FB NEWS編集部 JR9TUG 松平宗亮

皆さんは、移動運用の際にどのようなアンテナをお使いでしょうか? ダイポールやモービルホイップ、オートアンテナチューナ(ATU)※によるロングワイヤ(LW)など、選択肢はいろいろあるかと思います。今回は、ATUを使う際に便利な可倒式竿立て台を製作し、車に取り付けましたので紹介します。
※本稿ではハイインピーダンスに対応したオートアンテナチューナをATUと定義します。

1. 構想

今回の製作にあたって使用予定の機材などから、車に取り付けているシステムキャリアのバーに取り付けできるよう、下記のように考えてみました。


Fig.1 竿立て台の外形イメージ図

ご覧の通り、立てるどの方向から見ても、四角あるいは三角の枠で組むことにより、強度を持たせています。しかしこのままでは、走行時の空気抵抗や高さ制限(筆者の車は、システムキャリア込みで約1.9m)のことを考えると、折り畳み式にしたほうが、釣り竿を差し込む作業や片付けにも便利であろうと考えました。

このように見直した結果、折り畳み時(走行時)に約2.1mの高さに抑えることができ、見た目もスマート(?!) にできる仕様に落ち着きました。

2. 製作

材料は以下の通りです。大きなホームセンターで揃えることができると思いますが、手に入らない場合もありますが、その辺は各自アレンジしてください(色々考えて自作を楽しみましょう!)。
・穴あきアングル L40xt3.2 (鋼製 表面:三価クロメート処理)
・穴あきチャンネル C30x10xt2.3 (鋼製 表面:三価クロメート処理)
・塩ビパイプ 外径φ48、内径φ40 (耐衝撃性硬質塩化ビニル電線管 HIVE42)
・M8寸切りボルト (ステンレス製)
・M8ナット、化粧ナット、蝶ナット、ワッシャー、スプリングワッシャー (ステンレス製)
・配管固定金具類 (Uボルトなど雑材、ステンレス製)
・ネジロック剤
・錆止め塗料 (ローバル塗料でも可)

取り付けたまま走行することも考え、ナットの脱落を防ぐためにダブルナット+ネジロック剤と強固にしました。設置した状態で、北海道1周や九州1周(それぞれ約2300㎞走行)でも緩むことなく完走できました(もちろん点検は、随時行いました)。

さて、加工の開始です。ホームセンターでは、切断サービスも行っているところもありますので、それを利用するのもよいでしょう(その際は綿密に寸法出しを行う必要があります)。筆者の場合は、試作レベルからのスタートでしたので、バンドソーで切り出し、組み立て中にグラインダーで切断、バリ取りなど加工を行いました。また切り口などの素地が露出した箇所には、ローバルスプレーを塗布し錆防止とします。


Fig.2 主要な材料

まず、穴あきアングルや塩ビパイプなどを切り出し、Fig.1のように組み立てていきます。ここで注意するのが、ちゃんと平らな場所で固定して組み立てていくということです。ボルトなどを締め付けは同一方向のため、どんどんねじれていきます。Fig.3や4では両側の穴あきアングルを挟み込むナットを締め付けた際にねじれてしまい、一度解体して再組み立てをする羽目になりました。またこの時点では、まだ仮組みのためネジロック剤は使用せず、あとから追加することのできない箇所(穴あきアングルの内側に入る箇所)には、ダブルナットを忘れず先に仕込んでいきます。


Fig.3 机の上で適当に組んでいたら・・・


Fig.4 案の定ねじれてしまいました
(奥のアングル左側が浮いています)


Fig.5 ねじれを防ぐために定盤の上で組み立て再開
(皆さんはベニヤ板上などで作業すると床に傷を付けず良いでしょう)


Fig.6 組み立て後に鋼材の切り口などに錆防止塗料を塗布しました

3. 車への取り付け

各部の締め付けや錆防止塗料の塗布など仕上げが終わったらいよいよ取り付けです。車に既に取り付けてあるシステムキャリアの角パイプ部に載せ固定します。

今回は、角パイプへの固定部に良いサイズのコの字型のボルトを入手することができましたので下から上向きに差し込み固定しました。
※もし入手できない場合はUボルトなどでも代用できますが、角パイプとUボルトとが角で当たり点と点で触れるため、角パイプの表面処理(樹脂)に傷付けて内部に水が入り錆びる恐れがありますので、触れる箇所にゴムシートなどを巻くなど養生をしたほうが良いと思います。


Fig.7 システムキャリアに取り付け(画像右が車前面)


Fig.8 AH-705を載せてみました


Fig.9 全体


釣り竿を差し込む塩ビパイプの内径がφ40ですので、一般的に販売されている6m程度の釣り竿では釣り竿が細く風が吹くとガタガタしますが、これを解消するために用意したのがドアストッパーです。釣り竿と塩ビパイプの隙間に差し込むとガタがなくなり釣り竿がフラフラせずに済み安定性が増し、さらには釣り竿やエレメントの電線を痛めることがないでしょう (筆者の場合は細身の8mの釣り竿を使用しています)。


Fig.10 釣り竿のガタつき防止でドアストッパーを差し込む(赤丸部の半透明クサビ形)

また竿を差し込む塩ビパイプ部分には、一般的なATUをUボルトで取り付けることもできます。ATUを取り付けたまま走行でき、運用時にはエレメントを這わせてある釣り竿を差し込んでATUに接続するだけで、即運用が可能となっています。

4. 運用

運用する際は、上記のようにエレメントを接続するだけでなく、良好なアースも必要となります。筆者の車は以前よりHFモービルを運用しており、既に1.9~50MHzまで運用できるようにアース処理を施してありますので、そちらにATUの接地側を接続するだけで運用が可能でした。
※設置される場合は、新たにアースの接続やボンディングなどのアース強化も必要となる場合があります。

実際の運用は、今まで使用していたアンテナと遜色なく使用することができました。一番のメリットは、ATUを使用することによりアンテナを取り換えることなく他のバンドへのクイックQSYができるようになったことです。

また最近はやりのビバポールの最大外径がφ40以下であることから、この竿立て台に差し込むことにより軽量なアンテナであればタイヤベースを使用せず設営が可能なのではと考えます。



Fig.11 AH-730を取り付けての運用形態

走行時は、次のFig.12のように竿を取り外してから折り畳み、ラッシングバントで跳ねないように固定します(短距離の移動時はバンドで固定せずそのままの時もあります)。固定することにより走行時の振動で頭の上でガチャガチャ音がしたり、ATU本体の故障をある程度は防ぐことができます(Fig.13)。



Fig.12 運用形態から収納形態



Fig.13 走行時の固定方法

5. 注意事項

実際に製作し使用される場合の注意点は下記のとおりです。

  • ・回転電動工具での作業は、手袋して行うと巻き込まれることがありますので、手袋は着用せず行ってください。
  • ・耐圧の低い電線(被覆の薄い線)や裸電線を用いると、条件により被覆を溶かしたり、金属部や車のボディに地絡する恐れがありますので、竿立て台の金属部やボディなどにエレメントの電線が触れないように設置してください。
  • ・走行中に部品が落下し、他の車や自車に損傷を与える場合がありますので、時々点検し緩みや脱落がないことを確認してください。
  • ・走行時の振動により、ATUの故障が発生する可能性があります。運用を目的としない走行の場合は取り外しておくことをお勧めします。
  • ・釣り竿をセットしたまま走行することはしないでください、上空の電線などに接触して感電や破損などの恐れがあります。

※なお上記及びそれ以外に発生した、不具合などについて筆者および編集部は責を負いませんので、ご自身の責任において製作、使用されてください。
また今現在、筆者自身でも入手できそうにない部品がある可能性がありますので、冒頭に書いた通りアレンジして製作にチャレンジしてください。

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