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テクニカルコーナー

IC-9700のDVレピータモニター機能解説

JK3AZL 高岡奈瑞

2023年4月3日掲載

2022年秋、IC-705にDVレピータモニター機能が搭載されて話題になりましたが、先日、待望のIC-9700版DVレピータモニター対応ファームも公開されました。今回の記事では、IC-9700のファームアップ方法やインターネット接続、操作方法のほか、FAQまで詳しく解説します。

《目次》
・IC-9700をファームアップする
・IC-9700をインターネットに接続する
・実際のモニター方法
・IC-9700を自宅のWi-Fiに接続するには
・FAQ

DVレピータモニター機能については、下記の記事も参照して下さい。
◎IC-705のDVレピータモニター機能解説
https://www.fbnews.jp/202211/technical/
◎今度は海外レピータも対応 ~IC-705のDVレピータモニター機能解説 Part2~
https://www.fbnews.jp/202301/technical/

IC-9700をファームアップする

アイコムのWEBサイトから、IC-9700のファームウェアを入手します。


アイコムのWEBサイトから、IC-9700のファームウェアを入手する。


「同意する」にチェックをするとダウンロードできるようになる。

ファームアップ方法の詳細は、上で開いたファームウェアダウンロードページの『補足説明、注意』の中の「1) お客様ご自身でファームウェアを更新する場合」に説明されていますので、参照しながら進めてください。

IC-9700をインターネットに接続する

IC-9700は、インターネット接続の初期値が「DHCP=ON」になっているため、背面にある[LAN]ポートとルーターをLANケーブルで接続するだけで、簡単にインターネット接続ができます。

ただしIC-9700はインターネットに接続していても、IC-705のWi-Fiマークのような接続表示が出ません。どうしても接続状態が気になる場合は、MENUの[ネットワーク]でIPアドレスが表示されていることを確認してください。


セット画面の[ネットワーク]で接続状態を確認できる。


ここにIPアドレスが表示されていたらインターネット接続されている。

これでDVレピータモニター機能を使う準備が整いました。次は、実際にモニターしてみましょう。

実際のモニター方法

DVレピータモニター機能は、DR機能またはターミナルモード(内蔵)で動作します。

DR画面の[TO]に「エリアCQ」でレピータを選択した時、右上に薄く「MONI」アイコンが表示されるレピータは、接続可能なレピータです。


[MONI]が表示されているレピータはモニターが可能。


アイコン表示。

レピータに接続するには、IC-705と同様に、マルチファンクションダイヤルを押してマルチファンクションメニュを表示します。


[RPT MONI]がOFFの状態。

[RPT MONI]をタッチすると、OFFからONに変わってレピータに接続し、モニター可能になります。


[RPT MONI]がONの状態。

接続先レピータで交信(山かけ、ゲート越えを問わず)があると、アイコンが変わりモニター音がスピーカーから聞こえます。


[TO]側の接続先レピータをモニターしている様子。

IC-9700を自宅のWi-Fiに接続するには

ルーターから離れた場所にIC-9700を設置している場合、長いLANケーブルを引き回すのは面倒です。市販の「Wi-Fi中継器」を使うと、Wi-Fi環境しかない場所でもIC-9700をネットワーク接続することができます。

「Wi-Fi中継器」は、無線LANルーターの電波が届かない場所に電波を中継するだけではなく、無線LAN子機として親ルーターに接続して、IC-9700やIC-905などの有線ネットワーク機器をネットワーク接続することが可能です。


Wi-Fi中継器の接続イメージ。


私のシャックで使っているWi-Fi中継器。

我が家のシャックのパソコンやIC-705は、階下にあるルーターに無線LANで接続しています。IC-9700はDDモード用にパソコンとLANケーブルで接続していましたが、DVレピータモニター機能を使う時は、Wi-Fi中継器にLANケーブルをつなぎ替えてインターネット接続させています。


IC-9700をWi-Fi中継器経由でインターネット接続し、DVレピータモニターしている様子。

FAQ

Q: DVレピータモニター機能とはなんですか?
A: エリアCQ先のレピータを受信(モニター)できる機能です。

Q: DVレピータモニター機能を使うのに、インターネット接続は必要ですか?
A: 必要です。IC-9700はLANケーブルでネットワークに接続します。

Q: 家のインターネット回線は使えますか?
A: IPv4に対応したキャリアであれば、基本的に使えます。

Q: 家のインターネット回線がIPv4に対応しているかどうかわかりません。
A: 契約しているプロバイダのサポート窓口に問い合わせるほか、接続判定ページで確認する方法もあります。
◎IPv4/IPv6接続判定ページ(http://kiriwake.jpne.co.jp/)

Q: ルーターのポート設定は必要ですか?
A: DVレピータモニター機能を使うだけであれば、ポート設定は不要です。

Q: グローバルIPアドレスは必要ですか?
A: DVレピータモニター機能を使うだけであれば、グローバルIPアドレスではなくてもモニターできます。

Q: dmonitorのように、IC-9700も頻繁にファームアップが必要ですか?
A: 各レピータのmulti_forwardおよびhole_punchdサーバに接続してデータを取得しているだけなので、dmonitorほど頻繁なファームアップはありません。

Q: 接続先レピータの山かけの交信はモニターできますか?
Q: アシストリンク先のレピータはモニターできますか?
Q: 接続先レピータにゲート越えで入ってきた交信はモニターできますか?
A: できます。

Q: 海外のレピータもモニターできますか?
A: できます。SDカードの[IC-9700]>[RptMoni]フォルダ内に接続先IPアドレスリスト(CSV型式)を保存し、IC-9700MENUの[DVレピータモニター設定]の[接続先IPアドレスリスト(海外)]でファイルを指定して下さい。

Q: FMレピータもモニターできますか?
A: モニターできるのはDVレピータのみです。(一部モニターできない国内のDVレピータもあります。)

Q: 長時間連続してモニターできますか?
A: 国内のモニターは接続時間に制限があります。初期値は10分ですが、10分/20分/30分の中から設定を変更できます。海外局は連続してモニター可能です。

Q: なぜ接続時間に制限があるのですか?
A: 接続先レピータのゲートウェイサーバの負荷を軽減するため、時間制限を設けています。各レピータは管理団体の方々がボランティアで維持して下さっており、従量制の回線を利用しているケースもあるようです。そのため負荷軽減に配慮して制限時間が設けられています。

Q: 制限時間なしでモニターを続けたい。
A: 制限時間を気にせずモニターしたい場合は、D-STAR委員会が提供しているdmonitorをご利用下さい。

Q: dmonitorのように接続先レピータから別のレピータへ送信することはできますか?
A: 接続先のレピータと異なるレピータに送信する場合は、[FROM]に送信したいレピータを再設定して送信してください。

Q: レピータモニター機能は、VFOで使えますか?
A: ターミナルモード(内蔵GW)を含むDR機能で使えます。

Q:接続先レピータをモニター中、[FROM]で設定した最寄りレピータで受信した時は?
A: 最寄りレピータからのダウンリンクを優先するので、受信中は接続先レピータのモニター音はミュートされます。

Q: 接続先レピータの交信をミュートさせずにモニターしたい。
A: [FROM]にアクセスできない(受信できない)レピータを設定しておくと、接続先レピータのモニター音はミュートされません。

Q: dmonitorのように接続可能なレピータを一覧で確認する方法はありませんか?
A: D-STAR管理サーバ「運用ログ表示システム」の「レピータ一覧」で確認することができます。


Q: D-STARレピータを管理していますが、DVレピータモニター機能で接続局が増えた時のサーバ負荷が心配です。
A: 回線速度が低い場合はパケットロスが出ることもありますが、接続局数・接続時間を制限できるようmulti_forwardが改修されています。詳しくはJARL D-STAR委員会のD-STAR NEWSなどを参照してください。

Q: LANケーブルを接続しましたが、画面にネットワーク接続マークが出ません。
A: IC-705と異なり、IC-9700の画面にネットワーク接続表示は出ません。

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