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特別寄稿

YLハムのフィールドデーコンテスト

JJ1TZX 笹原眞美

8月7-8日に開催されるJARLフィールドデーコンテストの前日、3個の台風の出現と新型コロナ感染者の激増により、私たちの計画は揺れていました。

前月7月の初めにこのチーム(YL 2人、OM 1人)を結成し、さっそく移動運用をしようと話し合いを始めましたが、元々全く違った経歴の3人が集まってどんな1日が過ごせるかと思うと、遠足前日に心がワクワクした子供時代の気持ちに戻ることができました。


(左)JJ1TZX笹原(筆者)、(右)JF1UOX相馬さん
※写真撮影のため、マスクを外しています

JM1ESG八田さん(以下ESG)は、無線歴も長く無線機やアンテナのことを熟知しているので、技術的なことや力仕事を全部お任せしました。JF1UOX相馬さん(以下UOX)は、CWがお得意でサラッとなんでもこなしてしまうお姉さん。そして私JJ1TZX(以下TZX)は、開局してまだ2年で技術もCWも全然追いつかないけど、マイクを持ったら全く緊張せずにどんどん交信を進めていけるのが取り柄! といった皆個性豊かな3人組です。そんな3人組の初めての移動運用は、JARL主催のフィールドデーコンテストに参加することにして、UOXとTZXがそれぞれシングルオペとして運用、ESGは裏方として設営全般を担当することになりました。

移動運用地探しに難航。その理由は・・・

当初の計画では、移動運用地はロケーションの良い横須賀市の湘南国際村と決めていました。天気が良ければ、富士山や海も見えるので1日過ごすにはとてもベストな場所ということで、3人の意見が一致して場所を決定しました。ESGは前の週に現地の下見に行って情報を収集してくれました。

その後は、色々と設備の構想を練っていましたが、湘南国際村駐車場は神奈川県の管理なので、緊急事態宣言の影響で閉鎖にならないかと心配になり、もしダメだった時の事も考えて、その近隣で運用できる場所も探しておこうとUOXとTZXの2人は、隣の横須賀市にある横須賀リサーチパーク(YRP)一帯を下見したり、近くにある武山にも車で下見に行きましたが、湘南国際村に勝る場所がどうしても見つからずにいました。


現地の下見に、湘南国際村駐車場

そんな折、嫌なニュースが飛び込んできました。恐れていた事が現実となり、湘南国際村駐車場が前日から関係者以外は利用禁止となってしまったのです。場所探しが振り出しに戻ってしまい、本当に移動運用が出来るのだろうかと、心配は増していきました。3人はオンラインで話をしつつ、手にはスマホをもって、「ここは?」、「いやこっちはどう?」と言いながら代替移動地を探しました。実は今回の計画で、普通の場所では出来ない理由がひとつだけありました。私のイメージする移動運用は、無線機やアンテナを持っていき、広い場所にテントやパラソルを建ててテーブルと椅子を置き、そこで運用しながら1日を過ごす感じだったのです

ところが、なんとESGは「実は、車借りる手配してあるから」と言って来たのです。車借りる手配って? 3人とも車持っているし? どういう意味か全く私にはわかりませんでした。よくよく聞いてみると、なんと友人が所有する無線車を手配してあるとのこと。その無線車の中で快適な運用しようということだったのです。アマチュア無線を極めている方にとったら、結構普通の事なのかも知れませんが、私のような初心者からすると、「無線車って、普通の人でも持てるんだ!」と驚きと共に勉強になりました。

しかし長さ5m以上、幅2m以上、更に高さも3mにもなる車を使って移動運用をするということで、それが駐められる広い場所でないと私たちの計画は進まないことになります。計画の中では、比較的ロケーションの良いメンバーの自宅近隣で運用しようかといった案も出ました。しかしそこまでの道幅が途中狭くてギリギリかもしれないと、実際にメジャーを持って行って測ってみたところ、両側に10cmずつしか余裕がなく、無線車が通れないことが判明。仕方なく断念しました。

いろいろな運用候補地を検討した最後に白羽の矢が立ったのが、平塚市の高麗山公園(湘南平)でした。それでも、一番上にある駐車場やその下の大駐車場には、同じ目的の方が先に運用していらっしゃるだろうからと、さらにそこから下った子供の森という場所の駐車場で、無線車に固定した伸縮マストを伸ばしてアンテナをあげようということになったのです。この駐車場には仮設トイレと水道もあり、1日過ごすための最低条件はクリアしていました。

そしてフィールドデーコンテスト開始

当初から私たちは2日目の日曜日(8月8日)の朝からコンテストに参加する予定でしたが、前夜の8月7日21時からフィールドデーコンテストが始まりました。どんな感じで皆さんが参加されているかを聞こうと思い、無線機をつけてみたのですが、聞けば聞くほど自宅からは参加出来ない私は焦ってしまいました。これでは精神衛生上良くないですし、台風の勢力が少しでも弱まることを願って早めに寝ることにしました。

当日4時20分に目覚ましをかけましたがそれよりも早く起床、案の定、雨は止まずに降っていました。まだ寝ている家族を起こさないように気をつけながら、クーラーボックスに熱中症防止のための水分をいっぱい入れて出発しました。現地までの道中、運転しながらやっぱり皆さんがどうやっているか気になって無線機をつけたのですが、聞くとやっぱり焦るので、受信をやめて安全運転で現地へ向かいました。

到着するとESGはもうアンテナを建て始めていました。UOXも私よりも早く到着し準備を進めていました。しかし、ここで1つ目のアクシデント発生です。アンテナを組み立てる際に使うネジが足りない、と言われピンチです。近くのホームセンターで探して買ってきて、と言われたもののネジなんて買ったことない私にわかるだろうか、と思いながら山を降りて近くのホームセンターに到着しました。資材部門は7時開店だったので、幸いにも数分待つのみで入店出来ました。ネジコーナーに直行しましたが、当たり前ですがネジだらけ。言われたネジのことを店員さんに話すと、「アンテナだったら電材コーナーのネジじゃないと危ない」と言われて、判らない頭はさらにパニック(笑)。それでもなんとかESGの指示どおりの買い物をして現地へ戻ることができました。(今回無事コンテストに参加できたのもTZXのお陰です。感謝! ・・・ ESG談)


移動運用のメッカ、湘南平へ・・・



(左)今回使用するアンテナと、(右)初めて自分で買ったネジ。

さぁ、これで無線機にアンテナを繋げてコンテスト開始です。と思いきや2つ目のアクシデント発生! 新調したヘッドセットとフットスイッチの接続が上手くいかず変調が乗りません。ESGが前日確認したのにそんなハズでは・・・ 仕方なくスタンドマイクで声を出し始めました。最初は参加局が運用している様子を見つつ、呼びまわりをしながらコツをつかんで行きました。途中からCQに切り替えるととても良いペースで進みましたが、途中全く呼ばれない時間も出てきました。そうなると他のバンドへ行ったり来たり、あるいはちょっと休憩しながら、フィールドデーってこんな感じなのだと思いつつの滑り出しでした。

隣ではUOXがパソコンと悪戦苦闘しています。ここで3つ目のアクシデント発生です!! どうやらPCと無線機との接続が思うように行かないようです。通信エラーは出ていないのでPC、無線機双方の設定をもう一度確認すると無線機の設定が一部違っている部分を発見し、そこを修正することで無事クリア。接続が上手くいくとどんどんと局数とマルチを伸ばすことができ、2人で楽しくコンテスト運用が進んでいきました。

また、途中で何か困ったりすると裏方のESGが見に来てくれるのですが、コンテスト中に手を借りてしまうとシングルオペではなくなってしまいます。無線機の設定やアンテナの状態など適切なアドバイスを聞き、それに従って自分たちで対処することで、参加種目の条件を守りつつ、不安やストレスを持つことなく楽しむことが出来ました。一つの大きな企画を終えたことで達成感、満足感でいっぱいです。


(奥)TZX(筆者)、(手前)UOX(相馬さん)

コンテストを通して

私は全くアマチュア無線とは無縁の人間でした。元々話すことが好きだったので、声を生かして何か出来ないかと思っていたのですが、それも漠然と思っていただけでしたので、何も変わることがありませんでした。ところが今から8年前に起こしたある行動が巡り巡ってこのフィールドデーコンテストの運用に繋がったことは、私の財産となりました。年齢、性別に関係なく楽しめるアマチュア無線。技術的なことが好きな人、海外との交信が好きな人、コンテストが好きな人、私のように声をだして話すことが好きな人、色々なタイプがいると思います。

今回の私たちのように、色々なタイプが集まると、こんなに充実したことが出来ることがわかりました。なかなか落ち着かないコロナ禍の中で、出かけられないことも多かったり、出かけるにしても人の少ない所を選ぶしかない状況ですが、アマチュア無線は自宅で一人、誰にも接触せずにも出来ますし、屋外の緑多い公園の中などでもハンディ機を持って簡単に遊ぶことが出来るものです。ぜひ私のように何もわからない人でも、周りの仲間に恵まれて過ごすこともできますので、アマチュア無線をやる人が増えてくれたらいいなと思います。

そしてフィールドデーコンテストの結果は・・・

今回の結果は、目標にしていたスコアより少なかったですが、主催者の結果発表を心待ちにしたいと思います。また、次回コンテストに参加するときは、今回判明した課題をクリアしてチャレンジしたいです。

2人の結果は下の表のようになりました



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次号は 12月 1日(木) に公開予定

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