Monthly FB NEWS 月刊FBニュース 月刊FBニュースはアマチュア無線の電子WEBマガジン。ベテランから入門まで、楽しく役立つ情報が満載です。

アマチュア無線の今と昔

第1回 浦島太郎になって迷っているカムバック組の皆様へ

JF1KKT 横田勝彦

私は1973年(昭和48年)1月に開局しました。コールサインは、いわゆる「元祖」です。来年1月で、最初に開局してから丸々50年になります。歳食うわけですね(苦笑)

途中、1992年あたりから30年ほどブランクがあります。今思うと、とてももったいなかったな~と思います。こんなに夢中になれる趣味は、今までの人生では、他になかったと思うからです。

まあ、過ぎてしまったのは仕方ないので、人生80年時代に、まだまだ楽しめると思っております。読者の皆様も、きっと同じことを考えていらっしゃると思います。

今回、編集長から「カムバック組が感じたことを書いてくれ」と仰せつかりましたので、私が感じたことを中心に、解説も加えていきたいと思っています。この記事がカムバック組の皆様に、少しでも参考になれたら幸いです。

JARLが変わった!

まずびっくりしたのがJARLです。

詳細はJARL Webのアマチュア無線年表をご覧いただくとして、下にいくつか紹介します。

一般社団法人になり、社員制度が始まりました。私も何度か参加したことがありますが、年1回、各エリア持ち回りで行われる通常総会は、旅行気分で楽しみでもあったのですが・・・。


2011年(平成23年)9月~11月で一般社団法人へ移行する動きがあった(JARL Webより引用)

本部の場所も同じ豊島区内でありますが、巣鴨から大塚に移転になっています。さらに、QSLカードの送り先が本部ではなく、島根県出雲市にあるQSLビューロに変更になりました。IARUの資料を見ても、送り先はこちらになったようです。東京中央郵便局にあった私書箱は、どうなったんですかね?


2013年(平成25年)9月に移転が報じられた(JARL Webより引用)

会費前納会員制度(終身会員)ってありましたが、現在は廃止されてしまったようです。カムバック組の中には、いわゆるライフメンバーもいらっしゃるでしょうが、現在ではQSLカードの転送を受けるには、別途費用がかかります。まあ、JARLの運営を圧迫していたという指摘もありますが・・・。

紙のJARL NEWSも3ヶ月に1回になっちゃいましたね。その分メルマガでカバーすることになったようですが。できれば写真ありのメルマガ(月刊FB Newsのような)を発行してくれるなら、紙はやめてもいいかな? って感じます。その代わり月2回くらい発行して、速報性を持たせてほしいですね。(編集部注: Web版のJARL NEWSが発行になりました)

そういえば、日本のコールブックがなくなり、JARL会員局名録となりました。しかも個人情報保護法の観点からJARL会員のみに頒布されるようになったのです。


海外にもコールブックがありました。以前は紙ベースであったものがCD-ROMになり、ついには廃刊になったのです。

海外の場合、なくなったのはqrz.comなどのサイトが盛況になったことも無関係ではないと思います。Yahoo!やGoogleで、コールサインで検索をかければ、かなりの情報が入手できるので、もうコールブックは要らないのかな? とも思いますね。

業務日誌が変わった!

私がQRTする30年程前にも、電子ログはありましたが、今のようなWindowsベースではなく、DOSベースだったので、パソコンに詳しい方以外には普及していなかったように感じています。

さらに、移動運用に使えるパソコンがなかったのも、大きかったのではないでしょうか? あの頃は、電気は喰うわ、重たいわで、移動には使えなかったように思います。

ところがカムバックしてビックリしたのが「Turbo HAMLOG」(HAMLOG)です。他にもいくつかありますが、このHAMLOGが現在の業界標準ではないかと思います。

別の項でも書きますが、アマチュア無線人口が減っております。ですので、2回目、3回目とQSOする可能性が、昔に比べたら高くなりました。そんなときに電子ログで運用していれば、以前のQSOのデータが瞬時に出てきますので、QSOの内容も弾みます。中には昔の紙ログ分もすべて電子化している方も多いようで、私も「45年ぶりですね」なんて言われたことがあります(汗)。

他のアマチュア無線用ソフトとの連携も可能になっており、さらには「HAMLOG E-Mail QSL」(hQSL)という電子QSLサービスもあります。国内のシェアは高いかと思います。

私もHAMLOGを使わせてもらっております。移動運用時を考慮して、バッテリが長持ちして丈夫なノートPCにインストールして使っています。というかデスクトップPCを持ってないのですが(苦笑)。皆様も電子ログはとっても便利ですので、ぜひ使ってみてください。あ、バックアップはマメに取ることをお忘れなく。何人からか、ログが飛んでしまったという話も聞きました。

CWが変わった!

現在、1アマから3アマでは、CWの実技試験がありません。なので、CWのQSOのスピードがゆっくり、という方が多くなったような気がします。

昔は1アマなら欧文60字/分、和文50字/分、2アマなら欧文45字/分の受信ができなきゃ免許を取れなかったのですが、現在では「A」が「・-」、「-・・・」が「B」、とわかればOKなので、免許を取ってから実際にQSOするまで、苦労されている方が多いと思っています。


2005年(平成17年)10月に電気通信術の試験方法が変更となった(JARL Webより引用)

昔はノートに受信した文字をすべて書いていました。送信も例文を用意して、それを打っていたものでした。

最近の、特に7メガあたりのCWは「599 BK」スタイルのQSOがほとんどです。リグやアンテナの紹介とか、ほとんど聞かないですね(私は、和文はわからないので、もしかしたら和文の方では盛んなのかも?)。

昔からCWに親しんでいた方は、味気なく感じると思いますが、逆に599 BKスタイルで応答するほうに回るならば、コールサインや名前、QTHなどは事前に入手できる機会がたくさんあります。QSOも余計なことを言わないし聞いてこないので、とてもシンプルでかえってとっつきやすいと思います。

いまだ4アマ(電話級)のみの方、3アマ(電信級)以上を持っていてもCWは苦手と思っていた方、今はQSOが昔よりしやすくなってます。この機会にCWにデビューしては如何でしょうか?

余談ですが、1アマで和文がなくなり、さらに電気通信術がなくなったので、カムバックした私にとって、一番のカルチャーショックでした(笑)。しかも旧知の仲であった各局は、のきなみ1アマ(もしくは米国のAmateur extra級)で、愕然としましたね。

コンテストが変わった!

大きく変わったのは、お正月のQSOパーティです。昨年から6日間の開催になり、参加しやすくなりました。今年も6日間連続で参加すると、抽選でハンディ機がもらえるということで、最終日まで盛況だったように思います。

細かいところでは、昨今の国際情勢により、一部の海外コンテストで特定の国の参加が認められなかったり、チェックログ扱いになったりしています。政治の世界の話を趣味の世界に持ち込んではもらいたくない、というのは私だけでしょうか・・・。


現在のコンテストの日程(JARL Webより引用)

新しい変化としては、ログシート、サマリーシートが紙ではなく、データによる提出に移行してきています。コンテストによっては紙でのエントリーは認めないコンテストもあります。

前述したHAMLOGからデータを抽出して提出も容易に出来るようになりましたので、もっと積極的に活用してもいいんじゃないかと思います。願わくは、すべてのコンテストで同じフォーマットになると嬉しいんですがね。

余談ですが、アイコムさんから今度発売になるIC-905、コンテスターの方は皆さん購入されるんじゃないかなと思ってます。私も欲しいです。またこれでUHF帯、SHF帯がにぎやかになるだろうな、と想像しています。 「2.4GHzや5.6GHzでAMでコンテストやるんだ!」とおっしゃっておられたOMさんを私は知っています(笑)。

QSLカードが変わった!

QSLカードといえば、今まではハガキ大の紙に必要事項を記入して交換するのが一般的でした。現在でも紙ベースが基本であると思いますが、島根に移ったJARLのQSLビューロ、コロナの影響などでいつもより時間がかかっているとの声が聞こえてきます。お空でも話をしている方が多いので、聞いたことがある方もいらっしゃると思います。

そのせいか最近盛んになりつつあるのが、いわゆる電子QSLカード。先ほど紹介したHAMLOGユーザー専用のhQSLをはじめ、eQSL、LoTW(ちょっと違うかも)、OQRSなどがあります。

どれも一長一短あるので、複数を相手によって使い分けるのが良いかと思います。最近は国内でも電子QSLカードシステムを作っておられる方もいらっしゃるそうです。

紙ベースのQSLカードも、自前のプリンターで印刷する方も増えております。インクジェットプリンタも進化していて、印刷のクオリティも上がってますね。でもコストが高いので、少しでも安くしたい方は、大容量インクタンクのあるモデルを選ぶと良いと思います。

電子QSLカードの最大のメリットは、JARLのQSLビューロを通さないので、すぐにQSLカードが相手に届く点です。さらに、自分で紙のカードを用意しないでいいので、お金もかからない点も見逃せません。

電子QSLカードが普及した理由は、すぐに届く、お金もかからない、といった点だけではなく、QSLカードを交換する目的の1つであるアワード申請に際して、QSLカードの所持証明が自己誓約だったり、証明そのものが求められなくなったりしているからです。

このような状態であっても、フェアプレーとスポーツマンシップに則るのは当然だと思います。くれぐれもインチキをしないようにしましょう。

おまけ

2022年11月号の私のアパマンハムとムセンと車の記事中で、IC-7100のコントローラーの取り付けで悩んでいましたが、ちょうどいいものを見つけました。


これなら取り付け場所の自由度が広がります。IC-705にも使えますので、バイクや自転車のハンドルにも取り付け出来ます。ご参考までに。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0B3DTQKQZ

アマチュア無線の今と昔 バックナンバー

2022年12月号トップへ戻る

サイトのご利用について

©2024 月刊FBニュース編集部 All Rights Reserved.