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特別寄稿

Raspberry PiとTailscale VPN、4G LTE回線を用いたポート開放不要のリモートシャックの構築

VK3NOM/7M4MON 野村秀明

2026年4月1日掲載

他のユーザーとの共有

前回の「東京広域電話網」の記事で触れましたが、Tailscaleでは特定の機器を共有する場合、対象マシンのShare URLを発行することで、そのマシン単体へのアクセスを共有することができます。

しかし、今回のようにSubnet routingを用いてLAN内の機器へアクセスさせる場合は、マシン共有だけでは不十分で、対象ユーザーをTailnetのメンバーとして招待する必要があります。


Invite external userの招待リンク発行画面

招待されたユーザーは、Tailscaleクライアントを通じてTailnetに参加することで、Subnet Routerを経由したLAN内機器へのアクセスが可能になります。また、招待するユーザーのロールがMember権限では管理コンソールにアクセスできないため、自分のデバイスがネットワークに参加しているかどうかを確認することができません。そのため、運用上はAuditor以上の権限を付与しておく方が状況を把握しやすく、トラブルシュートの際にも便利です。


招待ユーザーの権限の編集画面

なお、招待されたユーザーが既に別のTailnetを利用している場合、Tailscaleクライアントで一度ログアウトすると、再ログイン時にどのTailnetを利用するか選択する画面が表示されます。


Tailnet選択画面

この画面で、招待された側のアカウントを選択すれば、そのネットワークに自分のマシンを参加させることができます。なお、Tailscaleの無料プランでは最大3ユーザーまで利用することができます。

Icom Remote Utility の設定

サーバーの追加設定にて、サーバー(無線機)のアドレスを“192.168.88.86”と指定するだけで、通常のLAN接続と同様に利用できます。


サーバー(無線機)のIPアドレス設定


Icom Remote Utilityで認識された状態

Icom Remote Utilityで認識されれば、LAN内と同様の手順でRS-BA1やRS-R8600を使って無線機を制御することができます。

この構成ではWindowsのオーディオデバイスを経由して音声が再生されるため、Windowsのライブキャプション機能(Ctrl+Windows+Lキー)を使用して、リアルタイムの自動文字起こしを行うことも可能です。


ラジオのニュースコーナーのリアルタイム文字起こしの例

所感

実際に運用してみたところ、4G LTE回線経由であっても接続は安定しており、制御系の操作に関しても特に不安定さを感じることはありませんでした。音声伝送については回線特性上、遅延は発生しますが、通常のリモート運用用途であれば十分許容範囲と言えます。

また、ポート開放が不要である点は心理的にも大きな安心材料です。グローバルIPの有無やルーター設定を気にする必要がなく、CG-NAT環境でも構築できるため、導入のハードルは大きく下がります。セキュリティ面でも、デフォルトで暗号化された通信経路が確保されていることは運用上のメリットと感じました。

Tailscaleは非常に実用性の高いサービスであり、このような機能が無料プランでも3ユーザー、100台まで利用できる点には驚かされます。まさに“神サービス”と言いたくなるほど有用なサービスだと感じました。

本記事が、リモート無線運用環境を構築する際の一つの参考になれば幸いです。

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