Monthly FB NEWS 月刊FBニュース 月刊FBニュースはアマチュア無線の電子WEBマガジン。ベテランから入門まで、楽しく役立つ情報が満載です。

Summits On The Air (SOTA)の楽しみ

その102 登山にチャレンジ-1

JH0CJH・JA1CTV 川内徹

2026年4月15日掲載

新年度になりました。今までSOTAというテーマで、山でSOTA、そして無線を楽しむ内容を中心に投稿して来ましたが、一通りSOTAのルール等の説明もできたものと思います。筆者は日本山岳ガイド協会認定の登山ガイドであり、また国際マウンテンリーダーの資格を持ち、主に海外からのお客様を中心に日本の山をガイドしている立場から、今年度のテーマとして「登山にチャレンジ」ということで安全管理そして楽しく山に登ることのできるように初歩的な内容で、これから登山を始めてみようという方のために記事を投稿していきたいと思います。


皆さん「登山」と聞いてどんなことを想像されますか? 美しい景色、動植物、達成感、信仰・修行の場、歴史、仲間、健康、写真、無線、いろいろ人それぞれ思い浮かぶものは違うと思います。まさにそれこそが登山の楽しみで、人それぞれで違っていることで様々な出会いがあり、変化も楽しめます。この点はとてもアマチュア無線と似ていますよね。自分だけの楽しさを見つけてみてください。おそらくそれは誰かと同じかもしれないし、自分だけのものかもしれません。


私の登山歴は子供のころ、親に連れられ登山に行ったことから始まります。両親とも山が好きだったこともあります。春や秋には登山で山頂に立つということではなく、山菜取りに行きました。山頂に立つことだけが登山ではない、そんな形の登山を経験しながら育ちました。こう聞くとハードな縦走や、岩山をよじ登るクライミングだけではない、自分の大切な様々な楽しみ方が見えてくるのではないでしょうか?

そんな登山というアクティビティについての気づきにつながったり、お手伝いのできるようなことをこの企画のなかでやっていきたいと思っています。

今回はその第一弾として「登山前」という点について話してみたいと思います。登山前なら登山とは違うと思われる方もおられると思います。しかし登山に行こう、行きたいと思ったときからすでに登山は始まっています。

この登山前にやること、それは大きく4つの点検事項があります。

1. 身体のコンディション
登山に出掛けるためにはそれに合う体力が必要です。先ほども申しましたように自分だけの楽しみを見つけるのですから、だれも皆同じ体力が必要ということではありません。自分が行く登山で必要な体力、コンディションが伴っていればいいだけです。しかし体力があっても様々な要因で身体のコンディションは変化します。寝不足、飲みすぎ、食事抜きなどその時々の不摂生で体調は大きく変化します。そしてこれらは確実に事故、ケガの原因になります。健康な人であれば何も訓練しなくても、ある程度は登山もできます。しかし山を歩く筋肉は平地を歩く筋肉とは違っています。特に下山時には普段使わない筋肉を使います。よく私は「どうしたら山に疲れずに登れますか?」と聞かれることがありますが、「頻繁に登山に出掛けること」といつも答えています。

これは使う筋肉の鍛錬もそうですが、気象の変化や、気圧の変化、山容の変化に対しての想像力や適合力も合わせて訓練できるためです。数年ぶり、数か月ぶりに出かける登山はとてもきついものがあります。しかし、あえてその翌週、2週間後に同じルートを歩いてみてください。全く違う感じで歩けることと思います。

2. 計画立案
どこに行こうか、どの山に登ろうか。ガイドブックや地図を眺めながら、そして仲間と相談しながら計画を立てるのは実に楽しいものです。どれくらい時間が必要か? どのルートをとるべきか、どんな危険があるか、どんな景色が見えそうか、どんどんと自分の知識や想像力が増えていくことでしょう。地形だけではありません。天気予報を見ながらどう天候が変化してくるか、どんな気圧配置でどんな気候になるのか、どんな服装・装備が必要か、どれだけの食料と水が必要か、山行中の保険はどうするか、家族との連絡はどうするか・・・

日帰り登山であっても準備するものは普段の生活の縮図のようになっています。よく登山は人生にたとえられます。人生、山あり谷あり。峠に立ち向かう挑戦心。間違えたら納得する地点まで戻る。断念し撤退する勇気。これらすべてが自分の人生を旅する上でも重なりあってくることでしょう。

3. 装備のチェック
上の計画にも大きく関与することです。この季節、その山はどんな気候か? どんな装備が必要か? それを担ぎあげる体力はあるか? 非常時に何が必要か? あらゆる側面でリスクを考慮し、また自分だけの楽しみも味わえる、そんな装備を忘れ物なく持っていく必要があります。山での装備の不足、欠如は直接、生死に関わる問題になります。またその装備の有無での影響度も大きく違います。

例えば日帰り登山で食料を忘れたというケースと雨具を忘れたというケースでは同じ生死にかかわる問題ですが、時間や天候で影響は異なります。食料がないのはつらいですが、人間、食べ物がなくても日帰り、いや数日は死ぬことはないでしょう。しかし、晩秋や冬期、春先で雨が降っても雨具がない場合は確実に低体温症で死に直面します。

いろいろなスポーツがありますが、登山ほど生死に直面するスポーツはありません。

4. 登山計画の共有
このように体調もよく、綿密に計画し、装備も確実に持っていても、相手は自然です。何が起きるか判りません。想定外のことは日常茶飯事に起きるのが山です。これはどれだけ自分が万全に準備を整えても自然の力には勝てないということの現れと思います。そのような時に必要なのが登山計画を家族と共有し、しっかりとした登山計画書を関係各署に届けておくことがとても大切なことになります。これは単に提出するということだけでなく自分にとっても安全登山についての意識をあらためて持つという意味あいもあります。

今は登山口で書く必要はなく事前に電子的に登録するシステムがあります。是非活用したいものです。

SOTA日本支部ではSlackを使ったコミュニティプラットフォームがあります。すでに100人以上のSOTA愛好家の方々が参加されています。このコミュニティに新たに参加をご希望の方は私宛のメール、ja1ctvアットマークjarl.comでも結構ですし、SOTA日本支部のホームページの問合せのページから連絡を頂いても結構です。登録案内を送らせていただきます。

Summits On The Air (SOTA)の楽しみ バックナンバー

2026年4月号トップへ戻る

サイトのご利用について

©2026 月刊FBニュース編集部 All Rights Reserved.