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HW Lab

第18回 乾電池の性能について(後編)

JH3HWL 箭野佳照

2026年7月1日掲載


前号の説明

携帯ラジオや電子工作で使用する電池は、主に100円ショップ(100均)やホームセンターで購入することが多いです。ところが、同じサイズの電池でも価格には大きな差があります。たとえば単3形アルカリ電池は4本で100円、マンガン電池は6本で100円などと、種類によって大きく異なります。

一方、量販店で販売されている有名ブランドの電池は「高性能」をうたっているものの、2本で300円、さらに高性能タイプでは2本で400円以上することもあり、なかなか気軽には手が出ません。

とはいえ、高価な電池には価格に見合うだけの性能があるはずです。本当に性能差が存在するのか、あるとすればどれほど違うのかを確かめるため、実際に電池に負荷を接続し、放電特性を測定することにしました。

前号では、測定作業が予想以上に時間を要したため、測定の準備として測定回路の製作までを紹介しました。今回は、いよいよ放電データの測定結果をお伝えします。なお、測定方法はHW Labで独自に定めた手順・方法であることをご理解ください。

実験に使用した電池の数々

性能試験に使用した単3型電池の数々を図1に示します。①はマンガン電池です。100円ショップで見かけます。②~⑦は全てアルカリ電池です。アルカリ電池のうち、②、③、⑤は100円ショップの商品です。④、⑥、⑦は量販店およびホームセンターで販売されていた商品です。およその価格をまとめたものが図2です。


図1. 性能試験に使用した単3型電池の数々


図2. 各電池の実勢価格

実験方法

(1) ON/OFFのインターバルタイム
被測定電池①~⑦に負荷を接続して閉回路(ONの状態)を作り、強制的に電流を流し電池を放電させます。連続的に負荷を接続する閉回路を作るのではなく、閉回路(ONの状態)と解放(OFFの状態)とを交互に繰り返すようにします。そのインターバルは図3に示すようにONの状態が約17秒、OFFの状態が約8秒としています。


図3. ONとOFFのインターバル

(2) 電池を強制的に消費させる回路
ONの時に回路に流す電流は約200mAとしています。これは図4に示すように15Ωの抵抗を並列に接続した負荷(7.5Ω)を接続するようにしました。


図4. 被測定電池に負荷を接続する回路。実回路ではSWはリレーを使用

15Ωや200mAは、電池の測定で決められた数値ではありません。最初の実験では1.5Vの電圧に15Ωの抵抗を接続して計算しやすい100mAで行っていましたが、意外と電池が終止電圧になるのに時間がかかったため15Ωをパラに接続し、回路により多くの電流を流して加速度試験を行ったことが理由です。回路のON/OFFはNE555を使い、リレーで行います。

最終的には前編に掲載した回路を少し変更しています。最終の回路は、末尾に掲載した図6を参照願います。

(3) 終止電圧に至る時間の測定
実験に使用した電池の端子電圧は、初期状態で1.6Vを超えていました。この電池に負荷を接続して電流を流し、強制的に電池を放電させます。実験では、端子電圧が1.0Vに低下するまでの時間を計測します。ここでは便宜上、この1.0Vを「終止電圧」と設定しました。

後ほど測定データを示しますが、100円ショップで購入した単3アルカリ電池を図4の回路で放電させたところ、終止電圧の1.0Vに達するまでの時間は、およそ18~19時間でした。とはいえ、この長時間の実験をずっと監視し続けることはできません。そこで、ON/OFF制御に使用したリレーがONになるたびにカウントが1つ増えるアップカウンターを採用しました。アップカウンターは、大手ネット通販で完成品を購入しています。電池の端子電圧が終止電圧(1.0V)に到達した時点でカウンターが停止するよう、専用の回路を設けています。

図4のSWはON/OFFを繰り返しており、電池が終止電圧に達したときのカウンターの数字に、ON/OFFの1サイクルに要する時間(=25秒)を掛け合わせたものを、その電池の寿命として評価しました。

各電池の寿命

単3電池に加え、比較の参考として単4アルカリ電池および単2アルカリ電池についても追加測定を行いました。測定条件は以下のとおりです。これらの条件で測定した結果を図5に示します。

・被測定電池を強制的に放電させるため、7.5Ωの負荷抵抗を接続する
・負荷抵抗の接続(ON)と断続(OFF)のインターバルをそれぞれ17秒/8秒とする
・被測定電池の無負荷時の端子電圧が終止電圧の1.0Vに到達するまでの時間を計測する


図5. 終止電圧(1.0)Vになるまでの時間

考察

単3アルカリ電池の寿命は、メーカーに関係なくおよそ20時間程度であることが、②および③の測定結果から確認できます。④の電池も②、③と同じ価格帯、同じ種類のアルカリ電池ですが、寿命はそれらより10%弱短い結果となりました。明確な理由は分かりませんが、初期の無負荷状態で端子電圧が他の電池よりわずかに低かったことが影響している可能性があります。

これらのアルカリ電池と比較すると、①のマンガン電池の寿命は半分以下でした。実験中に改めて感じた点として、マンガン電池は内部抵抗が高く、負荷抵抗を接続した状態で端子電圧を測定すると、1.6V付近から一気に1.2V程度まで低下していました。マンガン電池で200mAの電流を取り出すのは厳しいようです。一方、アルカリ電池では負荷を接続しても初期電圧の1.6V台から0.1V程度の低下にとどまり、1.5V台の中ほどを維持しており、内部抵抗の低さがはっきりと感じられます。

気になったのは、⑤の「Long Lasting」と印字された3本100円のアルカリ電池でした。⑥のブランド品と比較しても、同じ条件での実験ではほぼ同じ寿命を示しています。さらに、⑦の高性能をうたう電池は、通常の4本100円のアルカリ電池より約25%長持ちしました。また、⑥、⑦の電池は、負荷を接続して200mAの電流を流した場合でも端子電圧の低下が小さく、他のアルカリ電池ほど電圧が下がりませんでした。これは、電池の内部抵抗が低いことを示しています。つまり、これらの電池は、一般的な100円ショップのアルカリ電池よりも高い電流を安定して取り出せる性能を持っていると言えます。

⑧の単4アルカリ電池は、もう少し持つかと思いましたが約10時間でした。単3マンガン電池よりは長持ちしています。また、単3電池より寿命は短いものの、内部抵抗は他のアルカリ電池と同様でした。⑨の単2アルカリ電池は100円ショップでは1個100円で販売されていました。同じ実験条件下では60時間以上の寿命となりました。

電池の測定に使った実験回路

実験回路の動作説明は前編を参照願います。


図6. 実験に使用した回路

実験装置

これは、実験装置を動作させている様子を撮影した動画です。クリックすると再生が始まります。小さなPCB上には赤色LEDが搭載されています。再生直後は、被測定電池に負荷が接続されていない状態で、LEDは点灯していません。マルチメーターは、そのときの電池の端子電圧を示しています。

しばらくするとLEDが点灯し、負荷が接続されたことが分かります。同時に、右側の6桁カウンターの値が1つ増加します。装置はこれを繰り返し、端子電圧が1.0VになるまでON/OFFを繰り返します。


図7. 実験中の動画 (クリックで動画再生します)

参考資料

日本産業規格「JIS C8500:2017 一次電池通則」
パナソニック 乾電池エボルタ

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