アマチュア無線の今と昔
2026年7月1日掲載
連載44回目です。今年もあっという間に折り返し地点を過ぎ、7月を迎えました。全国的にジメジメとした梅雨空が広がる日が続いていますが、皆さんのシャックの居心地はいかがでしょうか。
屋外でのアンテナ工事などは少しお預けとなる時期ですが、こんな雨の休日こそ、エアコンの効いた部屋でゆっくりとリグに向かったり、溜まっていたQSLカードの整理を進めたりする絶好のチャンスかもしれません。また、初夏から夏にかけてのハイバンドでは、Eスポの本格的なシーズンでもあります。突然聞こえてくる遠方の局に耳を澄ませ、熱心にワッチを続けている方も多いことでしょう。

梅雨ですね~
さて、最近のアマチュア無線界隈の大きな話題といえば、先日開催されたJARLの定時社員総会ですね。今後のアマチュア無線界の発展や組織のあり方、そして若い世代への普及活動などについて、今年も様々な議論が交わされました。
詳細は各報道をご覧いただくとして、私たちアマチュア無線家一人ひとりが、この素晴らしい趣味の未来について改めて考え、仲間と語り合う良いきっかけにしたいものだと思います。では、今月も原稿を進めて参りましょうhi

JARL第15回定時社員総会が行われたステーションコンファレンス万世橋が入居するJR神田万世橋ビル(JR東日本ビルディングWebサイトより)
アマチュア無線を趣味にしている方の中には、その道のプロの方もたくさんいらっしゃると思います。つまり、無線従事者免許証を使ってメシを食っている人(=プロ)です。
個人的な話で恐縮ですが、若い頃からの私の夢(職業に関して)は、「資格と印税でメシを食う」でしたhi 現実に資格を持っているからメシの種になっている部分もあります(運転免許証のお陰でメシが食えてるところはありますhi)。でも、印税生活は無理でした。そんな甘い話はないですねhi

印税生活は無理でしたhi
さて、話を戻しますが、アマチュア無線家らしく、無線従事者免許証で食っていくには、どの資格が最強なのでしょうか? ちょっと考えてみました。
無線従事者資格の中で、「仕事の需要(求人の多さ)」と「取得のしやすさ」のバランスが最も優れている(=最強!)のが陸上特殊無線技士(陸特)です。求人サイトを見てみると、これでもか! っていうくらい求人を目にします。ちょっとビックリですよね。
特に以下の資格は、現代のインフラや最新トレンドに直結しており、まさに「メシが食える」資格の筆頭です。

アマチュア無線の知識を生かして資格をゲット!
●コスパが良くてメシが食える資格はこれ!
① 第一級陸上特殊無線技士(一陸特) ~求人多数の主役資格~
・なぜメシが食えるのか
携帯電話の基地局(プロバイダのインフラ)の設置やメンテナンス、衛星通信地球局(放送局のSNG中継車など)、さらには大容量の多重無線設備の運用にはこの資格が必須です。5Gの普及や通信インフラの維持管理において、常に一定の求人があります。
・難易度 ★★☆☆☆
国家試験の合格率は30~40%前後ですが、出題パターンが決まっているため、過去問の丸暗記で文系の人でも十分合格可能です。講習会もあります(e-ラーニングもあり)が、受講料が非常に高額(7~9万円くらい)なので、コスパが悪いです。
・取得方法
上記で申し上げました通り、「国家試験を受験する」か、日本無線協会などが実施する「養成課程(講習会)」を受講して修了試験に合格するかの2通りがあります。
・勉強方法
国家試験を狙う場合、おすすめは「過去問の周回」です。「第一級陸上特殊無線技士試験問題集」などを入手し、最低3~5年分の過去問を、答えだけでなく「なぜその答えになるか」を理解しながら3周すれば、独学でも合格圏内に入ります。
実は私も所有してたりしますhi 試験勉強は過去問題集を通勤電車の中だけで読み込んだだけでした。電車の中以外では全く勉強はしなかったですね。まあ、工学部電子通信工学科出身だったこともあり、学生時代の実験を思い出しながら勉強したことを覚えています。
試験時間が確か2時間半だったと思いますが、開始から30分で受験会場から出られたので、一番で出して帰ってきました(30分で退出したのは私だけでした)。きっと他の受検生には、「あいつ、諦めて帰ったんじゃないの」と思われていたことでしょうhi

私の1陸特の免許証 一度なくしたので再交付ですhi
② 第三級陸上特殊無線技士(三陸特) ~ドローン・ビジネスの必須資格~
・なぜメシが食えるのか
昨今大ブームの「産業用ドローン(空撮、農薬散布、測量など)」で、高出力の電波(5.7GHz帯など)を使って映像転送や制御を行う場合、この三陸特が必要になります。また、タクシー無線や各種業務用無線の基地局のオペレーターとして従事できます。
・難易度 ★☆☆☆☆
国家試験の合格率は80%前後と非常に高く、ハードルはとても低いです。
・取得方法、勉強方法
国家試験のほか、1日~2日の養成課程講習でも取得可能です。アマチュア無線家なら、国家試験の過去問を数日眺めるだけで合格できるレベルです。

資格というスキルをお金にしましょう
●アマチュア無線の資格・知識があれば「イージーに取れる」資格
「メシが食えるか」はさておき、「アマチュア無線の知識があるから、ほとんど勉強せずにもらえる(あるいは少しの努力で取れる)」という、盆栽的なコレクションとしてもおすすめの資格です。
① 第二級・陸上特殊無線技士(二陸特) / 特殊無線技士(海上・航空)
・おすすめ理由
アマチュア無線の「工学」の知識があれば、内容がほぼ重複しています。違うのは「法規(業務無線特有のルール)」だけです。
・難易度
非常に易しいというと言い過ぎになるかも知れませんが、ハードルは低いです。
・活かし方
二陸特の資格で、警察の速度測定器(いわゆるネズミ取りのレーダーですねhi)やスピードガン、ETC設備の管理、ビルや工場の無線カメラ設置など、活躍の場は多岐にわたります。海上特殊無線技士(二~三海特)は小型船舶の無線、航空特殊無線技士(航空特)は自家用操縦士などが無線を使う際に必要となります。アマチュア無線で培った「フォネティックコード」や「Q符号」の知識(航空・海上では一部異なる部分もありますが)が直感的に理解を助けます。
●憧れの「通信士」への最短ルート&海の仕事への登竜門! 第四級海上無線通信士(四海通)
・なぜメシが食えるのか(活かし方)
その資格単体ですぐに就職できる一陸特とは少し毛色が違い、主に「海の世界へのパスポート」として機能します。漁業無線局やポートラジオなどの「陸上にある海岸局」でのオペレーター業務のほか、フェリーや内航船舶などの乗組員(海技士)を目指す際の必須条件となることが多く、海事関係・水産関係の仕事で「メシを食う」ための強力な武器になります。
・アマチュア無線家の圧倒的アドバンテージ
本来、「無線通信士」という上位資格(一海通~三海通など)には、鬼門となる「英語」の試験があります。しかし、この「四海通」だけは語学試験がなく、「無線工学」と「法規」の2科目のみで受験できます。アマチュア無線家なら「無線工学」はすでに基礎ができているため、ほぼノー勉~数日の復習で合格レベルに達します。つまり、勉強の労力を「海事関係の法規」だけに全振りできるのです。
・難易度 ★★☆☆☆
「特殊無線技士」の合格基準が6割なのに対し、「通信士」である四海通は合格基準が7割と少し高めに設定されています。しかし、英語がないため、アマチュア無線家にとっては一アマ・二アマを取るよりもずっとラクに感じられるはずです(ホンネとしては、英語が苦にならないくらい、できる方がうらやましいですhi)。
・取得方法、勉強方法
国家試験を受験するのが一般的ですが、最近はe-ラーニング形式の養成課程(講習会)でも取得できるようになりました。国家試験で突破する場合、工学はアマチュア無線の知識でカバー(レベルは2アマよりやさしいと言われています)し、あとは過去問集で「GMDSS(海上遭難安全システム)」などの海上特有の法規を重点的に丸暗記するのが王道ルートです。
・昔話
昔は「電話級無線通信士」といいました。そのころは1アマ・2アマを持っていれば、無線工学は免除となっていました。懐かしいですねhi


●まとめです
アマチュア無線は「趣味の王様」と言われますが、そこで得た電波の知識や回路の理解は、立派な社会的資産です。
せっかく頭に入っている「オームの法則」や「電波伝搬の仕組み」を、机の肥やしにしておくのはもったいない。ドローン・ビジネスに参入するもよし、通信インフラの仕事で手堅く稼ぐもよし。あなたが今までのアマチュア無線家人生で培ったその知識、今度は「メシの種」に変えてみませんか?

資格取得に向けて頑張りましょう!
●浦島太郎的ネタ・・・ アマチュアの資格では免除がないの?
結論からいいますと、現在は制度が変わっており、1アマや2アマを持っていても四海通などの無線工学は免除になりません。
① 昔は確かに「免除」がありました
平成2年(1990年)4月までの旧・無線従事者制度では、アマチュア無線の資格によるプロ資格への免除規定がありました。当時「1アマ」「2アマ」を持っていると、現在の四海通にあたる「電話級無線通信士」や、現在の三総通にあたる「第三級総合無線通信士」などの試験を受験する際、無線工学関係の科目が免除されるという、アマチュアにとって非常にありがたい制度が存在していました。
② なぜ今は違うのか? (平成2年の大改正)
平成2年(1990年)5月に無線従事者の資格制度が根本から大きく見直され、名称も現在のもの(電話級無線通信士→第四級海上無線通信士)に変更されました。この大改正に伴い、「アマチュア無線の資格を使って、プロ(業務)の無線従事者試験の科目を免除する」というルートがすべて廃止されてしまいました。
現在、無線の資格(電波法)の世界では、「プロの上位資格を持っていれば、アマチュアや下位資格が免除になる」という一方通行になっています(例: 第一級陸上無線技術士を持っていると、1アマの工学が免除になる等)。そのため、アマチュア側から特殊無線技士や通信士の免除を受けることはできなくなりました。
「昔は2アマを持っていれば電話級無線通信士(現・四海通)の工学が免除になったのに・・・」と嘆くOMさんもいるかもしれません。確かに平成の大改正でアマチュア資格からの科目免除はなくなってしまいました。しかし、四海通の無線工学は2アマと出題範囲やレベルが非常に似ています(当時2アマの方が上位になっていたので、昔は免除になったんですね)。免除の特権こそありませんが、あなたの頭の中にある知識という「実質的な免除」は今でも健在ですよ!

頭の中の知識を活かしましょう
なおご意見、ご感想、ご質問等については、筆者である私宛(jf1kktアットマークgmail.com)へご連絡頂けますと幸いです。
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