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Summits On The Air (SOTA)の楽しみ

その68 SOTAを楽しむ仲間たち5

JH0CJH・JA1CTV 川内徹

2023年6月15日掲載

今年の4月、5月はどうも週末になると雨という天気が続きました。そして、6月8日、ついに関東甲信地区も梅雨入り宣言が出てしまいました。こんな気候でなかなか山に出かけることのできなかった方の中にはだいぶ不完全燃焼の方も多いのではないでしょうか? 梅雨の合間に晴れている時を見つけて、安全登山でSOTA運用を楽しみたいものです。

さて日本国内はそんな不完全燃焼の方が多いなかで、完全燃焼をして楽しまれた方々を紹介しましょう。なんと東マレーシアのキナバル山に登って運用された4名の方々です。富士山よりも高い山の山頂からの運用です。その様子を今回参加されたメンバーのJG0AWE若麻績さんに、たっぷりと語っていただきましょう。



Low’s Peak(4095.2m), the summit of Mt. Kinabalu = SOTA: 9M6/KB-001

JG0AWE 若麻績宗亮


左から7M4QZE 小林さん、JA7ENA 伊藤さん、JG0AWE 若麻績、JL1SDA野崎さん

昨年の夏頃、普段からSOTAの運用をされているJA7ENA局から「キナバルに行きたいんだけど一緒に行ける局いない?」と声がかかったのがきっかけでJL1SDA局、7M4QZE局と4人でLow’s Peak(4095.2m)からSOTA運用を計画しました。

空港に向かう新幹線の中で東マレーシア サバ州での運用の免許が降りたのを知らされたこともあり、事前の告知は殆どできない厳しい状況でしたが、6月3日4人全員がアクティベート成功できました。

出発前の準備

1. SOTAのトレーニングはSOTAで
Low’s Peakは4,000mを超え、標高差も2,200m以上。5月に入ってからは標高差のある山行のSOTAの山を選びActivateしました。また短時間で設営・撤収することも気にしながらLow’s Peakの運用に備えました。一時はFT8の運用も考えましたが、KX2+EFHFで10/14MHz CW中心の運用としました。


運用バンドはVOACAP Online for Ham Radioの情報を参考にしました

2. 紆余曲折した免許取得
今回一番苦労したのが免許の取得でした。

提出書類として
・申請書AAP-F07
 MCMC (Malaysian Communications and Multimedia Commission)のHPより
・従事者免許証の英文証明
・局免許状の英文証明
・パスポートの写し
・ローカルクラブの推薦状(一通はIARU会員で有ることが必要)
・MARTS (Malaysian Amateur Radio Transmitters' Society) 会員2名の推薦状
・Certification of Commissioner of Oath(通信内容の秘匿にかかわる宣誓書)

この内、推薦状と宣誓書について特記しておきます。
・推薦状
IARUの会員の推薦状はJARL会員部国際課に依頼をし、MEMBERSHIP CERTIFICATE(英文)を発行していただき代用、また地元JARL長野県支部支部長にも推薦状をいただきました。併せてMARTS (Malaysian Amateur Radio Transmitters’ Society)のAris会長を紹介いただき、推薦状については日本側、マレーシア側ともに用意できました。
・宣誓書
今回の免許取得の最初の関門でした。マレーシア国内では容易に取得できるようですが、日本では公証人の前で宣誓し外務省の認証のある認証文書を作成、それをマレーシア大使館に送付し領事認証を受けるようです(費用は2万円程度)。ここで問題がおきます(結果的には幸いしました)。

「NOTE: To be signed before Justice of the Peace, Magistrate or a Commissioner of Oaths. Any person who makes a false statement in a statutory declaration is guilty of an offence and is liable to imprisonment for three years and is also liable to a fine」の文言。

日本の公証人はマレーシアの法律に従うことはないので、この一文を削除しないと書類は発行できない、とのこと。マレーシア大使館に確認したところ「書類を変更することになるのでNG。確認するので少し時間ください。」何を確認するんだ? と思いながら待っていると「この宣誓署名は大使館でも可能です。明日大使館に来られますか? こちらで宣誓署名してください」と予想もしていなかったありがたい返答がきました。早速翌日マレーシア大使館に伺い、宣誓署名し当日に領事認証もいただけました(費用は¥610)。


Certification of Commissioner of Oath (通信内容の秘匿にかかわる宣誓書)

3. 書類が全て揃いMCMCに申請
早速書類一式をMCMC (Malaysian Communications and Multimedia Commission)宛に提出。事前問い合わせでは10日程度で免許が発行されますということでしたが、実際にはここからが長かった。

今回一緒にキナバルで運用したJL1SDA局経由で地元局9M6LK、9M6MUのサポートをいただき、また私も何度もMCMCと担当者とメールや時には電話で直接やり取りをしていましたがなかなか免許が降りず。流石に一週間前になっても免許がいただけない状況には私もストレスを感じていました。

MCMCによれば、日本と相互協定がないので「Management Meeting」での決定が必要、このManagement Meetingの延期が重なったとのこと。

4. MCMCからのメール
出国当日の5月31日、長野から空港までの新幹線で移動中に届いたMCMCの担当者からの電子メールに免許の写しが添付されていました。「コタキナバルのMCMCオフィスで受け取れる段取りをしているが連絡がつかない(あとでわかりましたがこの日はサバ州の公休日でした)。またこちらからコタキナバルのMCMCオフィスに連絡しておくのでピックアップするように」とのこと。

添付されていた免許状のコールサインは9W6/JG0AWE、(私のRigでは出られませんが)5MHz含めて3.5MHz~440MHz出力50Wの免許が降りました(9M6かな?と思っていましたが、今回はKX2とFT1XDのみなので問題なし)。

免許取得まで10日程度の予定が結果的に2ヶ月以上かかりました。

クアラルンプール経由でコタキナバルへ

1. 登山の格好で飛行機に搭乗
夜行便でHNDからKUL経由BKI。当初の予定ではコタキナバル国際空港まで直行便の予定でしたが、航空会社のフライトスケジュールが変わりKUL経由の便に変更。余計に時間がかかりますがこればっかりは仕方がないこと。ただ到着した翌日の早朝にはキナバル登山へ出発のスケジュール。ロストバゲッジ対策として無線機の他、登山用具一式もザックに詰め機内持ち込み、登山靴も履いてそのまま4000m超の山に行ける格好で搭乗しました。無事乗り継ぎもでき、現地時間6月1日のお昼頃にコタキナバルに到着することができました。

2. コタキナバルのMCMCオフィスへ
免許が無いことには運用は叶いません! まずは免許を受け取りにコタキナバルのMCMCオフィスへ伺います。事前の連絡も届いていたようで、ここではスムーズに事が進みました。色々な方にお世話になり、やっとやっと降りたマレーシアの免許。この数ヶ月間の色々なことを思い出しながらMCMCオフィスの台帳にサインをし、受け取った瞬間は本当に嬉しかった!


コタキナバルのMCMC (Malaysian Communications and Multimedia Commission)で頂いた免許。
コールサインは9W6/JG0AWE

3. 現地9M6局との交流
Hillview Gardens Amateur Radio Club (9M6ACC) の6名(9M6SU, 9M6JTR, 9M6RM, 9M6MU, 9M6DU & 9M6LK)が迎えてくださり、/Pの有無や2mの周波数など運用に関する情報も教えていただきながら、コタキナバルの最高に美味しいシーフード料理囲んで懇親会を設定していただきました(翌日は早朝から移動ということもありALC.はなし)。

今回は免許取得の他、国立公園での無線運用の許可など、現地の局ならではのサポートもしていただきました。また3 June 2023と大きく入ったキナバル山のTシャツをそれぞれにプレゼントされました。もう何があっても登るしかない? hi。日本から持参したSOTA手拭やSOTAコースター、シール等のお土産も大変喜んでいただけました。


ローカル局との懇親会。美味しい地元料理をいただきました


頂いたT-シャツを着てローカル局と記念撮影

いよいよ登山開始

Low’s Peak(4,095.2m)を目指し、1日目は約3,280mまで標高差約1,400m、2日目は山頂4,095.2mまで標高差約800m上りSOTA運用、その後1,866mまで昼食を挟んで標高差2,200mを降ります。

現地ガイドの同伴が必須のキナバル登山、また大半の登山者はポーターを雇い軽装でした。私達は普段通りの小屋泊の装備+無線設備一式を背負ってガイドさんと出発(ランチや水、行動食を含め12キロ程度)。


いってきま〜す @標高1,866mのPONDOK TIMPOHON登山口


ランチパック(当日Kinabalu Park HQで配られます)

普段からそれなりに山歩きしているSOTA局達なので(笑)、荷物持参の割にはFBなペース、休憩時間含め約5時間で標高3,270mの宿泊所まで4人揃って到着。冷水シャワーを浴びてリフレッシュ&栄養補給し2日目に備えます。予定では日の出と同時に運用開始を考えていましたが、ガイドさんと相談し混雑時の運用を避けるため出発を1時間遅らせることにしました。


バッフェスタイルの食事。しっかり栄養補給出来ました。また高山病対策で2L近くお茶をいただきました。

翌朝、現地時間3:00に準備をして出発。ヘッデンを頼りに順調に高度を上げていきます。2時間半程でLow’s Peak(4095.2m)に登拝。日の出時間の山頂付近は大混雑で無線の運用は難しい状況、時間変更は正解でした。


日の出時の山頂付近


東南アジア最高峰Low’s Peakからの日の出

SOTA: 9M6/KB-001運用

1. CQ SOTA
東南アジアで一番高いところから最高の日の出を拝しながら山頂の混雑が落ち着くのを待ち、ガイドさんと相談し約15m下がった場所で運用することにしました。

最初の声出しは今回のSOTAの旅の発起人JA7ENA局、私もLow’s Peakのチェイサーポイントが欲しいので一旦50m程下り144MHz FMでQSO。その後2箇所に別れ私とJA7ENA局は14MHzのEFHWを垂直に設営、携帯もAPRSも使えないのでSOTA Watch3にSpotができない中「みつけて~!」と願いながら14.0635MHzでCQ SOTA。直ぐに各局に見つけていただき、SOTA Activateの為の最低4Qsも達成できました。本来ならここで待機中のJA7ENA局に変わる予定でしたがプチパイル状態。ENA局に了解いただき続けさせて貰いました。

少し離れたところで運用中のJL1SDA局&7M4QZE局から10MHzはNGだとハンディ機で連絡がきます(途中QRXを送っていた時です)。14MHzを4人でシェアーする必要があると判断、未だ呼んでもらっているのに申し訳ない! と思いながらもOPチェンジしました。

その後、18MHzでも運用してみましたがQSOには至りませんでした(携帯を使ったSOTAMATによるSPOTも試してみるべきでした、今後の課題)。


KX2 10W+EFHWで運用

2. 複数の局でSOTA運用する際のポイント
同一バンドの運用で9W6/JG0AWE = 14.0635MHz、9W6/JA7ENA = 14.0645MHzというように周波数を変えて運用してみました。

これは私がチェイサーをしている時に感じていたことでもあったのですが、複数のSOTA局が同一設備をシェアーしアクティベートしている際、どの局とQSOしているのか解りにくいことがあります。特に今回はQRP+αの出力で4局とも9W6/から始まるコールサインです。「なんで周波数変えたの? 同一周波数をシェアーして運用してほしかった!」という声もありますが、「OPが変わったのがわかったので助かった!」というメッセージもいただきました。

3. 全員がActivate成功!
JAとのパスが14MHzのみ&標高4,000m超での山頂滞在時間が1時間という制約の中で、全員がActivateポイントを獲得できることを大切にしました。またJL1SDA局と7M4QZE局は144MHzで9M6ACCメンバー各局ともwkd。

予定の時間は過ぎていたので急いで撤収し、標高差2,200mを下り14:00過ぎに登山口に無事到着。遅めのLunchでお疲れ様の乾杯と同時に突然の土砂降り。なんとも幸運に恵まれたSOTAでした。

プチ・マレーシア観光

1. Batu Caves&Melaka観光
フライトがKUL経由になったこともあり最終日はBatu Caves&Melakaへのプチ観光もできました。また今回の旅行中、配車アプリGrabをフル活用し、徒歩圏内でも暑いから車利用したいような移動でも利用していました。Melaka観光では高速バスを利用しようとターミナルに向かうも大混雑。結局、ここでも往復ともにGrabのお世話になりました。


マラッカまでプチ観光。実は後ろのタワーが気になっていた私(笑)

2. 美味しい食事
食欲旺盛な私にとって旅行中の食事は重要です。今回のマレーシアの旅では美味しい食事もたっぷり満喫できました。キナバル登山を共にした仲間と楽しい会話もはずみ気がつけば毎日3食+数食しっかり頂戴した結果、+3kgでの帰国となりました^^;


無事Low’s Peakでの運用も終え、屋台で祝賀会

最後に

マレーシアの免許取得も含め、これまでのSOTAの中でも最高に険しかったLow’s Peak(4095.2m)。「お腹いっぱい!」と下山時には感じていましたが、時間が経つにつれ「またLow’s PeakでSOTAしたい!」という想いが強くなって来ています。

Low’s Peak(4095.2m) = SOTA: 9M6/KB-001の運用は共に行動したJA7ENA局、JL1SDA局、7M4QZE局は勿論、マレーシア大使館、MCMC、JARL国際課、MARTS、9M6ACCの主要メンバーの9M6MU局&9M6LK局、そして海外運用に精通したSOTA日本支部代表JA1CTV局など多くの方々のサポートで実現できました。

また当日は弱々しい信号を追っかけてくださった各局、S2Sの為にSOTA山で何時間も待ってくださった局、SNS等で励ましのメッセージを送っていただいた皆さん・・・ 改めて感謝申し上げます。ありがとうございました。
Thanks ALL.
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いかがでしたでしょうか? 標高4,095mのキナバル山への登頂、絶対に日本では味わえない高度、そしてそこからのSOTA運用、4人そろってのアクティベーションの成功は本当に素晴らしいですね。ぜひこれからも海外のSOTA支部内の山頂からのQRVを期待したいものです。

ここで宣伝ですが、SOTA日本支部は来る7月15、16日、大阪府池田市、池田市民文化会館で開催される「関西ハムフェスティバル2023」に今年も出展いたします。ぜひ参加されるかたは、ぜひSOTA日本支部のブースにも足を運んでいただき、アイボールQSOをお願いしたいと思います。

SOTA日本支部ではSlackを使ったコミュニティプラットフォームがあります。すでに100人以上のSOTA愛好家の方々が参加されています。このコミュニティに新たに参加をご希望の方は私宛のメール、ja1ctvアットマークjarl.comでも結構ですし、SOTA日本支部のホームページの問合せのページから連絡を頂いても結構です。登録案内を送らせていただきます。

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