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Summits On The Air (SOTA)の楽しみ

その22 東日本大震災を経験し(JE7RMVさんの楽しみ方)

JH0CJH・JA1CTV 川内徹

皆様、こんにちは。長かった今年の梅雨もようやく明けました。梅雨が明けたとたんに猛暑の毎日ですがいかがお過ごしでしょうか。今回は主に宮城県を中心に東北でSOTAを楽しんでおられる、JE7RMV村上さんのSOTAの楽しみ方を紹介したいと思います。村上さんは、仙台にお住まいで東日本大震災での経験をもとにアマチュア無線の緊急対応性を認識され、再開局されました。緊急時に備えて準備をすると同時に山頂で電波を出すことがきっかけになったということですが、今ではSOTAのアクティベーションが山に登る大きな理由の一つになっているということです。美しい自然が豊富な東北地方、その一方で自然環境も厳しい東北地方で四季を通じSOTAを楽しまれている、村上さんのSOTAとの出会いから楽しみ方までを紹介していただきましょう。

東日本大震災を経験し

JE7RMV 村上芳幸

SOTAとの出会い

東日本大震災を経験し、ハンディー機を購入し再開局したカムバックハムです。里山歩きや登山時には緊急連絡用としてハンディー機を持参していました。いざという時に使えないのでは困ると思い山頂から電波を出すようになりました。交信時にお相手いただいた方々から登山やアマチュア無線について、いろいろ情報をいただけるようになり、帰宅後にインターネットを徘徊し、たまたま辿り着いたのがSummits On The Air Japanのサイトです。

ルールを読むと面白そうでした。アクティベーターは山頂から4局と交信するとポイントが付き、時間のない山行を行っている私にぴったりです。山頂が他の登山者で混雑しているときは標高差25m以内で運用場所を移動できるなど、SOTAのルールが私の山行運用スタイルにマッチしていました。下山後はイギリスの英文のデータベースサイトにログを入力し、すぐ成果が出るのも楽しく感じました。山行のための無線から現在は無線交信をしに山に行くことが多くなりました。

装置設備

SOTAを楽しむにあたり、最初はVUのハンディー機で交信していました。もっと遠くへ電波を飛ばしたいとロッドアンテナ、モービルホイップ、ビームアンテナとどんどんアンテナが大きくなっていきました。また、HFなど他のバンド、他のモードに出たくなりポータブル機も入手し、こちらもロッドアンテナ、ワイヤーアンテナ、ビームアンテナとどんどん増えていっています。またトランシーバーの予備バッテリー、外付けバッテリーも入手し、目的の山に合わせ選択しています。

リュックに詰め込み担ぎ上げますので重量も軽い方がいいわけですが、どうも欲張ってしまいます。山から50MHzに出ようとHB9CVとマストも担ぎ上げましたが、登山者が多くアンテナを設営できずにそのまま下山したこともありました。144MHzでは長いモービルホイップを首から下げたボードに固定し、シグナルが強くなる位置を探り、体ごと動きまわっています。山頂を避けちょっと下った細い登山道でも可能な運用スタイルです。

厳選し持って行ったつもりですが、なぜか結局使わずにリュックの重石になる装備が多々あります。

そつなくこなすために

山行での山頂に留まれる時間は限られています。下山に向けての休息を兼ねてアマチュア無線をするのですが、あっという間に4局以上の方々と交信できることもあれば、なかなか交信できないこともあります。SOTA関連サイトに、いつ、どこから、どの周波数、どのモードで出ますよとお知らせするアラート機能と、今ここからこの周波数、このモードで出ていますよというスポット機能があります。スマホの電波が通じればスポットで情報発信し、電波を探っていただき易くするようにしています。それでもコンディション、タイミングによっては4局交信できないケースもあります。

いくらインターネットに情報を流しても実際に電波が届かなければ交信できません。VUの電話がメインでしたが、しだいにHFにも出るようになりました。下手なりにもCWにも出始めました。どんどん交信エリアが広がっていることを実感しています。

無線でCQ出しながら、スマホをいじって、ほかの登山者の方がいらっしゃったら挨拶して、質問されたら会話し…、なかなかそつなくこなせていません。

想定と準備が大事

SOTAは自然を相手にするアマチュア無線ですのでいろいろな状況を想定します。山行は一人で行くことが多いため、山岳保険と、ヒトココ(捜索救助用具)に加入し、地図やインターネットやガイドブックで下調べをして計画を立てます。前日には天気を確認し、登山時には登山届を提出します。

無線設備のほかに季節に応じた登山装備、けが対策、獣対策、虫対策、飲料、食料と持参するものも多くなります。そこまで準備し、山へ向かっても天気の急変による登山中止。登山道が通行止めで登れない、途中の川が思った以上に増水し安全に渡れないと判断するなど引き返すこともありました。

安全に帰ってくれば次につながりますので一つ経験を積んだと思うようにしています。

外HAMなので

現在、私は自宅にはアンテナを上げておりません。アマチュア無線は外出して行う趣味になっています。

春は雪解け水に行く手を阻まれ、夏は何十匹もの蚊に襲われ、秋は落ち葉で滑り、冬は氷点下で凍えていたりしますが、BGMが鶯だったり、ブナの原生林の木漏れ日の中での運用だったり、目の前が雄大な景色だったり、足跡一つない白銀の世界だったり、そんなところで運用しています。

今はアクティベーターとして楽しんでいますが数年後には、チェイサーとして室内から山頂移動の局をお呼びし、行ったことがある山でしたらあの登山道を登って今の季節だとあの花を見ながら今山頂にいるのだろうなどと想像しながら交信するのもいいかなと。その日のためにあちらこちらのSOTA山目指し山歩きを楽しんでいます。

いかがでしたでしょうか?場所によって信号強度が変わるVUでは、首から下げたボードにモービルアンテナを固定して運用するスタイルは素晴らしいアイデアですね。村上さんが言われている、「山行のための無線から現在は無線交信をしに山に行くことが多くなりました。」というところに山頂で無線運用することの楽しさが伝わるようです。同じことを感じている方もたくさんいると思います。皆さんもこんなにいろいろな楽しみ方のあるSOTAを始めてみませんか?

SOTA日本支部では常時メーリングリストの申し込みを受け付けております。私宛、コールサイン@jarl.comでも結構ですし、SOTA日本支部のホームページの問合せのページから連絡を頂いても結構です。それから今年も8月31日、9月1日に東京ビッグサイトで開催されるハムフェア2019にSOTA日本支部は参加いたします。スタンド番号J-21にぜひお立ち寄りください。

JH0CJH 川内 徹

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