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台湾のアマチュア無線事情

その2 台湾におけるアマチュア無線と関連した団体や機構

JI1GYO 王新華

遅咲きの台湾アマチュア無線

前回、その1で紹介した通り、台湾のアマチュア無線の歴史は1990年代初頭から始まりました。かなり遅れていると言われていましたが、短期間で急成長を遂げました。そのカリスマ的存在が、CTARLの創設者であり、アマチュア無線史において伝説となっている陳實忻氏(BV2A)でした。陳氏は、中国無線協会(CRA)を中華台北アマチュア無線連盟(Chinese Taipei Amateur Radio League, CTARL)に格上げし、アマチュア無線の中心的な団体としました。

CTARL-台湾アマチュア無線の功績と記録に残る主な活動
CTARLは、1991年に結成され、その時から正式に台湾のアマチュア無線の中心的な組織です。同年10月には、国際電気通信連合(International Telecommunication Union, ITU)の事務局を通じて、IARUへの加盟を申請し、アジア・太平洋地域の所属する第三地域に属することになりました。(第一地域はヨーロッパ・アフリカ・中近東、第二地域は北米・南米)

IARUは合計168の加盟国とともに、3年に1度の国際会議をはじめとする国際イベントに参加しています。また毎年6月から7月にかけてCTARLは日本、韓国と中国本土が開催する2日間のASIA VHF QSOパーティーに参加しています。これまで、CTARLは台湾で唯一の民間団体として世界的な組織に参加しています。


CTARL結成20周年記念式典の様子(画像はCTARL公式ホームページより)

さらに、CTARLが世界中のアマチュア無線家達を台湾の特別イベントに招待し、台湾周辺の島々にもスペシャルコールサインを発給しました。例えば、金門島にBO0K、馬祖にはBO0M、澎湖島にはBV9A、そして南シナ海にある東沙諸島(プラタス諸島)にはBQ9P。そして台湾の最高峰、玉山にはBW0Tを発給しました。(詳しくはhttp://www.ctarl.org.tw/bv5ya/english_old/introduce2.htmを参照)

CTARLが台湾の代表として、最近の10年間アマチュア無線で他国とつながるために行った主な活動を紹介します。

日本と
長年にわたり、CTARLが日本アマチュア無線連盟JARLとのつながりを持ち、JARLが開催する国際活動にも積極的に参加を行ってきました、国としてもハム同士としても友好関係を深めました。


CTARLはJARL創立90周年記念式典でお祝いの旗を贈りました
(画像はNCCニュース 中華民國105年5月号(May 2016)より)

アメリカと
アメリカの連邦政府通信委員会FCCがボランティア試験官コーディネーター制度(Volunteer Examiner Coordinator System, VECS)で、試験に合格した受験者にARRLから認定を受けアマチュア無線の運用免許を付与するための国際的な試験官となることを開始しました。ARRLのメンバーが今まで4度台湾を訪れ特別な資格試験を行いました。合計5名の合格者はボランティア試験官(VE)となり、2010年と2012年には免許試験を主催するグループも設立されました。

中国本土と
近年、中国本土では、情報、周波数帯、管理、新規オペレーターの育成など、さまざまな面で飛躍的に発展しています。規制や無線機も国際的な水準に達しています。運用ライセンスを担当する中国アマチュア無線クラブ(Chinese Radio Amateurs Club, CRAC)は、2016年のデータより2013年以降、すでに6万人以上のライセンス取得者がいると報告しています。2015年から、CRACは技術と規制に関する交流する為に台湾を訪問しました。両方が将来にアマチュア無線のイベントのために協力することで、相互の利益を得ることに成功しました。


CRAC 李清海氏(中央)とCTARL BV2FP(左)、BV2DQ(右)
(画像はNCCニュース 中華民國105年5月号(May 2016)より)

他国からの訪問者が台湾でアマチュア無線を運用するための申請については、ctarl.web@gmail.com までお問い合わせください。

台湾のアマチュア無線の発展にサポートしてきた機構

国家通信委員会-NCC
その1で簡単に紹介した国家通信委員会(NCC)ですが、元々政府の電気通信総局と放送事務局に属していた2つの機関を、台湾の国際通信及び放送の規制や監督する責任者を担う機関を設置する為に、2006年2月22日に統合され設立しました。NCCは台湾でアマチュア無線の発展を支援し、CTARLと政府の間に重要なつながりとなっています。

アマチュア無線緊急サービス-ARES(Amateur Radio Emergency Service)
アマチュア無線緊急サービス(ARES)は、80人超のボランティアで組織した団体です。大部分の会員はCTARLのトレーニングを受けたアマチュア無線家であり、台湾が災害の際にはARESが社会救援を行う重要な役割があります。この組織は2チームに分け、ひとつは全国の公衆衛生機関の通信基地局をサポートし、ひとつは災害の発生現場へ支援しに行くチームです。

会員のアマチュア無線家達は無線技術に興味があるので、機器を購入したり作ったりして、社会に貢献し災害時にアマチュア無線がいかに必要かを証明しています。災害の時、彼らは、自分たちの設備を使って、被災地の人々に通信手段を提供し、救援通信や行政、医療体制などをサポートしています。彼らの活動により、1999年9月21日の地震、2001年の桃園周辺での台風による災害、2009年8月8日に発生した巨大台風「モラコット」(台風8号)による「八八水災」など、過去に発生した大規模な災害を経験しました。これらの不幸な出来事の被害を軽減したのは、彼らボランティアの活躍によるものでした。


BV5YKは、1999年の地震の際、救助活動の緊急指令センターに発給された公式コールサイン
(写真は CTARL ホームページより)


活動の様子
(写真は CTARL ホームページより)


半旗により「八八水災」の被災者に哀悼の意を表す

ARESの会員達は、災害発生時に救助隊として参加するだけでなく、市民と政府の橋渡しをするために、祭りやスポーツなどの国民的イベントをボランティアでサポートしています。アマチュア無線は、自然災害時の統合的な通信バックアップシステムを構築する上で、重要かつ信頼できる通信システムとなっています。

中央放送局RTI (Radio Taiwan International) 
中央放送局は中華民国台湾の国家放送局です。中国本土の南京で1928年に創設された中央放送局は、四分の三世紀を歩んできました。現在、中央放送局は「Radio Taiwan International台湾国際放送」をコールサインとして14種類の言葉を使って国家を代表して全世界に向けて放送しています。20世紀と21世紀にまたがる、この長い歳月を、中央放送局は国際社会に向けて中華民国の声を伝える唯一のメディアとしてその役割を果たしています。台湾の民主政治の歩み、芸術と人文、社会の様子、文化と風俗、各種の建設など、台湾の声を世界各地に伝えています。全世界に向けて放送されている中央放送局の番組は、台湾各地に設置されているマイクロウェーブステーションを通じて国内各地にも送られています。中央放送局の電波は、台湾の中南部、中国本土、及び世界各地に及んでいます。

近年、中央放送局は、デジタル時代の到来に対応するため、インターネット放送とホームページの運営を強化しています。中華民国の国家放送局としての中央放送局は、1930年代以降のすべての重大な事件を報道してきました。11種類の言語を使用してその言語でのホームページを製作するのみならず、中国語、英語、日本語などのメールマガジンも発行して、インターネット利用者に最新の情報を伝えています。1998年から2004年まで、世界各地にいるリスナーからおよそ150万通あまりの手紙が寄せられました。これらの手紙はコンピューターで登録後、返信を経て、番組、ニュース、エンジニアなどの部門に、業務改善への参考として提供されています。リスナーの組織は放送局とリスナーの架け橋です。中国本土、日本、ドイツ、パキスタン、コロンビア、アルゼンチンなどでは、いずれも、現地のリスナーが自発的に組織した中央放送局のリスナーズクラブがあります。これらリスナーズクラブはいずれも、放送局と緊密な連絡を保っています。

* 上記内容はRTI公共関係企画部より提供。
詳細はRTI公式ホームページを参照。



RTIは台湾でアマチュア無線家がアマチュア無線に関する情報を発信し、関連する知識を広めることで、アマチュア無線の発展を間接的に支援するとともに、ネットワークを通じてアマチュア無線家同士が情報を交換するためのプラットフォームを提供しています。CTARLの秘書長高大為氏(BV2FP)が定期的にRTIの放送で、初心者からベテランまで様々なレベルのアマチュア無線家に技術関連情報や知識を広めています。

何を変えていくか?

台湾も例外ではなく、アマチュア無線の普及には障害があります。その主な原因の一つは、新しいコミュニケーション機器が世界中で急速に発展し、克服すべき課題があることです。次の記事では、将来のアマチュア無線世代を育て、無線の知識を広めるために、台湾ではどのような取り組みを行っているかについて詳しく説明します。

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【参考文献】
(1) NCC ニュース 中華民國105年5月号
(2) CTARL official website
(3) 中央放送局 RTI(Radio Taiwan International)

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次号は 12月 1日(木) に公開予定

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