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Short Break

FB NEWS的クリスマスイルミネーションの製作

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JR天王寺駅(大阪市)のクリスマスツリー

12月といえばクリスマス。遅ればせながら急いでクリスマスイルミネーションを製作しましたのでご紹介します。

市販されているクリスマスイルミネーションは、LEDの点滅が実に変化に富んでおり、なかなかよくできています。それと同じような例えば点滅のスピードが変化したり、点灯のフェードイン・フェードアウトもできたりで、これをディスクリート部品だけで実現するには大変な作業となります。実はそのLEDを制御するICが100均で販売されている商品の中に使われていることを思い付き、急きょ簡単なクリスマスイルミネーションを製作することにしました。ハイテックな記事でもありませんが、LEDの順方向電圧(VF)も少し説明しながら製作を進めていきます。

クリスマスイルミネーションに必要なキーパーツ

製作に必要な主なパーツを下に写真と共に示します。
(1)自転車用リアライト(図1 左)
(2)リアライトを収納するプラスチック容器
(3)できるだけ小型のLED×10個程度(発光色については後述)
(4)約3mの細い配線用ビニール電線×2本
(5)透明のビニールチューブ(防滴対策用)(6)乾電池(この製作では単4乾電池×2本)


図1 (左)自転車用リアライト、(右)製作に必要な部品の数々

図1(左)に示したものがキーパーツを内蔵している100均グッズの自転車用リアライトです。最近の自転車のリアライトには、高輝度赤色LEDが数個入っています。商品によりますが電源は単3あるいは単4乾電池2個使いの3V仕様が多いようです。リアライトの後面部にはボタンスイッチがついており、そのボタンスイッチを押すごとにリアライトの点滅のパターンが変わります。今回使用したリアライトの点滅は3パターンですが、できるだけパターン数の多いものがお勧めです。点灯時、変化に富んだイルミネーションが楽しめます。

自転車用リアライトの中身

カバーを外したリアライトの中の写真を図2に示します。LEDとそれを制御するICは、基板に取り付けられており、ケースにネジ留めされています。ネジを外すと下の写真(中央)にあるように基板を取り外すことができます。図2右端下段の写真には、中央に黒い丸いものが見えます。これがLEDをコントロールするICです。樹脂で基盤に直接モールドされているのでどのようなICか分かりません。


図2 リアライトの内部

この基板を回路図で表すと図3のようになります。3Vの電池で5個のLEDを点灯させています。点灯時、直接LEDを見ると眩しいくらいに輝きます。興味本位で各LEDにはどれくらいの電流が流れているかを測定してみたところ、1個あたり10mA強も流れていました。電子工作等で取り付ける電源ON/OFFのインジケータでは、10mAも流せば明るすぎることを思えばリアライトには思った以上に電流を流して発光させていることが分かります。このリアライトにはLEDは5個並列に取り付けられていますので全電流は約60mAと計算できます。自転車のリアライトは夜間の安全走行が役目ですので、これくらいの電流を流して明るく点灯させる必要があるのだと思います。


図3 内部基板の回路図

改造前の測定

改造の前に図3の基板で各LEDのアノード・カソード間の電圧を図4のようにマルチメータで測定します。この電圧をダイオードの順方向電圧(VF)といいます。このリアライトには赤色のLEDが取り付けられており、VFを測定すると1.9Vでした。


図4 リアライトに取り付けられている赤色LEDのVFを測定

次にLEDを全部外した状態(図5)で図6のようにICの出力の電圧を測定したところ3.00Vでした。


図5 基板からLEDを全部取り外す


図6 LEDを全部外した状態で出力端子の電圧を測定

リアライトの改造

クリスマスイルミネーションは、まずは基板のLEDを全部取り外し、その出力端子に電線をハンダ付けし、図7のように並列にLEDを何個か取り付けるものとします。色とりどりのLEDが点滅すると夜の明かりの中できれいだと思い、図7(a)のように青、赤、緑、黄、白、橙の手持ちの6種類、合計20個のLEDを取り付けました。その結果、青と白は点灯しませんでした。その他の色は全部点灯しました。図(b)のように赤色だけを取り付けると20個ぐらい並列に接続してもそれぞれ全部点灯しました。同様に青色、白色も単色の接続とすると全部点灯しました(c)。(a)のようにミックス接続すると何れの場合も青と白は点灯しませんでした。その結果、接続は(d)のように青と白を除く4種類のLED接続としました。


図7 LEDの取り付けと点灯の関係を調べる

クリスマスイルミネーションの製作

LEDの取り付け間隔は自由ですが、ここでは約20cmごとに1個取り付けました。各々の電線のハンダ付けがショートしないように熱収縮チューブを挿入しています。長さは約3mとしました(図8)。


図8 電線にLEDの取り付け

図9のように基板に電線をハンダ付けし、LEDを取付けた後はもとのリアライトのようにケースを被せます。


図9 組み立ての手順

その際、電線がケースに挟み込まれるため、ケースをやすりで削るなどの細工が必要です。最後にリアライトを防滴仕様のプラスチックケースに入れ、LEDと電線を透明のビニールチューブに挿入して完成です。

図10が完成したクリスマスイルミネーションです。LEDは19個取り付けました。全LEDが点灯した状態で総電流は約30mAです。LED 1個当たりの電流は微小でも夕方になり日が沈むとくっきり点滅、点灯が見えます。


図10 ビニールチューブに入れたクリスマスイルミネーション

イルミネーションの検証

図7(a)~(d)の接続で赤-黒の電線間の電圧を測定した結果が図11です。表中で1.9Vとか2.8Vと示した電圧は、図12で示すダイオードの順方向電圧(VF)の値を示しています。電子回路のスイッチングでよく使われるシリコンダイオードのVFは約0.7Vです。ゲルマニウムラジオでおなじみの1N60のVFは、0.1Vぐらいとたいへん低いです。つまり、シリコンのスイッチングダイオードをオンさせようとすると0.7V以上の電圧が必要になり、ダイオードがオンになると必ずアノード・カソード間の電圧は0.7Vになります。

ゲルマニウムラジオの検波にショットキーバリアダイオードやゲルマニウムダイオードが使われるのはVFが低いからで、微小信号でも通過させるためです。ところが今回テストした青色や白色のダイオードのVFは2.8Vと高く、方や1.9Vでオンになる赤色LEDと、オンになるには2.8Vも必要となる青色LEDの混合では、赤色LEDがオンになるとVFは1.9Vになってしまうため、2.8Vも必要な青色LEDはオンになるためのVFが不足しているため発光しないのです。


図11 赤-黒 電線間の電圧


図12 ダイオードのVF

サマリ

自転車のリアライトに取り付けられているICを使ってクリスマスイルミネーションのLEDをドライブするところまでは、アイデアとしてはまずまずでした。その後100均店内をぶらぶらしていると図13に示すようなクリスマスイルミネーション(商品名はデコレーションライト)を見つけましたことを最後に追記しておきます。


図13 300円で販売されているスグレモノのクリスマスイルミネーション

CL

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