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アパマンハムのムセンと車

第45回 モービル&アパマン運用に役立つヒント

JF1KKT 横田勝彦

2026年6月15日掲載

旧スプリアス問題がクルマにも?! 古いETCはいつまで使えるの?

ここ数年、アマチュア無線業界では「旧スプリアス規格の無線機はいつまで使えるのか」「JARDの保証認定はどうなるのか」といった話題で持ちきりでしたよね。実は皆さんの愛車に搭載されている「ETC車載器」も、全く同じ「電波法(スプリアス規制)」の波、そして車の専門家界隈で話題になっている「システムセキュリティ」という2つの大きな波に飲まれているのをご存知でしょうか。

なぜ一部の古いETCが使えなくなるのか。無線家目線と自動車専門家目線の双方から、その背景を紐解いてみましょう。

●第1の壁: アマチュア無線家はお馴染み「スプリアス規格の変更」
皆さんにとって「スプリアス(不要放射)」という言葉は説明不要かと思います。ETC車載器も、料金所のゲートと5.8GHz帯で通信を行う立派な「無線設備」です。

2005年(平成17年)の電波法関連法令の改正により、無線機器から発射されるスプリアスの許容値が厳しくなりました(新スプリアス規格)。これに伴い、2007年以前に旧スプリアス規格で技術基準適合証明(技適)を受けた初期のETC車載器は、本来であれば2022年12月1日以降、使用すると「不法無線局」となってしまう予定でした。これがいわゆるETCの「2022年問題」です。

しかし、ここでもアマチュア無線と同じドラマが起きています。新型コロナウイルスの影響や半導体不足などを考慮し、総務省は「令和3年総務省令第75号」を公布。新スプリアス規格への移行期限を「2022年11月30日」から「当分の間」へと延期しました。現在も猶予期間(激変緩和措置)が続いているため、旧スプリアス規格のETCでも当面は問題なく使用することができます。しかし、いずれ完全移行の時期が来れば、使用上は問題なくても、法的に使えなくなる運命にあります。

●第2の壁: 車の専門家が危惧する「2030年問題(セキュリティ規格)」
「じゃあ、自分のETCは2008年製で新スプリアス規格だから一生使えるな」と思った方、少しお待ちください。実は自動車業界では、電波法以上に厄介な「2030年問題」が懸念されています。それが、国土交通省と高速道路会社が主導するセキュリティ規格の変更です。

ETCは、クレジットカード決済と同等の重要な個人情報・決済情報を無線通信でやり取りしています。そのため、通信内容は厳重に暗号化されています。しかし、昨今のコンピュータの演算処理能力の飛躍的な向上により、現在の暗号化方式(旧セキュリティ規格)がいずれ解読(ハッキング)されてしまうリスクが高まってきました。サイバーセキュリティの世界では「暗号の危殆化(きたいか)」と呼ばれる現象です。

これに対処するため、より強固な暗号化アルゴリズムを採用した「新セキュリティ規格」への移行が進められています。システムの運用ルール上、遅くとも2030年頃までには旧セキュリティ規格の車載器は決済システムから弾かれ、ゲートが開かなくなります(※もし重大なハッキング被害等のセキュリティ問題が2030年より前に発生した場合は、2030年を待たずに突如使えなくなる可能性もアナウンスされています)。

つまり、電波法(総務省)の壁を越えても、システム運用(国交省)の壁によって、古いETCは完全に使えなくなってしまうのです。

●あなたの愛車のETCは大丈夫? 見分け方
ご自身の愛車に付いているETCが、将来の「新セキュリティ規格」に対応しているかどうかは、以下の方法で確認できます。

1.セットアップの控えや本体のラベルで車載器管理番号(19桁)を確認する

・最初の数字が「1」 → 新セキュリティ対応(今後も安心)

・最初の数字が「0」 → 旧セキュリティ対応(2030年頃に使えなくなる)

2.本体のマークで確認する

  • ・通常のETC: 本体やアンテナに「●●●」のマークがあれば新セキュリティ対応です。
  • ・ETC2.0: 新しいイメージがありますが、初期のETC2.0には旧規格が混ざっています。「ETC2.0」ロゴの近くに「■」マークがあるもの、または「DSRC ETC」という旧名称のロゴのものは旧セキュリティ対応となり、将来使えなくなります。

愛車の無線設備を点検するついでに、一度ETC車載器のマークや管理番号もチェックしてみてはいかがでしょうか。万が一、旧規格のETCであっても、今すぐに使えなくなる訳ではありません。ご自身の乗り換えのタイミングがいつになるのか、それによって交換を検討すればいいと思います。

なお、くれぐれも申し上げておきますが、車両のナンバーが変わった、車検証上の使用者が変わった、他のクルマからETCを外してきて付け替えた、等といった場合には、再セットアップが必要です。再セットアップをしないと、本当は使ってはいけないだけじゃなく、マイレージによる割引を受けられない可能性があります。せっかくの割引が受けられないのはもったいないので、必ず再セットアップをしましょう。大きなカー用品店だけでなく、陸運局の中にも再セットアップしてくれる業者さんがいます。ご参考までに。


ETCの新旧の見分け方(ドラぷら(NEXCO東日本)Webサイトより)

なおご意見、ご感想、ご質問等については、筆者である私宛(jf1kktアットマークgmail.com)へご連絡頂けますと幸いです。

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