特別寄稿
2026年5月1日掲載
VUSHFトランシーバIC-905は2023年夏から出荷が始まりましたが、ちょうどその夏のハムフェアでアイコムブースにおいて24GHzトランスバータ(以下TRV)が参考展示されていましたのでマイクロ波の仲間達の中では話題となっていました。本稿はアイコム株式会社からフィールドテスト用として24GHz TRVを2台お借りしたレポートです。
またJAMSATシンポジウム2026のアイコムブースで展示紹介された、24GHzのリフレクトアレーアンテナについても併せてフィールドテストを行いました。なお、IC-905+24GHz TRVは2月にJARDの基本保証を経由して無線局変更申請を行い、約2週間で許可が下りています。
JA7JJN/1(埼玉県比企郡ときがわ町 堂平山)
JM1UWB(埼玉県さいたま市内 常置場所)
・ICOM 試作24GHz TRV
IC-905のRFユニット(144MHz-5.6GHz)の5.6GHzをIFとした24GHz TRV
送信電力: 0.5W
終段管: MAAP-011146×1(24GHz)
・平面アンテナ
24GHzアンテナ: 20㎝角 256素子平面アンテナ
利得: 27dBi
JA1OGZ/1(埼玉県比企郡ときがわ町 堂平山)
・自作24GHz 1W TRV, IF: 434MHz (IC-705)
・ICOM 試作24GHzリフレクトアレーアンテナ
反射素子面積: 227×195mm
最大利得: 29dBi
アレー素子数: 67×47
反射板の可動域は±45度、最大180度までの範囲にアンテナを向けることが可能
JH1PEF/1(埼玉県比企郡ときがわ町 堂平山)
・Wavelab 24GHz 1W TRV, IF: 1288MHz (IC-905)
・45cmオフセット
●JM1UWB工藤氏は自宅タワーに設置
HF八木(高さ25m)のブームに24GHz TRVと平面アンテナを設置。HFや他のアンテナ群に比べて非常に小さく、写真-1ではどこにあるか探す必要があります。

写真-1 HF 4エレメント八木のブームに平面アンテナが見える

写真-2 HF八木のブームに取り付けられた平面アンテナと24GHz TRV

写真-3 24GHz TRVは平面アンテナまで最短のセミリジットケーブルで接続されている
●JA7JJN柳澤氏は三脚に設置
移動運用のため、三脚にIC-905のコントローラおよびRFユニットと24GHz TRVがひとまとめになるように、アルミ板とL型アングルを使って設置しました(写真-4)。このようにすると移動先での設置も簡単になります。注意点としては、アンテナを相手局に向けた時に三脚のバランスが崩れないように組み上げる必要があります。

写真-4 IC-905コントローラおよびRFユニットと24GHz TRVをまとめて三脚に搭載

写真-5 JA7JJN柳澤氏の運用風景
3月29日にフィールドテストを行いました。今回のフィールドテストのメインは2台のIC-905用の24GHz TRVです。埼玉県比企郡ときがわ町堂平山(標高876m)移動のJA7JJN/1局からさいたま市内のJM1UWB局とは約41km離れています。そして埼玉県狭山市JA1QHQ局とは約24㎞。千葉県君津市船塚神社公園移動のJH1AOY/1局とは約108km離れています。当日の天候は快晴であったが南風が数mほどあり、さらに時折突風がありアンテナ回されそうでした。なお、周波数は24GHzのメイン周波数24.02GHzから100kHz下にて運用しました。SHFでは運用する周波数を直読して表現することは殆どなく、「メインより、〇△kHz下」という言い方が慣例になっています。IC-905では周波数を直読できますが、多くの局は親機に1.2GHz、430MHz、144MHzのトランシーバを使っており周波数の直読はできないため、メイン周波数を中心に、下に〇△kHzというようにSHF固有の言い方になります。もし、画面-1で読み取れるように24019.900.694Hzと言われても覚えられずかえって混乱することになります。
●JM1UWB(さいたま市内)⇔JA7JJN/1,JH1PEF/1,JA1OGZ/1(堂平山) 41.6km
最初に行ったのは、双方共IC-905と24GHz TRV試作機を使ったJA7JJN/1局とJM1UWB局との交信です。FMでは双方共に全く同じ59と充分過ぎる信号強度でした。画面-1はJA7JJN/1での受信画面。画面-2はJM1UWBでの受信画面。画面-3はJM1UWBでの受信画面(D-STAR)です。FM-ATVは残念ながら送受信できるレベルではなかったです。経験的には、FMでの信号強度がS9+20dB程度以上に上がらないと難しいようです。
続いて当局JA1OGZ/1とJH1PEF/1局もそれぞれの自作機でJM1UWB局と交信です。当局はFM、D-STARにて問題なく交信できましたが、JH1PEF/1局の24GHz TRVの周波数変換は逆ヘテロダイン(ローカルオシレータが送受信周波数よりも高い周波数を使用)のためなのか、FM-ATVは垂直及び水平同期が合わず画像にはなりませんでした(画面-4の左下)。また、D-STARはGMSK方式であり、残念ながら逆ヘテロダインでは音になりませんでした。

画面-1 JM1UWB送信の受信画面(FM) @JA7JJN/1受信 丁度59

画面-2 JA7JJN/1送信の受信画面(FM) @JM1UWB受信 丁度59

画面-3 JA7JJN/1送信の受信画面(D-STAR) @JM1UWB受信

画面-4 JH1PEF/1送信のFM-ATV受信画面(左下) @JM1UWB受信 同期が合わず
●JA1QHQ(埼玉県狭山市)⇔堂平山組 24.3km
JA1QHQ狭山市は、信号が強すぎてATTを入れて減衰させたてみたが、堂平山側3局の信号強度の比較はできないほど強力であったとのことでした。
●JH1AOY/1(千葉県君津市船塚神社公園)⇔堂平山組 108.2km
JH1AOY/1は、親機IC-9700にWavelab改造の24GHz TRV(0.5W)に60cmのカセグレンアンテナ(約40dBi)を使用。堂平山側の3局からの信号も大変強力であったとのことでした(写真-6、写真-7)。

写真-6 JH1AOY/1 君津市船塚神社公園 60cmカセグレンアンテナ

写真-7 24GHz TRVの親機IC-9700のS表示は9+40dB以上と強力

画面-5 JH1AOY/1送信の受信画面(FM) @JA7JJN/1
画面-5のJH1AOY/1局は堂平山から108.2㎞離れており、JM1UWB局から堂平山の41.6kmの距離の2倍以上ありますが、表示上12dB程強力に受信できていました。両局から堂平山の受信点に到達する電力は送信局の送信電力と送信アンテナの利得に自由空間電波伝搬損失を引くと以下のようになります(水蒸気、酸素などの大気吸収は加味しない)。
JM1UWB~堂平山
送信出力0.5W(27dBm)+ANT利得(27dBi)-41.6km(152.4dB)= -98.4dBm
JH1AOY/1~堂平山
送信出力0.5W(27dBm)+ANT利得(40dBi)-108.2km(160.7dB)= -93.7dBm ・・・ 4.7dB強力
上記計算から、JH1AOY/1局の方が距離は長いがANT利得が大きいので+4.7dBほど強力になるはずですが、実際にはIC-905のSメータ表示は+12dB程度強力になっていました。君津市とは海越えがあり空気中の水蒸気による損失も加味されるので本来は更に弱くなるはずですが、QSBもほとんどない良好なコンディションでした。結果は画面-5のようにJH1AOY/1局のほうが画面-1と比べて12dBほど強力でした(本来は、同じ信号強度になるように外部にATTを取り付けて、ATTの減衰比で評価するべきです)。
次ページは「ICOM試作24GHzリフレクトアレーアンテナの構造」から
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