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第十六回 サイン、コサインは役に立つ


Dr. FB

令和2年12月期、1アマ、2アマの国家試験の申請書受付は10月1日~20日までです。これから受験しようとされている方はお忘れにならないように。

さて、上級アマチュア無線の受験を経験された方、あるいは今受験勉強中で頑張っておられる方、過去問に下のような問題が出題されています。正弦波交流波形が与えられ、正の半周期の平均、つまり平均値Vaを求めよという問題です。


図1 出典: 日本無線協会HZ008-2 A-5(平成30年8月期A-5)

答えから始めますと、平均値Vaは30Vです。平均値を求める公式は式(1)に記しました。ここで最大値Vmは47Vと題意で与えられていますので、公式に数値を代入すると、平均値は30Vと簡単に算出できます。なお、このA-5の問題の実効値Veと周波数fの解答は末尾に記します。解答にトライしてみてください。


読者の方々、あるいはこれから上級ハムを目指して受験される方々は、平均値Vaは最大値Vmの2/π(≒0.64)と覚えています。「まずは合格にあり」といわれる方々には今回の記事は興味がないかもしれませんが、合格の暁には読み直していただければ幸いです。それではどこから2/πが出てくるのか、今回はその謎の2/πを算出してみます。

平均値とは何か

まずは、簡単な復習から始めます。我々の家庭に供給される電力をオシロスコープで観測すると図2のような正弦波交流の波形を見ることができます。オシロスコープで観測できるのは正弦波交流の時間、時間における電圧値と1周期にかかる時間だけです。

試験問題に出題される平均値や実効値がオシロスコープの画面で読めるわけではありません。家庭に供給されているコンセントの電圧も100Vといっていますが、厳密にはオシロスコープの波形を見ると分かるように時間によってその電圧値は異なります。瞬間、瞬間の値、つまり瞬時値は異なりますが、平均はどのくらいかといった電圧はあるはずです。


家のコンセントの電圧の100Vとは何か

さて、家のコンセントの電圧をアナログテスターで測定するとメーターの指示値は100Vです。この値は、実効値です。直流100Vで発生する電力と同じ電力を発生する交流の電圧を実効値100Vといいます。消費電力を計算したり、回路に流れる電流を計算したりする場合に必要な電圧値です。オシロスコープではこの実効値は示されませんが。実効値=最大値÷√2で算出できます。逆に実効値が100Vとすると最大値=実効値×√2=141Vとなります。

家のコンセントの電圧をアナログテスターで測定すると100Vを示しましたが、実はアナログテスターで示される電圧は上がったり下がったりする電圧の平均値なのです。前述しましたが、交流の働きを計算する場合の電圧値は実効値ですから、アナログテスターで表示された平均値の値を約1.1倍して目盛り、それを実効値として使用しています。

平均値を求める

平均値とは、上がったり、下がったりする電圧の平均であると述べました。平均する範囲が図3の0~2πまでとするとS1とS2の平均は「正」の電圧と同じ「負」の電圧を平均するのでゼロとなってしまいます。そこで負の値S2をそのままひっくり返して正の値にします。正負の符号が異なるだけで相似形なので問題はありません。つまりS2の絶対値を取り、S1+|S2|の面積の0~2πまでの平均を取れば平均値を求められます。



図4 S1+|S2|

図5の正弦波交流の0~2πまでの絶対値の波形を見ると、スタートは0で、その後は徐々に増加し、π/2のポイントで最大となります。その後はπのポイントで再び0となり、これを繰り返します。それではこの増減の平均はどの辺りかとめぼしを付けるとおよそ、図5の破線のあたりぐらいかと推測できます。


図5 平均値

平均値の求め方

まずS1とS2の合算した面積Sを求めます。これは前述したように1周期分です。面積は縦×横で求められます。つまり求めた面積を底辺(横)の長さで割ると縦の長さとなり、これが平均値VAVとなります。(図6)

ここで図6の波形を見ると分かりますようにS1とS2は同じ波形です。それなら、S1とS2の合計の面積を求めて0~2πで割らなくても、どちらか一つの面積で計算すれば答えは同じことになります。ここではS1の面積を求め、それを底辺の長さで割り算を行い、高さつまり平均値を求めます。


図6 平均値の求め方のシミュレーション

曲線の面積の求め方

さてここでS1の面積を求めますが、一辺が曲線ですので縦×横では単純に面積を求めることはできません。ここは少し難しいですが積分の考え方を用いることにします。(ωt=x)

冒頭の図1は、正弦波交流の波形であると述べました。正弦波は英語でいうとsine waveとなりまさしくy=sin xの波形そのものです。そのy=sin xの波形の0~2πの区間の面積を求める式が下の式(2)です。


今回求めるのはS1の面積ですから、波形の区間は0~πまでです。その区間の面積を定積分で求める式は下の通りです。


式(5)の解は、y=cos xのグラフを描くと分かりやすいかもしれません。図7は、そのy=cos xのグラフです。時間t=π(rad)の時が最小で-1です。時間ωt=0の時はグラフから見ても分かるように最大で+1です。


図7 y=cos xのグラフ

面積S1=2と求めることができました。面積S1が分かれば、その面積を横の長さ、図6では底辺の長さで割れば、高さつまり平均値VAVが求まります。この考え方に沿ってもう少し前に進めます。

最後に2/πを算出します

図6のS1の面積が2と算出しました。底辺が同じ長さの四角形を同じ図6に描いています。S1の底辺と四角形の底辺の長さは同じです。つまり面積は縦×横ですから、次の式(7)が成り立ちます。(高さ=VAV、S1=2)


冒頭の平成30年8月期A-5の解答


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