2016年4月号

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JH4MGU 太田篤さん

鳥取県鳥取市からオールバンドにアクティブな太田さん。中学2年生の時、クラスの友人と養成課程講習会に通って電話級のライセンスを取得した。開局は1975年8月、中学3年生の時だった。50MHzのポータブルトランシーバーRJX-601を入手し、アンテナは5/8λのGP(グランドプレーン)を建て、50MHz AMからスタートした。

開局後のある日、ワッチしていた50MHzで、普段は聞こえない8エリアが突然入感し、4局と交信できた。これが太田さんにとっての始めてのEスポ体験となり、アマチュア無線にのめりこむきっかけとなった。また、翌年には別の50MHzポータブルトランシーバーTR-1300を入手し、アンテナも6エレ八木にグレードアップした。ただしローテーターがなかったので手回しで対応していたが、ある日、たまたま入感したフィリピンのDU1GFをコールしたところ応答があった。わずか1.5W出力のSSBでフィリピンまで飛んだことに感動し、ますますアマチュア無線のとりこになった。

太田さんは、開局からしばらくの間はVUHF帯をメインに運用し、HF帯にはほとんど出ていなかった。50、144、430MHzのJCC/JCGハンティングに熱中し、異常伝播の少ない144MHz、430MHzでは、遠距離の局と交信するため、幾度と無く移動運用に出かけてはポイントを伸ばしていった。どんどん熱が入ってくると、家では144MHzは18エレ×2、430MHzは33エレ×2を使用し、また移動では移動地に着くとすぐ(約10分)に展開できるようにアンテナシステムを工夫した。

1987年に自宅裏にシャックを建てたことで、家族に気兼ねなく、いつでも無線ができるようになった。当初は電話オンリーで楽しんできたが、50MHz DXCCを追いかけているうちに、電信しか出てこないDX局が少なくないことが解り、電話だけではDXCCのスコアが伸びないことを実感した。そのため1987年に電信級を1988年には2アマを取得してCWにもオンエアするようになった。ただし、CWに出る目的が50MHz DXCCのため、その頃はもっぱら珍局をコールするだけで、自分からCWでCQを出すことは無かったという。

その後、1995~2000年頃は仕事の都合で土日もほとんど無線に時間を割くことができず、一時的にアクティビティが下がったが、それでも完全にQRTしてしまうことは無かった。2000年頃になると、太田さんはAJA(All Japan Award)に興味を持った。AJAのポイントを増やすにはオールバンドにオンエアする必要があり、必然的にHFのアクティビティがあがっていった。CWも積極的に運用するようになった。2007年頃すでに太田さんはVUHF帯のAJAポイントはかなり獲得していたため、どちらかというと、HFとサテライトがメインの運用スタイルとなった。その後、順次運用バンドを拡充し、135kHzから47GHzまで(475kHzを除く)とサテライトの20バンドにオンエアした結果、2015年にはAJAのポイントが30,000に達し、ランキング1位(2016年3月現在)にリストアップされている。


AJAの台紙は3枚目になっている

また、AJAを追いかけるのと同時に、VUHF帯でのWACA、WAGAの獲得もめざし、2015年には144MHz WACA、および430MHz WACAを続けて取得した。特に記憶に残っているのは、144MHzのEスポでCWで交信した沖縄県八重山郡と、430MHzのダクトでSSBで交信した沖縄県宮古島市を挙げる。その他、太田さんはサテライト特記のWACA、WAGA獲得にも精を出し、移動情報があれば真夜中にも起きだしてオンエアするなど、全力を尽くしてWACAは特記順位1番、WAGAは特記順位が付かないが1番初めに受賞した。


144MHz特記のWACA盾と、430MHz特記のWACA盾

「このようなアワードが取得できたのは、移動してくれる局がいらっしゃるからこそで、皆さんには大変感謝しています。難関アワードの達成には、やはり人と人とのネットワークが一番重要だと感じてします」と話す。太田さんは、自らも移動運用を行い、他局へのサービスのため、鳥取県、島根県東部、岡山県北部、兵庫県北部を中心に回っている。さらに、太田さんは、毎年11月に鳥取で「蟹を喰う会」を主催し、移動好きな局やサテライトに出てくる局に集まってもらって、情報交換を行っている。この会は2015年で8回を数えた。こうしたアイボールQSOは、コミュニケーションを深めるのに絶好の機会だと捉えている。


2012年に行った「蟹を喰う会」集合写真

現在、太田さんが一番力を入れているのは、CQ誌が開催している「CQ ham radio 創刊70周年記念アワード」である。このアワードの国内特別賞である「市郡区1000」を狙って、本年1月1日から全力で取り組んでいる。2月中旬にはまずMiXモードで市郡区1000を完成、3月下旬にはCW特記でも市郡区1000を完成、現在、SSB特記と、RTTY特記の市郡区1000を狙っている。


現在の太田さんのアンテナ群

太田さんの夢は、リタイア後、山の上などに別宅シャックを作ることだ。「そこはいつでも仲間が集まれるようにして、みんなでワイワイと楽しくやりたい。もちろんコンテストやDXを楽しむだけでなく、リモートで自宅からも運用できるようにしてみたい」、と太田さんは笑顔で話す。

このコーナーでは、アマチュア無線の様々な楽しみ方に挑戦するハム(アマチュア無線家)を紹介します。
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