Monthly FB NEWS 月刊FBニュース 月刊FBニュースはアマチュア無線の電子WEBマガジン。ベテランから入門まで、楽しく役立つ情報が満載です。

Japan Castles On The Air (JACOTA)

JACOTA運用のための準備と計画

JO3SLK Greg Cook (翻訳 JP3DOI 正木潤一)

こちらの記事を印刷する(PDF 形式)

新型コロナウイルスに伴う非常事態宣言の影響で、今月号のJACOTAはいつもと趣向を変えてみました。今回は、私がJACOTAの運用場所として使うお城を選ぶ際に使っているサイトや、当日の天気をチェックするサイト、そして使用しているアンテナなどの機材をご紹介します。

運用場所としてのお城の探しかた

『Jcastle』

私は運用するお城を選ぶのに『Jcastle』というサイトを使っています。とても便利なサイトなので、お城での無線運用を考えている人だけでなく、日本のお城について知りたい人も要チェックです。http://jcastle.info/view/Home


Jcastleより引用

900城近いお城の情報を検索できます。


検索トップページ


様々な検索条件を指定して、該当するお城を探すことができます。

検索条件の例:
Castle type= "平野部"
Designation= "国立施設"
Historical period= "江戸時代初期"

それぞれの県に存在するお城を検索することもできます。検索結果はお城の所在地を示した地図と共にお城の状態(種類)と共に示されます。

“Original Main Keep”= 天守閣が現存
“Reconstructed Main Keep”= 復元された天守閣あり
“No main keep but other buildings”= 天守閣は無いが関連建築物あり
“Ruins Only”= 跡地のみ


兵庫県にあるお城を種類別に表示した地図

私が最初にJACOTA運用を行った園部城のページはこんな感じです。


園部城は私の家からそんなに遠くない所にあるのですが、それでも『Jcastle』が無ければその存在すら知らなかったことでしょう。ましてや、紅葉の綺麗な時期に訪れて運用を楽しむこともなかったはずです。園部城での運用記事については1月号をご覧ください。これからも、JACOTA運用のお城を選ぶのに『Jcastle』を利用します。

天気のチェック

tenki.jp

当日お城を訪れるときの天気をあらかじめ知ることは、現地で楽しく快適に運用出来るかどうかに影響します。日本気象会の『tenki.jp』は、日本のあらゆる地域の天気をチェックできるサイトです。地図をズームさせることで広い範囲から狭い地域の数日先の天気をチェックできます。とにかく、ここでは紹介しきれないほどの機能がありますので、アクセスしてみてご自分の地域の情報を見てみてください。
https://tenki.jp/


tenki.jpより引用

アンテナ設備

お城での運用に使えるアンテナの選択肢は沢山あります。水平ダイポール、垂直ダイポール、ループ、モービルホイップ、簡単なロングワイヤーアンテナなどを設置して運用できます。どんなアンテナを使うにしても、設置や組み立て方法、性能や効率を最大限に引き出す方法は実際に現地に足を運ぶ前に準備しておきましょう。

マグネチックループアンテナ

私の場合は、お城の下見の際には、ループアンテナの一種のMagnetic Loop Antenna (MLA)を持って行きます。このループアンテナなら、コンパクトにするとバックパックにも収納でき、現地で運用に適した場所を探ったり、周辺のノイズの有無について調べたりすることもできます。


Buddipoleアンテナ

実際にJACOTAを運用する際には、私は主に米国製のBuddipoleというアンテナを組み立てて使います。ここで紹介するアンテナの写真は、過去のFBニュースの記事で使った短縮型の水平ダイポールです。


水平ダイポールアンテナとして運用している様子。Buddipole inc.ホームページより。

これが、私が主に使っているアンテナの基本運用セットです


アンテナ設備の選択

オプションのアクセサリを使って様々なタイプのアンテナを組むことができます。お城での運用のように、スペースの限られた場所の運用に向いているアンテナや、特に観光客の多い場所で運用するときにできるだけ目立たないアンテナもこのキットで組み立てが可能です。

私は40mバンドでの運用をメインにしています。オプションのアンテナステーと長いホイップエレメントを使ってエレメントを張りますが、垂直に立てれば水平ダイポールほど場所を取りません。

『Buddipole In The Field』は、NE1RD局スコット・アンダーソン氏(Scott Anderson)によって書かれたとても良いガイドブックで、Buddipoleアンテナについての解説書であるとともに、様々なタイプのアンテナの張りかたとそれに必要な部材、構造図とマッチング方法について書かれた“レシピ本”です。この本は、運用に出かける前にどのオプション部材を持って行くべきかを教えてくれる、なくてはならない存在です。この本はBuddipole®の公式サイトからPDFファイルでダウンロードできます。


『Buddipole In The Field』


40mバンド垂直アンテナの構成

アンテナアナライザー

移動運用される方は、ぜひとも性能の良いアンテナアナライザーを1台持って、その使い方をマスターしておいた方がよいでしょう。アンテナアナライザーの示す数値から、アンテナの最大のパフォーマンスを引き出すために、アンテナ構成や運用環境をどのようにすればよいかを知ることができます。様々なメーカーから良いアンテナアナライザーが発売されていて、最近ではNanoVNAが人気ですね。アンテナアナライザーについては、今後のFBニュースの記事もご期待ください。


私が使っているアンテナアナライザー。RigExpert製『AA-230Pro』

アンテナのチューニング

短縮コイルを使う場合は、コイル上の適切な位置にクリップでタップを取ってエレメントの電気長を調整します。給電点から伸びるコードの先のバナナプラグで短縮コイル上のタップに固定します。


バーチカルアンテナのローディングコイル部

ラジアル線と地面と距離も、アンテナの特性に大きな影響を与えます。アンテナを組み立てて短縮コイル上の適切な位置にタップクリップを取り付けたら、ラジアル線をVersaTee®ユニットに取り付け、適切な長さに伸ばします。そして、アンテナアナライザーでSWRを見ながら、ラジアル線の長さを(SWRが最も低くなるように)調整します。


Buddipole®社のサイトより

JACOTA用のアンテナ

私は、Buddipoleを移動運用のメインのアンテナとしています。その中でも10mバンドから2mバンドの2エレまたは3エレの八木アンテナは、比較的少ない部材で組むことができます。Buddipoleシステムで八木アンテナを組む方法も前述の本『Buddipole In The Field』に掲載されています。


2mバンドの3エレ八木アンテナの組立図と必要な部材の一覧

10mから2mバンド(特に6mと2mバンドは)2エレの八木アンテナはお城での運用に向いています。アンテナのエレメントはそれほど大きくないので敷地の隅に設置できるため観光客の邪魔をせずにQSOを楽しむことができます。


妙見山(大阪府豊能郡)での運用に使用した6mバンド2エレ八木アンテナ

機材の運搬手段

運用に行くお城の敷地が広大だったり、(階段の無い)急な坂の上にあったりする場合、車は駐車場に駐車し、そこから手押し車(カート)が荷物の運搬に役立ちます。傘や折り畳みテーブルや椅子(スツール)、大きなカメラバッグも一緒に持って行くことができます。


IC-705を収納したLC-192とカート

福知山城の運用では、このカートに移動運用に使う機材を全部積んで運びました。


写真に写っているものすべてがカートに積み込めます

とはいっても、お城での運用は移動運用ですから、持って行くものは小さなバッグに収まるくらいの最小限の荷物になるように努めましょう。


必要なものをすべて入れてもこのくらいのバッグに収まる。これならそれほど重くなく、お城に続く階段を持って登れます。

というように、お城に運用に出かける前にはお城の情報をJcastleなどでゲットしよう。天気についても目的のお城の地域だけでなく、行き帰りの地域と時間帯でも予報チェックしておくと万全です。運用に使うアンテナのタイプを決めて、それに必要な部材が揃っていることを確認します。無線機はもちろんのこと、アンテナやアナライザ、カメラなども忘れずに、必要なものすべてをバッグに詰め込んだら出かけましょう!

次のJACOTAは?

願わくは、緊急事態宣言が早期に解除されて、さらに天気も良さそうなら、以前訪れたお城の1つでの運用を考えています。2か所ではすでに許可を得ており、もう1か所も問題なく許可が下りると思います。ところで、読者の皆様はこの写真がどこのお城か分かりますか? 次号以降をお楽しみに。



Japan Castles On The Air (JACOTA) バックナンバー

2021年3月号トップへ戻る

次号は 12月 1日(木) に公開予定

サイトのご利用について

©2024 月刊FBニュース編集部 All Rights Reserved.