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海外運用の先駆者達 ~20世紀に海外でアマチュア無線を運用した日本人達~

その96 今回の記事は1994年のオセアニアの後半 1994年(7)
「あの人は今 (第21回)」JR1NHD田中真氏

JA3AER 荒川泰蔵

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今回の記事は1994年のオセアニアの後半

今回は1994年の7回目でオセアニアの後半で、CQゾーンの31と32の国々です。尚、今月の「あの人は今 (第21回)」は、JR1NHD田中真氏の紹介です。

1994年 (ハワイ AJ1A/KH6)

JH3OII中村千代賢氏は、ハワイで運用した時の様子をアンケートで送ってくれた。「2mハンディー機だけ持って行きましたが、AJ1A/KH6で各地のリピーターにアクセスし、約30局とQSOができました。ワイキキからは、146.88MHzのダイヤモンドヘッドのリピーターが文句なしにFull Quietingでアクセスでき、ホノルル市内では場所により147.27MHz等がFBです。短い滞在でしたが、現地のハムとアイボールQSOができ、ホノルルカウンティの民間防衛局を見学させて頂きました。また、HFとリンクできるリピーターもありました。(1994年8月記)」

1994年 (マーシャル諸島 V73BH)

JA3IG葭谷祐治氏は、V73BHでマーシャル諸島のマジュロで運用したとアンケートを寄せてくれた。「1994年4月、MAJURO一番の高級ホテル、ロバートライマーよりON AIRしましたが、このホテルの回りには高い木がなく、2階よりワイヤーアンテナを張れませんでした。このホテルはアンテナの件で向いておりません。しかし、40mから15mのCWとSSBで、約800局とQSOできました。次は10月頃ロイヤルガーデンホテルとかいうホテルでQRVする予定です(このホテルも木があるかどうかは分かりません)。次回リポートします。(1994年8月記)」

1994年 (ナウル C21/IG)

JA3IG葭谷祐治氏は、ナウルからC21/IGで運用したと、アンケートを寄せてくれた。「ナウルの唯一の国営メネンホテル(Menen Hotel)はRoomもFoodsもFBです。アンテナを張るヤシの木は沢山あります。NauruはVisaが必要です。Transit Visaで入国しましたので5日間滞在でしたが、7~28MHzのCWとSSBで、約2,000QSO出来ました。そのあとT30GIとV73BHを再び運用して来ました。(1994年11月記)」

1994年 (東キリバス T32WP, T32X)

JA1WPX下市忠雄氏は、東キリバスでのT32WPの運用を、CQ誌の編集部経由のアンケートで知らせてくれた(写真1及び2)。「オスカーで初めての運用を目標にして、ウインドウの開けていない時HFの運用を行う予定で計画を立てました。運用地は東キリバス(ライン諸島)の内のメインの島、クリスマス島です。ハワイより1週間に1往復BC-737による定期便があります。宿はキャプテン クック ホテルで 99%のビジターはこのホテルよりの運用です。日本のダイブクラブ等のインストラクターもおり、日本よりの予約も可能なようですが、無線だけをやるならアメリカの旅行社の3食付き6泊7日のパッケージツアーが便利です。主に釣り客向けのガイド付きパックですが、ダイバーや無線目的で釣りをやらない場合ノンフィッシャーマンパックがありこれを利用しました。ハワイの代理店の女性責任者のご主人がハムをやっているので、無線を運用すると言えばビーチに近いバンガローが借りられます。免許は約1カ月で入手できます。オーストラリアドルで$21ですが、書類不足の時等の連絡(FAX)費を含めてA$30を送りました。電信が出来ない場合はノビス級になると思います。ライセンス以外に規則集を送ってきます。Max. 400W PEPですが、1.8MHzは26.7W PEP, 50MHzは150W PEP出力です。私はゴールデンウイークを利用して9泊11日でした(ハワイで待機)が、フライトが遅れて1日無駄になったり、アンテナが一時行方不明なるなど、またHFのRIGが故障して現地のCBよりCWフィルター無しのリグを借りる等のトラブルがありましたが、正味250局以上にオスカーのニューカントリーをプレゼントできましたし、14, 10, 7 及び 3.8MHzのCWでもベアフットながら多くの局とQSOできました。しかし18~28MHzはコンディションが悪くて少数の局とのみのQSOに終わりました。(1994年9月記)」


写真1. T32WP下市忠雄氏のQSLカード表と裏。


写真2. T32WP下市忠雄氏の免許状。

JA4GXS佐々木研己氏は、東キリバスのクリスマス島から、1994年12月28日から翌1995年1月3日に掛けて、T32Xのコールサインで、1.9~28MHzのCWとSSBで、2,883QSOをしたと、QSLカードや沢山の写真を添えてアンケートを送ってくれた(写真3~5)。「T32Xの詳細は、月刊ファイブナイン誌1995年5月号に掲載されています。QSLカードは、SASE分は即発行しましたが、その他の分は8月にJARLへ発送を完了しました。(1995年12月記)」ということで、その月刊ファイブナイン誌1995年5月号を拝見しますと、4ページに亘り「クリスマス島DXヴァケーションの記録」と題した記事が掲載されていました。詳しい内容は省略しますが、山口宇部空港から出発し、羽田空港でJR5JAQ/T32J山尾さん、JA5EXW/T32A佐伯さんと合流して、リムジンバスで成田空港へ。そこからハワイ経由でクリスマス島へ渡り、The Captain Cook Hotelで運用されたとのことです。


写真3. T32X佐々木研己氏のQSLカード表と裏。


写真4. (左)経由地のホノルル空港にて、左からJR5JAQ/T32J山尾氏、T31BA, T31BB夫妻、JA4GXS/T32X佐々木氏、JA5EXW/T32A佐伯氏。(右)搭乗したAir Marshall IslandsのDC-8機。


写真5. (左)T32X佐々木氏が投稿した「ファイブナイン」誌1995年5月号の記事の一部。(右)キリバスの免許申請書様式。

1994年 (サモア 5W1AS)

JA3JM清水彰夫氏は、一連の南太平洋 Island Hoppingの終盤に西サモアでのアピアで運用したと、アンケートを寄せてくれた(写真6及び7)。「1994年1月に運用。ライセンスは5W1ASで1年間有効でした。申請手数料はWS$15(US$でも受け付けてくれるようです)です。申請書を早めに郵送しておけば事前に入手できます。ホテル(Le Godinet Beachfront Hotel)は、最初(1992年)にニウエに行く際、トランジットで寄ったときに頼み込んで、深夜の出発時刻まで数時間休憩させてもらったところです。ホテルの敷地はあまり広くなく、3.5MHzのインバーテッドVがやっとです。2階の手すりにアンテナポールを取り付け可能です。ロケーションとしては東側が道路を隔ててすぐに海ですが、北向きにもFBです。P.T.T.はポストオフィスの2階にあります。建物の右端に階段があります。ホテルから歩いて行ける距離です。ダウンタウンまでは空港から空港バスで40分ほど掛かります。サテライト通信はスリルのあるものでした。ヨーロッパ方面とあまりQSOができず残念でした。結果は、3.5~28MHzのCW, SSB, RTTYとAO-10/13で、737QSOでした。(1995年2月記)」CQ誌1994年3月号の他に、ラジオの製作1995年2月号に掲載されたとコピーを送ってくれた。


写真6. 5W1AS清水彰夫氏のQSLカードの表と裏。


写真7. 5W1AS清水彰夫氏が投稿した「ラジオの製作」誌1995年2月号の記事。

1994年 (ニューカレドニア FK/7K1WLE)

7K1WLE小林久人氏は、FK/7K1WLEの臨時免許を得て、グループでニューカレドニアのMaitre島で運用したとアンケートを寄せてくれた(写真8及び9)。「私の他に、FK/JM1WBB, FK/JN1BSH, FK/JO1SIT, FK/JP1IHTが、同時に運用しました。運用結果は全員で、160mから10mまでのCW, SSBで、合計2,573QSO(47カントリー)でした。私はその内、CWで890局、SSBで50局でした。5名中4名は、日本出国前にTemporary redioamateur licence (Notification)を入手していたが、他の1名は、Telecomで直接パスポート、従免、局免を提示し、約10分でTemporary Licenceを入手できました。Telecomの担当者の話では、英文証明は必要ないと言っていました。(1995年2月記)」


写真8. FK/7K1WLE小林久人氏宛て、ニューカレドニアのP.T.T.からの免許状に関する通知レター2通。


写真9. (左)FK/7K1WLE小林久人氏の臨時免許状。(右)FK/7K1WLE小林久人氏達が運用したロケーション。樹木の後方にアンテナが見える。

1994年 (トンガ A35XC)

JE1DXC三原正義氏は、A35XCの免許を得て、トンガで運用したとアンケートを寄せてくれた(写真10~12)。「運用日:1994年7月14日から26日。運用場所:トンガ・タップ島のグッド・サマリタン・ビーチ。申請書:JARL国際課にて入手可能、申請書の他に日本の免許の英文証明とパスポートの写しが必要。申請料:トンガ20ドル(1年分)、米ドルで代替可能。電源:240V(プラグはOタイプ)。トンガではCW 100W, SSB 200Wと出力制限(ピークパワー)がありますが、JAの数グループが過去、リニアーアンプを持ち込んで運用したことがあるようです。真面目に守っている現地局もそのことを知っていました。アマチュア局全体に迷惑になるのでそのようなことは止めて欲しいと思います。運用結果は3.5MHzから28MHzまでの、CW, SSBで、約2,900QSOでした。(1994年11月記)」


写真10. (左)A35XC局を運用する三原正義氏。(右)アイボールQSOをした、A35XC三原正義氏とA35CTグレッグさん。


写真11. A35XC三原正義氏のQSLカード表と裏。


写真12. A35XC三原正義氏の免許状。

1994年 (仏領ポリネシア FO0MIZ, FO0AKI)

JA1BK溝口皖司氏は、仏領ポリネシアでの運用を、3エンティティのQSLカードと共に、アンケートで寄せてくれた(写真13及び14)。「DXCCでOKになれば別カントリーとなる、マルケサス、オーストラル、タヒチの3カ所からFO0MIZの同一コールでQRVし、約5,000QSOしました。(1994年8月記)」


写真13. FO0MIZ溝口皖司氏の、同一コールでの3エンティティの、3枚のQSLカード。


写真14. FO0MIZ溝口皖司氏の免許状。

JH1VRQ秋山直樹氏は仏領ポリネシアの2つの島から、FO0AKIのコールサインで、7-28MHz, CW, SSBを運用したとアンケートを寄せてくれた(写真15)。「1994年6月1日から4日までマルケサス諸島のヌクヒバ島から2,950交信(その内、JAとの交信は1,220)。その後、7日から10日までオーストラル諸島のルルツ島から2,780交信(その内、JAとの交信は1,670)。いずれも、使用したリグはTS-50Sと自作の7バンド(40~10m)GPアンテナ。(1994年12月記)」


写真15. FO0AKI秋山直樹氏の、同一コールでの2エンティティの、2枚のQSLカード。

「あの人は今 (第21回)」JR1NHD田中真氏

米国で活躍され、今もアクティブなJR1NHD田中氏の米国での運用については(その37) 2016年4月号で、国連本部での運用については(その48) 2017年3月号でそれぞれ紹介させて頂きましたが、その田中氏から近況をお知らせ頂きましたので紹介させて頂きます。「業務で米国とシンガポールに居住する機会があり、それぞれの地でAA2DI, 9V1ZWのコールサインを取得し、日本を離れてもアマチュア無線を継続することができました。そのおかげで国内外の多くの友人と出会い、今でも彼(女)らとの親交を続けられていることは、自分の人生にとって貴重な財産です。現在は、ビジネスから距離を置き、会社員時代に「できなかったこと、やりたかったこと」をひとつひとつ実行に移すべく毎日を過ごしています。その一つが、過去に居住した2か国および業務で訪れた国々への旅です。

2018年には、シンガポールを家族と訪問し、当時の仕事の同僚たちとの旧交を温め、また現地に駐在していた9V1KK笠松さん(現DJ9KK)他無線仲間とのアイボールを楽しみました。その後、久しぶりに米国へ一人旅。親友のW4WTC, Terry Cantrellさんと、彼の住むジョージア州アトランタ郊外からオハイオ州のハムベンション会場まで、遠くにアパラチア山脈を眺めながらロードムービーさながらに車で往復し、楽しい時を過ごしました。


写真16. デイトンハムベンションにて、左からW4WTC, Terryさん、JR1NHD田中さん、田中さんの友人3人。

2019年には、長年の念願がかない英国のライセンスを取得、現地在住の旧友であるMD0CCE, Bob Bardenさんのサポートを得て、日本の友人2人とマン島のコッテージからそれぞれのコールで運用、JAを含む多くの局とQSOできました。実は2020年にもヨーロッパ地域からの運用を計画していたのですが、コロナの爆発的感染により断念せざるを得ず、2021年も現状を見る限り実現は難しそうです。


写真17. (左) MD0IUX田中さんと日本の友人2人の共同QSLカード。(右)MD0CCE局のバックヤードのアンテナを背景に、左から、MD0ITP川内さん、MD0CCE, Bobさん、MD0IUX田中さん。

本来であれば、これまでの様々な経験を生かした若い世代に対する教育支援のボランティア活動を続けていたかったのですが、これもコロナの感染防止のために残念ながら一時中断することにしました。その時が来るまでは、自粛生活のなかで自己研鑽に励むつもりです。日本でのアマチュア無線活動は、居住するマンションの屋上使用許可は得られているものの、使用するアンテナの制約もあり、法的に許可された免許状の範囲で色々と工夫しながら、途切れることなくこの趣味を楽しんでいきたいと思っています。(2021年1月記)」

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次号は 12月 1日(木) に公開予定

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