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Short Break

続50MHzモノバンドMLAの製作 バリコンレスMLA

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月刊FB NEWS、4月号に50MHzモノバンドMLA(Magnetic Loop Antenna)の製作記事を掲載しました。

その記事の本文にも記載しましたが、一般的に入手困難な部品を使った製作記事は読むだけに終わってしまうため、今回はそこを考え、簡単に入手できる部品だけを使った製作記事としました。前回4月号の記事で入手困難な部品とは「バリコン」です。バリコンの代わりとなる部品の代替は困難ですが、最終的にはMLAが使用に耐えるものであれば良しとしてその製作をご紹介します。


図1 4月号で製作したMLA(左)と今号で製作するMLA(右)

さて、今回もMLAを製作しますが、下の【ご注意】をよく読んでいただいたうえで、製作を進めていただけますようお願いします。


前回と今回のMLAの異なる部分

マッチングボックス内のバリコンの部分が大きく異なります。前回4月号では、マッチングボックス内には、同調を取るためのバリコンを取り付けました。今回のMLAではバリコンの入手が困難であるとの理由で、バリコンの代わりに固定コンデンサを取り付けました。

固定コンデンサも耐圧が高く、微妙な容量の異なるものを探すのは難しいため、このコンデンサを、同軸ケーブルを用いて製作することにしました。前号で製作したMLAのマッチングボックスにはバリコンを回すツマミが付いていましたが、今回製作するコントロールボックスには図1をご覧いただくと分かると思いますが、しっぽのような突起物が付いているだけです。異なる点は、ここだけです。MLAのメインループの部分や給電ループの部分には変更はありません。

同軸ケーブルを使ってコンデンサを作る

このあとの調整の項目で詳しく説明しますが、このアンテナのQは非常に高く、コンデンサの容量を少し変えるだけで同調周波数は大きく変化します。同軸ケーブルを切断して長さを調整する過程でも、極端な言い方ですがニッパで切断して長さを調整するのではなく、カッターナイフで薄くスライスするような精度で切断することが重要です。

図2に筆者が製作した同軸コンデンサの寸法を記載しました。これはあくまでも前回4月号で製作したMLAのメインループと給電ループを使った場合の寸法ですから、読者の方々が製作されるものと、ぴったりと合致するものではありません。使用する条件に合わせて製作することが求められます。

製作に使った同軸ケーブルはRG-58A/Uです。3C2Vや3D2Vでも問題はありません。今回、RG-58A/Uを使ったのは、単なる費用の問題だけです。RG-58A/U用のBNCプラグは、大阪日本橋の某パーツショップでは、1個100円で手に入りました。ところが、3D2V用のBNCプラグは1個500円もしました。新規にRG-58A/Uの同軸ケーブルを数メートル購入してもRG-58A/Uで進めたほうが安くできるので、RG-58A/Uとしました。

同軸コンデンサの原理は、同軸ケーブルの芯線とその周りの編み線(シールド線)の向かい合う導体を電極として、静電容量を得ています。両電極の物理的な間隔は広いため、耐圧も問題ありません。

同軸コンデンサの作り方は、特に難しいところはありません。MLAのメインループと給電ループの大きさが前号4月号で製作したMLAとほぼ同じ大きさであれば、同軸ケーブルがBNCプラグから外に出る寸法は、30mmもあれば後は徐々に切断して希望の周波数にマッチングが取れるように容量を減らしていくだけです。


図2 RG-58A/Uで製作したコンデンサ

BNCプラグ内の同軸ケーブルの取り付けは、通常の取り付けと同じです。特殊な取り付けはありません。

同軸コンデンサ用マッチングボックスの製作

図3(a)は、前号で製作したマッチングボックスです。ボックスの中にはバリコンが入っています。図3(b)は、今回製作したマッチングボックスです。ボックスの中にはバリコンはなく、バリコンの代わりにBNCジャックが取り付けられています。


図3 マッチングボックスの内部


図4 内部のコネクタの配線(芯線とアースの接続に単線を使用)

図3(b)のマッチングボックス内部の配線で、メインループを取り付けるM型ジャックとBNCジャックの接続は、細い撚り線ではなく、はんだ付けした後でも動かないような、太い撚り線か、単線を使うことがポイントです。(図4) 内部の配線に使う線材がマッチングボックスの振動で動くようなことがあれば、同調がずれることになります。


図5 バリコンレス50MHzモノバンドMLAの設計図

同軸コンデンサの調整

まずはベンチの上で同軸コンデンサの調整を行います。図6のような接続で同調周波数を確認します。同軸コンデンサは、少々長い目にカットされていると思いますので、同調周波数はおそらくは40MHz台となるはずです。すでに、同調周波数が実運用周波数よりも上の方にある場合は、同軸ケーブルは短すぎます。つまり、コンデンサの容量が不足していることになります。同軸ケーブルが短い場合は調整ができませんので、長いケーブルを徐々にカットしながら実運用周波数に近づけることがミソです。


図6 同軸コンデンサの調整

同調周波数が、40MHzの上の方にまで追い込めば、次は実運用を行う設置方法や環境で同様の調整を行い、同調周波数をピンポイントで運用周波数付近に合わせます。同調周波数が希望の周波数に近づくと同軸ケーブルはカッターナイフでスライスするような感じでカットします。


図7 同軸ケーブルのカットでコンデンサの容量を調整

もともとコンデンサの容量は、同軸ケーブルを使っていますので固定です。運用周波数を変えると同調周波数も変わるため、本来ならバリコンで容量を変えるところを何種類かの同軸コンデンサを取り替えて同調を取ることになります。

完成した同軸コンデンサの切り口は内部の導体が見えており、送信時誤ってタッチすると危険ですので、この部分には収縮チューブを被せて絶縁をしておきます。それぞれ色の異なる収縮チューブを使うことで周波数の違いを区別することもできて便利かもしれません。

バリコンレスMLAの完成

完成したバリコンレスMLAをNanoVNAに接続して同調の具合を確かめます。(図8) 予めベンチで3種類の同軸コンデンサを製作し、そこでおよその同調を取り、最終的には屋外で微調を行いました。NanoVNAで同調のディップ点を観測すると(a)のコンデンサでは、50.150MHzを目標にしましたが、実際は150kHzも下の50.000MHzに同調していました。(b)はバッチリ50.200MHzでした。(c)は、50.250MHzを目標にしましたが、同軸を切りすぎたようで、これも150kHz上の50.400MHzまで同調周波数はアップしてしまいました。図8のNanoVNAの黄色の特性グラフで同調周波数が分かります。


図8 (a)、(b)、(c)それぞれの同軸コンデンサを接続して同調点を確認

一番よくできた(b)の同軸コンデンサを今回製作したバリコンレスMLAに接続し、さらにそれをIC-705に接続して実運用にてSWRを確認しました。


図9 IC-705に接続してSWR特性を確認

同調周波数が50.200MHzの同軸コンデンサを取付けて、そのSWR特性をIC-705の便利な機能の一つであるSWR特性グラフで観測したところ図9のようになりました。周波数が50.185MHz付近でSWRは最低となっていました。SWRが1.5の範囲なら合格とするのであれば、特にバリコンなしでも固定コンデンサ1個で±150kHzなら問題なく使えそうであることが分かりました。

今回製作した3つの同軸コンデンサの内、同調周波数が50.200MHzのものであれば通常多くのアマチュア無線家がアクティブに出ておられる周波数に何の切替もなしに出ることができます。同調周波数が例えば50.300MHzのものを製作しておけばさらにそこから150kHz上の50.450MHz付近までSWR1.5以下で運用できそうです。

CL

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次号は 11月 1日(月) に公開予定

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