アマチュア無線の今と昔
2026年2月2日掲載
連載39回目です。早いもので2026年も1ヶ月が過ぎました。この原稿を皆さんがご覧になる頃には、もうすぐ節分を迎えます。
2026年(令和8年)の恵方は「南南東のやや南」。私たち無線家風に言えば「ビーム方向 おおよそ165度」といったところでしょうか。一般の方がスマホのコンパスアプリ(これもイマドキですねhi)でおっかなびっくり方角を探す中、シャックのローテーターコントローラーを見て「ああ、ZL(ニュージーランド)のショートパス方向か」なんて即座に変換できてしまうのは、悲しいかなハムの性(さが)かもしれません。

大圏地図 https://ns6t.net/azimuth/で作成しました
さて、恵方巻は「無言で願い事をしながら丸かじり」するのがルールですが、おしゃべり好きなハムにとって「無言」はなかなかの苦行です。ここはひとつ、「サイクル25、まだまだ落ちないでくれ! 第2のピークよ来い!」と切実に念じながら、パイルアップを抜けるような勢いでかぶりつきたいものです。
節分といえば「鬼は外、福は内」。私たちのアマチュア無線界でも、長らく皆様を悩ませてきた「QSL転送遅延」という鬼を追い払い、新しい体制でスムーズなカード交換という「福」を呼び込みたいタイミングです。まさに今月、QSL転送の拠点が「出雲」から「松江」へと完全に切り替わりました。今回は、そんな新しいQSLの物流事情と、デジタル化時代のカードの在り方について特集します。
誰ですか?「オレはCWやFT8しかやらないから無言だっ!」って突っ込んでる人はhi

節分と恵方巻き 今年は2月3日(火)です
前号の月刊FB NEWSのニュース記事でも紹介がありましたが、JARLのQSLビューローの住所が変更になりました。長年、私たちのアマチュア無線ライフ、とりわけQSLカード交換を支えてくれた「島根のビューロー」に大きな動きがあり、2026年1月7日より、QSLカードの送付先が変更されています。
今回は、この委託先変更の経緯と新体制の詳細、そして改めて考えるQSLカードの歴史と未来についてまとめます。
1. 何が変わったのか: 新・送り先の確認
これまで長きにわたり、島根県出雲市(斐川町)の業者がQSL転送業務を担ってきましたが、契約終了に伴い、2026年2月より新しい委託会社へ業務が引き継がれることになりました。これに伴い、2026年1月7日到着分から、カードの送り先(宛先)が変更されています。新しいビューローも同じく「島根県内」ですが、場所は「松江市」になります。
●新しいQSLカード送り先(2026年1月7日以降)
〒690-8559 島根県松江市朝日町469-2 松江駅南ビル7F
JARL QSLビューロー

JARLの告知(JARL Webより)
2. 変更の経緯: 出雲から松江へ
今回の変更は、これまで業務を請け負っていた出雲市の業者が、2026年1月末をもって業務を終了(撤退)することによるものです。長年「島根のビューロー」として親しまれ、近年のカード枚数増加や物流コストの高騰、それに新型コロナ禍といった厳しい環境下でも業務を続けていただきましたが、契約満了のタイミングでバトンタッチすることとなりました。公募の結果、新しい委託先も島根県内(松江市)の企業に決定しました。これにより、ベテランのOM諸氏が慣れ親しんだ「カードは島根経由で」というフレーズは、形を変えつつも守られることになります。同じ県内での移管であるため、物流ルートの大幅な混乱等のリスクも最小限に抑えられることが期待されます。
3. QSL転送の歴史: 豊島区から島根へ
日本のQSL転送の歴史を振り返ると、(JARLが外部業者に転送を委託するようになって以降)いくつかの大きな「時代」があります。
●豊島区の時代:
かつて、昭和のアマチュア無線ブームを支えたのは、東京都豊島区(後に杉並区)にあったA社でした。手作業で膨大なカードを仕分ける職人芸の世界でした。
●「島根(出雲)」の時代:
その後、業務は島根県出雲市のB社へと引き継がれました。これがいわゆる「島根ビューロー」の始まりです。ここ数十年、日本のハムにとってQSLカードの行き先といえば「島根」であり、今回の変更まで長らく安定運用を支えてきました。
●そして「松江」の時代へ:
2026年、拠点は同じ島根県の県庁所在地・松江市へ移ります。新会社の下、デジタル技術の活用や効率化が進み、近年問題となっていた「転送遅延」の解消にどれだけ寄与できるか、大いに注目が集まっています。


4. 世界のQSL事情との比較
JARLの転送制度は、世界的に見ても非常に恵まれています。
●日本(JARL):
会費さえ払えば、原則として枚数制限なく、追加費用なしで転送可能です(※一部重量制限等の規定はありますが、実質的に定額使い放題に近い運用です)。
●アメリカ(ARRL):
「送る」と「受け取る」が完全に別会計です。送るにはOutbound Bureauへ重量ごとの手数料を払い、受け取るには各エリアのボランティアへ「自分の住所を書いた封筒と切手(Credit)」を預けておく必要があります。
●ヨーロッパ:
イギリス(RSGB)やドイツ(DARC)などは日本同様に組織的なビューローを持っていますが、やはり郵送費高騰の波は避けられず、電子QSLへの移行推奨や、非会員へのサービス縮小などが進んでいます。
5. 今後のQSLカードのあり方
新しい松江のビューローが稼働しても、物理的なカードの転送コストや手間がゼロになるわけではありません。持続可能なハムライフのために、私たちはどうあるべきでしょうか。
●ハイブリッド運用のすすめ
これからは「紙」と「電子」の使い分けがマナーとなりつつあります。
・電子QSL(LoTW, eQSL, hQSL):
アワード申請や日常の交信確認には、即時性のある電子データを利用する。特に国内交信では「Turbo HAMLOG」と連携した「hQSL」が爆発的に普及しています。
・紙カード:
記念局、初めてのDX、思い出に残る交信など、「形に残したい」場合にのみ発行する。
「No QSL」や「eQSL only」を宣言する局も増えています。相手がどの方式を希望しているか確認し、柔軟に対応することが、スマートな運用の第一歩です。詳しくは次の項で説明しましたので、ご覧ください。

これからは「紙」と「電子」の二刀流
「島根のビューロー」は、出雲から松江へと場所を変え、新たなスタートを切りました。私たち会員にできる最大の協力は、「正しい新住所へ送ること」、そして「ログの相手局情報を確認し、紙不要の局には送らない(無駄な負荷をかけない)」ことです。新しい松江のビューローが順調に稼働し、皆様の手元に素敵なカードがスムーズに届くことを願って。
次ページは「紙からデータへ。電子QSLを使い分けよう」
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