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特別寄稿

「100年前のラヂオを100年先まで生き残らせる」プロジェクト!

JR3XUH 吉田育弘

2026年5月1日掲載

ラジオの発展、そしてスマホの次は?

鉱石ラヂオは手軽でしたが、大勢で聞くことはできず盛り上がりには欠けました。一方、このラヂオのような真空管式は高価ですが、生活の中心になり得たと思われます。しかし操作は勿論、維持も大変だったはずです。

放送局は1局しかないとはいえ、5つのつまみを操作して決して強い電波ではない放送を聞こえるようにセットするのは神業だったはずです。連動バリコンではないので選局するのはもっと大変で、まさに息を詰めて行うような作業だったでしょう。電池の充電も必要です。使い込んで電圧が変動するとフィラメント電圧の調整も必要だったことでしょう。面倒です。

初期のラヂオにはそのような課題がありました。しかし、ラジオはその後爆発的に普及しました。1930年(昭和5年)ごろからは、エリミネータ式と呼ばれるAC電源式の国産の真空管ラヂオが数10圓で買えるようになり、充電は不要になりました。1931年には4極管を高周波増幅に使った製品も生まれ、発振からも解放されました。連動バリコンが使われ、選局も容易になりました。


ラジオ公論誌 1931年(昭和6年)6月号の広告
新しい4極管UY-224を高周波増幅に使った1-V-2再生式ラヂオが発売された当初のもの
これらの高級ラヂオにはピックアップの接続端子も設けられ、レコードを聴くこともできた。しかし、電源スイッチやボリューム調整つまみは設けられていなかった

1932年(昭和7年)ごろには、ミゼット型と呼ばれるスピーカー一体型のラヂオが生まれました。映画に登場する古いラジオそのものです。これはスピーカーの進化がもたらしたものです。もちろんマグネティックスピーカーですが、音もよかったことでしょう。考えてみれば、スピーカー一体型というこの形状は今のラジオでも変化していません。さらに、ペントード(5極管)も市場に出て、安価な3極管の並3型からペントードを用いた並4まで、バラエティーが拡がりました。


1932年(昭和7年)12月発行の早川金属工業のカタログより
ミゼット型シャープダインNo.34 ペントード3球式

スーパーヘテロダイン型は1940年(昭和15年)には発売されていました。戦中の物資不足を経て、戦後にはST管の5球スーパーが標準になり、1950年代になるとMT管に置き換わっていったことは周知のとおりです。

このような流れの中に“Heraldyne Radio”を置いてみると、ラジオの発展の様子が手に取るように分かります。“Heraldyne Radio”は、技術的に最初期のラヂオであると強く感じます。使ってみると課題満載で、回路図からわかるように改善の工夫もほとんどされていません。ディスクリート部品自体もほとんど無い、まさに最初のone peaceです。

しかしこれをスタートに、発振や電池課題など様々な課題の軽減・解消が図られ、基幹部品が次々に開発されて、製品に応用され、一歩ずつステップを上がっていきました。点から始まり線状にのびていったイメージです。そしてそのステップは、白黒テレビ⇒カラーテレビ⇒薄型テレビの発展や、コードレス電話⇒ガラケー⇒スマホの発展などにもひきつがれ、面状に拡がりました。電子産業の発展です。

そこでこれらの発展を鳥瞰すると、10年~20年がひとつの単位になっているようだと気づきました。そう思って振り返ってみると、どの製品もほぼ同じ周期で繰り返しているようです。

今後もそれが続くとすると、スマホはそろそろの次ステップに進む時期にあると言えそうです。腕時計型や眼鏡型、あるいはスマートリングやネックレス、イヤリングなどに通信機能を仕込んだウエラブル型でしょうか? それとも、人の動きにくっついて回るような超小型ドローンなど、何か新しいのが出て来るでしょうか?


おわりに

筆者は、昨年のラジオ放送開始100年を受け、最近、古いラヂオを修復したり、それらをもとにした講演等の文化活動を行うなど、さながら「第一級鉱石ラヂオ技能士」の「ラヂオおじさん」のような日々を送っています。ラジオ放送100年が一段落してNHK第2放送も終了した今、このような歴史を振り返る活動が次の100年に向けた進化への転換点;キックオフのヒトコマになればと思っています。

若者に、“パイオニア”や“レジェンド”と言われる方々からのメッセージを中継し、インパクトを与えて、日本の電子産業の復活にむけた頑張りを応援したいです。全国のラヂオおじさんの皆様、がんばりましょう。

<参考文献>


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