特別寄稿
2026年5月1日掲載
フィールドテストの1週間前にあった「JAMSATシンポジウム2026」にてアイコムのブースに展示されていたアンテナをお借りすることができ、自作TRVに急遽取り付けました。
このアンテナの構造は平面状の反射板に相当する面に放射状に素子を並べたもので、素子はエッチングあるいは削ってあります。通常、パラボラアンテナの反射鏡は放物線を描いたような曲面状にすることよって、入射波の位相を揃えて放射器に到達させる仕組みに対し、リフレクトアレーアンテナは反射素子の電気的な特性(形や大きさや回転角)を個々に調整することで、位相を制御します。形状によっては円偏波にすることも可能です。放射器からアレー面上の各素子へ到達する距離は経路長の差により位相がばらつくと、電波を打ち消し合ったりもします。よって、反射面に並べた各素子は入射した電波に対して反射する際の位相遅延を個々に変化させて位相を合わせ放射器へ送り込みます。
写真-8は、筆者の24GHz TRVに載せて、ANTリレーから最短に接続できるようにテープを貼って仮設置しました。24GHz TRVはアンテナと共に三脚に載せてリフレクトアレーアンテナが相手局に正対するように設置しました。

写真-8 リフレクトアレーアンテナを筆者の24GHz TRVに取り付けた

写真-9 JAMSATシンポジウムでのリフレクトアレーアンテナ展示の様子
反射板を左右に45度回転させて、最大±90度の方位に向けることができます(写真-9)。言い換えれば、180度回せることが可能です。実際に使用してどの程度まで反射板を回せば相手局の信号が落ちるかを確かめたところ、反射板を左右に±30度、言い換えると方位角は±60度までが-3dB以内(半値角幅120度)でした。シンポジウムの時に掲示されていた測定データと同様に30度反射板を回した方位60度の点で-3dBとなりました。
初めてリフレクトアレーアンテナを使用しましたが、アンテナ全体を回すのではなく、相手局からの信号が最大値になるように反射板だけを左右に回します。マイクロ波ではピークを探す時に気を付けなくてはならない重要点はサイドローブに騙されないようにすることです。一旦ピークを過ぎて信号の上がり下がり具合の全体感を見てから、詳細にピークを探します。その時の方位がわかるように全円分度器を三脚に取付けることをお勧めします。いつでも元の方位に戻せることが重要です。
使用感は、従来のアンテナはアンテナ全体を回して相手局の方位に合わせますが、急遽取付けたことなどあり、放射器はそのままでリフレクトアレーの反射板を回す方法に戸惑いました。風圧で簡単に動かないようにスポンジを挟み込みましたが位置がぶれたりもしました。開発モデルなので致し方ありませんが、今後は反射板の方位角が簡単に読めることと、一旦動かしても同じ方位角に戻せるようにできるようになると実用に近くなるかと思います。
堂平山北側へ機材を運び、約41㎞離れている高崎市のF2Aのビーコンと、約52㎞離れている赤城山中腹にある赤城神社近くのF2Aのビーコンを受信すると、信号強度はそれぞれ56強と55でした。

画面-6 高崎市ビーコンの受信(F2A) @堂平山北側

画面-7 赤城山中腹ビーコンの受信(F2A) @堂平山北側
我々のフィールドテスト日と丁度同じ日に、北関東SHF愛好家の方々の24GHz運用局が、移動局と固定局を合わせて十数局運用されていましたので、我々も参加して交信を楽しみました。24GHzの交信局数は、JA7JJN柳澤氏が6局、JM1UWB工藤氏がご自宅から9局でした。
お二人に使った様子を伺うと、移動運用にはRFユニットと24GHz TRV部を一体化して大型三脚に載せると使いやすい。アンテナは20cm四方と大変小さく扱いやすく、24GHz TRVと結合されていたのでANTへのケーブルが最短になりケーブルロスが無視できる作りになっていた。IFが5.6GHz帯なので製品化するには5.6GHz ANTと24GHz TRVとの切り替えが必要になる。欲を言うとアマチュア無線向けにはアンテナ利得はあと10dB近くアップするとよいのではと相手局の受信時に感じました。もっとも、相手局が簡便なアンテナを使っていたからかも知れません。
JAMSATシンポジウムで展示されていたリフレクトアレーアンテナは東京科学大学OrigamiSat-2でも使うアンテナでもあり同様な仕組みです。会場でアイコム株式会社から使ってみないかとお声がけいただきました。今後いろんな場面で見聞きすることが多くなるアンテナと思いますが、お蔭様で先取りすることができました。今回のフィールドテストの記事を書くにあたり、実際にIC-905+24GHz TRVをお使いになったJM1UWB工藤氏、JA7JJN柳澤氏からのレポートを参考にさせていただきました。ここに御礼を申し上げます。

写真-10 堂平山組3局全景

画面8 堂平山~JH1AOY/1局(君津市)の経路表示(カシミール3Dによる)

画面9 堂平山~JM1UWB(さいたま市内)の経路、見通し判定表示(カシミール3Dによる)

写真-12 JA7JJN柳澤氏の設備
アマチュア無線関連機関/団体
各総合通信局/総合通信事務所
アマチュア無線機器メーカー(JAIA会員)
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