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コンテストインフォメーション

2025年7月に開催予定のコンテストについて

JR1UJX 松永浩史

2025年7月1日掲載

6月には第一週末、第二週末を中心に沢山のコンテストが開催されました。また、太陽フレア等の影響によりコンディションが不安定でしたが、HFハイバンドから144MHz帯にかけてEスポによる交信も多く聞くことができました。

一方、6月15日にはJARL東京都支部・埼玉県支部共催「無線サイエンスセミナー」in東京大学が開催されました。興味がある演目であったため私も現地で聴講しましたが、高校・大学クラブの活動紹介、ARDF、電波天気予報の活用、小型(小形)アンテナ等大変勉強になる内容でした。後日動画が公開されるとのことでしたので、ぜひご覧いただければと思います。


さて、今回は7月に開催されるコンテストのうちから幾つか取り上げて紹介したいと思います。

注目のコンテスト1 CQ World Wide VHF Contest

例年7月第三週末に開催されておりましたが、今回規約が大幅に変更されました。主な変更点を紹介いたします。

1. モードにより開催日が分割された

従来はアナログモード、デジタルモードをあわせ一つのコンテストとして開催されておりましたが、今回は別のコンテストとして開催されます。FT8が普及して以降、アナログモードで運用する参加者が減少しておりましたが、今回の変更によりアナログモードでも楽しめるものと期待されます。

2. 開催時間が変更、短縮された

従来は日曜日の03:00から月曜日06:00まで(いずれもJST)に開催されておりましたが、今回は土曜日の21:00から日曜日の21:00までに変更、短縮されました。国内コンテストに近い開催時間設定であり、日本から参加しやすくなったと思います。

3. アナログモードの開催日が6m AND DOWNコンテストと同一となった

アナログモードの開催日は7月第一土曜日から日曜日、デジタルモードの開催日は第三土曜日から日曜日です。アナログモードは24時間中18時間6m AND DOWNコンテストと重複します。周波数帯やモードも重複するため、日本国内から参加する局にとっては運用しづらいかもしれませんが、一方で両コンテストのコンテストナンバーを交換することにより高得点を得る局が現れる可能性もございます。

変更点以外の本コンテストの特徴を紹介いたします。

  • ・  周波数帯は50MHz帯と144MHz帯です。
  • ・  コンテストナンバーはグリッドロケーター4桁です。RS(T)レポート等は交換不要ですが、日本からのアナログモード運用局はRS(T)+グリッドロケーターを送信することが多いようです。
  • ・  1交信あたりの得点は50MHz帯は1点、144MHz帯は2点です。
  • ・  シングルオペ部門には出力による区分があります。変わっているのはQRPは出力10Wとなっている点です。
  • ・  移動運用局向けにヒルトッパー部門があります。特に所謂「担ぎ上げ移動」の場合、時間や電源の都合によりフル参加が困難な場合がございます。これに対応する部門です。運用は最長連続6時間、出力は100W以下の制限がございます。
  • ・  ローバー部門があります。オペレーターは2名以下でグリッドロケーターが異なる複数の運用地を巡り運用します。同じコールサインを用い、「ローバー」もしくは「/R」を示すことが必要です。相手局が同一でも運用地が変わるごとに得点となることが特徴です。総得点の計算が特殊ですので、この部門に参加される方は事前にルールをよくご確認ください。
  • ・  ログの提出期限は終了日の5日後です。ご注意ください。
  • ・  参加者全員へ参加証が発行される一方、成績上位局への賞状は発行されません。一部の部門では世界一位の局に楯が贈呈されます。


昨年の結果をみると、全交信の8割以上がデジタルモードによるものでして、今回のルール変更により特にアナログモード部門については昨年までとは全く異なる様相となると思われます。

 ご参考 CQ World Wide VHF Contestのweb
 https://www.cqww-vhf.com/index.htm

注目のコンテスト2 6m AND DOWNコンテスト

所謂「JARL四大コンテスト」の一つです。今年は7月5日21:00~6日15:00に開催されます。他の四大コンテストとの違いを以下に挙げます。

  • ・  使用周波数帯は50MHz帯以上です。
  • ・  電話部門にD-STAR種目がございます。DVモードかつシンプレックスによる交信のみ有効です。また、他の部門・種目についてもD-STARによる交信についての記載がございます。
  • ・  2400MHz帯以上での交信は1交信2点です。また、2400MHz帯以上に限りコンテストナンバーがシグナルレポート+市郡区ナンバー+電力符号となり、異なる市郡区がマルチプライヤーとしてカウントされます。

また、今年4月からWebでのログ提出が可能となりました。ログの提出については郵便物や電子メールの不着に加え、参加者側の記載ミスの心配もございます。Web提出によりこれらを軽減できるものと期待しております。電子メールで提出可能な環境をお持ちでしたら、多くの場合Web提出可能かと思います。トラブル防止のためにもWeb提出をお勧めします。

このコンテストにはFMハンディ機一台でも参加可能です。そこで、144MHz帯と430MHz帯のアクティビティについて簡単に紹介いたします。

144MHz帯
都市部ではSSBに参加者が集中しており、FMでの参加者は少数です。FMは全く運用しない方も多いようです。一方、地方ではFMでの参加者が結構おられ、上位入賞者はSSB、FM、CWを巡回しつつ得点とマルチを伸ばしているようです。地方では430MHz帯よりも144MHz帯の運用局が多いことも考えると、地方からFM機で参加される方には144MHz帯に注力することをお勧めします。

430MHz帯
都市部、地方問わずFMに参加者が集中しています。144MHz帯とは逆に、SSBは全く運用しない方も多いようです。また、都市部の特徴として、144MHz帯よりも430MHz帯のアクティビティが高いことがございます。よって、都市部からFM機で参加される方には430MHz帯に注力することをお勧めします。

いずれの場合も、電源も含む設備のコンパクトさや可搬性を活かし、ロケーションが良い場所での運用をお勧めします。

注目のコンテスト3 高校コンテスト

正式名称は「全国高等学校アマチュア無線コンテスト」で、通称が「高校コンテスト」です。「高校生コンテスト」とアナウンスする参加者もおられますが、微妙に違いますのでご注意を。今年は7月21日(祝)13:00~16:00に開催されます。他のコンテストとの主な違いを紹介いたします。

  • ・  使用周波数帯は7、21、50、144、430MHz帯の5つです。
  • ・  高校部門は高校生以下のオペレーターによる交信が提出総数の80%以上である場合にエントリーできます。言い換えると、学校社団局でなくても上記の条件を満たせば高校部門に参加できます。
  • ・  高校部門で参加する方はコンテストナンバーの末尾に「HS」それ以外の方は「C」を付け送出します。高校部門には団体シングルバンド部門がございます。
  • ・  得点で電話1点、電信3点です。電信と電話の重複交信はいずれかのみ有効です。
  • ・  マルチプライヤーは異なる都府県地域+交信したHSの数です。例えば、電話で5910HSを送る局1局とのみ交信した場合、1点×(1+1)マルチ=2点となります。
  • ・  シングルバンド種目のみであれば複数種目にエントリーできます。マルチバンド種目にエントリーする場合、シングルバンド種目にはエントリーできません。
  • ・  一人のオペレーターが複数のコールサインで運用しエントリーすることが可能です。
  • ・  高校部門に参加する場合、ログやサマリーに記入する事項が指定されております。ご注意ください。

今回、種別がシングルオペ・マルチオペから個人・団体へ変更されました。また、このコンテストにおいて「個人種目」は提出ログに含まれる全交信を1名のオペレーターが行った場合にエントリーできます。サブオペレーター等による支援は可能です。この個人種目以外の場合は団体種目となります。例えば、Aさんが学校社団局のコールで7MHz帯、Bさんが同じコールで21MHz帯を運用し、他の方がその運用を支援した場合、他の方の交信を含めなければ、Aさんが個人7MHz帯、Bさんが個人21MHz帯にエントリーできます。但し、この社団局はマルチバンド種目にはエントリーできません。

過去の結果をみると、マルチバンドと7MHz帯はハイレベルな争いとなっている一方、他のバンドはそれぞれ有利なエリアから参加した局が圧勝しております。複数のシングルバンド種目にエントリーできますが、沢山の局との交信を狙うのか、入賞を狙うのかによって運用が変わりますので、事前によく考えることをお勧めします。

注目のコンテスト4 IARU HF Championship Contest

今年は7月12日21:00~13日21:00(日本時間)に開催されます。例年、各国の無線連盟の局(HQ局)が参加するのが特徴でして、得点や順位度外視でHQ局を多く交信することを狙い参加する方も大勢おられます。HQ局は6バンドで電信・電話それぞれ1波運用可能なので、一団体で最多で12局が参加可能です。日本からは今回5局が参加されますが、運用バンド・モードをみると1.8MHz帯と3.5/3.8MHz帯は電信と電話が同一局となっております。高得点を狙うにあたり同一バンドで電信・電話同時に運用することが望ましいのですが、その体制を組むには至らなかったようです。

HQ局からお話を戻します。他のDX Contestと比べた特徴を挙げてみます。

  • ・  開催時間は48時間でなく24時間です。
  • ・  同一日程で電信・電話が開催されます。
  • ・  マルチプライヤーは異なるITU ZONEに加え、HQ局とOfficialsです。
  • ・  国内局との交信も得点となります。

見方によっては、国内コンテストや珍局ハントの感覚で楽しめるDXコンテストと言えるかもしれません。

この原稿を書いている6月下旬でも既に35℃を超える酷暑となっております。皆様もお体ご自愛ください。

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