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特別寄稿

カンボジア・アマチュア無線便り
NPICクラブ局XU7AMOからQO-100とLEOへQRV

JA3GEP 毛利幹生

2026年5月15日掲載

10. 第2回トレーニングのQSO結果

●低軌道衛星(LEO)

3大陸、9Entity、のべ272局と交信
AO-123でのXU7AMO~BA1PKは、Distance Record: 3,363.44kmを樹立


表3 LEOでの交信結果

●静止衛星(QO-100)

4大陸、49Entity、のべ566局と交信。局数ではドイツ、イタリア、ポーランド、フランス、イギリスとEU諸国が並びます。オペレートは主にSSBは現地学生、CWはJK2XXK、FT8はJA3GEPが行っています。


表4 QO-100でのQSO結果

●QSLカードは発送済み

LoTW、eQSLはログアップロードを帰国後数週間で完了し、QSLカード約600枚も4月18日にJARLビューローに発送しました。Direct請求、その他不明の点がありましたら、QSLマネジャー(QRZ.com JA3GEP)まで連絡下さい。


図34 想いを詰め込んだQSLカード

カードデザインの原案はNPICから届きました。大勢で取り組んでいるのがわかると思います。

11. こんな嬉しいこともありました

1)故郷との会話 Khmer(クメール)語での初QSO

QO-100の運用計画を進めていたところへ、Pauloさんの友人のF4ANS AurélienさんからスケジュールQSOの依頼がありました、カンボジア出身のXYL SopheakさんがQSOできないか、とのことです。Un先生に相談したところ免許上も問題なく、XU7AMOメンバーも、「はじめてKhmer語」でQSOできる!」と大喜びでした。

金曜日のヨーロッパでの早朝、XUでの午後に設定し、土曜日を予備日としました。木曜から地上局の設営を始めるのでトラブルで遅れないか、また普段無線を聴きなれていないので、衛星経由のSSBでの会話が進むかどうかが少し心配でした。話題がかみ合わないと困るので、事前に英語とフランス語、クメール語での「式次第」を用意したのですが、いざ始めてみると母国語同士でおおいに盛り上がり、全く問題ありませんでした。

XU7AMOの常置設備が完成し、いつでもQSOできるようになれば、アジアの親善大使になれると思いました。


左: 図35A F4ANS AurélienさんSopheakさん一家
右: 図35B F4ANS局の機材

第三の出会い

Sopheak Barrau

私にとってこれまでにない、非常に光栄で特別な出会いに参加する機会に恵まれました。プノンペンのカンボジア国立工科大学のクメール人学生たちと、カンボジア出身の私、そして私たちを繋ぐ電波。彼らの知識欲、私を温かく迎え入れてくれた国の文化を学びたいという熱意、そして何千キロも離れていても、アマチュア無線での会話を通して感じられた親密さに、私は嬉しい驚きを覚えました。私にとって、とても充実した初めての経験でした。

そして今、アマチュア無線愛好家である夫が、なぜこの第三のつながりを魔法のように感じるのか、理解できました。世界中のどこへでも私たちを連れて行ってくれるこのつながりは、新しい人々と出会い、新しい文化を発見させてくれるのです。


図36 Sopheakさんからの手紙

2)カンボジア国立博物館・プノンペン市内の見学

カンボジアを訪問しながら歩いたのはNPIC構内だけ、というのでは寂しいので、「日曜の空き時間に、市内のカンボジア国立博物館を見学させてもらえないか?」とUn先生に相談しました。時間帯は、メコン河畔で夕食をとれる夕刻で最初考えたのですが、LEOチームから「ウインドウがないのは9時のパスから16時半のパスの間だけなので、外出するならその間だけ!」との要請があり、NPIC 9時半出発/16時帰着、という忙しいスケジュールとなりました。

「じゃあ、スクールバスを用意します!」当日LEO運用を一段落させてバスへ向かうと、なんと学科生ほぼ全員集合し満員となりました。バスから博物館へ向かう行列は小学校の遠足を思い出しました。


左: 図37 日曜日の朝、プノンペン市内のカンボジア国立博物館へ
右: 図38 ヴィシュヌ神像の前で記念撮影


図39 トンレサップ河畔からメコン川を望む

ビルがある対岸が手前のトンレサップ川と向こう側のメコン川との合流点で、メコン川の広さは右の写真のイメージです。

3)現地の CamNessに紹介

地元Webニュースに活動が紹介されていた模様です。後で教えてもらいました。
https://cambodianess.com/article/tech-enthusiasts-encouraged-to-join-satellite-training?sfnsn=mo


図40 2月28日版 Web誌CamNessより
(Around 300 students have joined the training since February 26.
Photo provided By: Chhuon Kongieng February 28, 2026, 9:50 AM)

4)学会 FET'26での報告 (https://fet.uob.edu.bh/)

XU7AAW/KF0REV Bunnarenさんが、昨年からのQO-100への実践をIEEEのFET'26(International Conference of Frontiers of Engineering and Emerging Technologies '26)という学会で報告されました。

学会の場所を聞いてちょっと緊張しました。カタールの近くの島国、バーレーンで3月22~23日に開催というのです。今まさに危険なホルムズ海峡の奥で危ない最中ではないかと心配しましたが、当日の講演はMicrosoft Teamsによるオンラインでした。


図41 FET'26 Presentation Title


図42 “International Conference of Frontiers of Engineering and Emerging Technologies”での報告

12. 次のステップに向けて

「トレーニングが2回あったから、次の3回目もありそうだな」と期待されると思います。ただ1回目、2回目のように機材を持ち込んで運用方法を指導して、というのでは二番煎じの感はまぬがれません。

現在働きかけているのは、海外から押し掛けて指導する必要はもうないはずなので、自分たちで目標を決めて、3回目は「卒業報告」をやってはどうか? です。

  • ・衛星に関する知識は、軌道から電波伝搬、追尾からDXを捌く運用方法まで伝えてあります。
  • ・QO-100地上局のアンテナ/LNB/コンバータ、低軌道衛星地上局のアンテナやローテータは現地にあり、手持ちの無線機とパソコンをベースに使用できる状態です。
  • ・それに、学生メンバーの理解が早く、積極的なので、やる気になればできる! 勢いがあります。

もちろん、定期的に連絡をとり、機材・ノウハウなどの支援は行います。1年後に訪問しても支援なしに好きなタイミングで、QO-100やLEOにQRVできる力をつけていると信じています。それが可能になって、やっとPauloさん、村田さん、戸根さんも念願の新しいEntity/Grid LocatorをホームQTHからゲットすることが出来ます!

なかなかコミュニケーションの問題もあり困難でしょうが、目標に向けて、支援/並走をつづけたいと思います。

13. おわりに

この今回の5日間の衛星通信トレーニングのために、Un先生のチームは大変な時間と労力をかけてくれています。昨年は空調屋外機の熱風が吹き付けて困ったのですが、今回は緑色のパネルで直接風が当たらないよう工夫されていました。アンテナやDXPatrolの置き場も、事前に準備されています。機器の固定治具は、その場で寸法を採り、3Dプリンターで仕上げてくれます。めいめいの積極的な取り組みには、感心します。


左: 図43 トレーニング修了式のBun学長
右: 図44 トレーニング活動報告ビデオ(https://camrg.com/)

ご理解をお願いしたいのは、まだカンボジアではアマチュア無線という制度が確立途上であることです。NPICのトレーニングという形で所轄官庁に理解していただいている面が多々あります。海外からコールサインを取得する、サテライトにQRVする、といったペディション的な運用は、将来的な課題として残っています。いまは信頼関係を築き、実績を積み上げる段階ですので、ご理解のほどをお願いいたします。不明の点は著者までお問い合わせください。

今回の衛星通信トレーニングに際しまして、NPICのBun学長をはじめ関係者の方々、また周波数の利用に理解をいただいた所轄のTRC(Telecommunication Regulator of Cambodia)各位に、あらためてお礼申し上げます。

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