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Summits On The Air (SOTA)の楽しみ

その13 マイペースでSOTAを楽しむ(JM1NCTさんの楽しみ方)

JH0CJH・JA1CTV 川内徹

みなさんこんにちは、JH0CJH川内です。
暑い今年の夏も過ぎ去り、関東地方でもようやく錦秋の山の季節がやってまいりました。今回はこの秋山だけに限らず一年を通して登山そして無線を楽しまれているJM1NCT秋山さんを紹介したいと思います。秋山さんは関東をはじめ、東北、長野など各地でアクティブに山岳移動運用をされており、非常にエネルギッシュなクライマーの一人です。 休みが取れた時には、相当な重量の荷物を持ってアルプスレベルの山岳を縦走されています。秋山さんは自由な山岳移動を目指しSOTAや無線ありきではなく、山岳での移動運用を通じてアウトドアを楽しまれています。主にはV/UHF帯で運用され、山岳移動のアクティベーターだけではなく追いかけのチェイサーも楽しまれています。それではその秋山さんのマイペースなSOTAの楽しみ方とはどんなものなのか教えていただきましょう。

マイペースでSOTAを楽しむ

JM1NCT 秋山公則

こんにちは、JM1NCTの秋山です。2014年に山行お供として再開局しました。

今回は私なりのSOTAの楽しみ方について、ご紹介させていただきます。私の場合、仕事の関係や何かと土日が多忙の場合が多く山行回数が極端に少ない状況です。アウトドア全般が趣味でもあり、その一部にSOTAを取り入れて、私なりの緩いSOTAを満喫しています。そんな感じのレポートになりますが、何かのご参考になれば幸いです。

チェイサー

先記しました通り、なかなか山行時間が取れない昨今ですが基本土日は自宅若しくは近所をウロウロする日々。自宅からチェイサーするにも設備的に厳しい環境です。そんな中、天気の良い土日、SNS上でアクティベーターが145/433にも出ますよとの書き込みを発見するなり、チャリンコにいそいそとハンディーとロッドアンテナを積み込んで出発です。幸い、30-40分も漕ぐと東京湾奥の海浜幕張です。晴れていれば、富士山から丹沢-奥多摩方面と一望でき、あの山々にアクティベーターが居るんだな~と景色を堪能しつつ準備です。

アクティベーターを探し出し、無事にQSO成立。独りよがりかもしれませんが、あそこの山に交信したアクティベーターが居るんだ~なんてね。ゆっくりと気持ちの良いロケーションからのチェイサーも、これまた楽しい!また、余裕がある時はHFでのチェイサーも楽しみます。


荒川土手 FT-817ND /SRH789 / カウンターポイズ

この時はアクティベーターが見つかりませんでした(聞こえなかった)。そんな時、タイトル通り、マイペースです。無線から離れ、「墨田七福神めぐり」して美味しいLUNCHして帰宅しちゃいました。これはこれでOK、無線にとらわれ過ぎず、他のアクティビティを楽しむ。これが私と無線との付き合い方です。

アクティベーター

今回タイトル「マイペースでSOTAを楽しむ」、アクティベーター側でも当てはまります。SOTAには便利なSOTA Watchや各種アラートがあります。ただ私の場合は、あまり使用していません。※ごめんなさい

何故かと言いますと

1) 目的の山を、その時の気分で変更すること多々あり。


※こちらはJA/NN-204(黒斑山)でSOTAやるはずが、SOTA対象外の蛇骨岳(浅間山外輪山)へ急遽変更。理由→景色が良かったから、蛇骨岳の方が。

2) 山行:8、無線:2が基本ですが、無線:2が非常に怪しい2なのです。一応無線をやるつもりで登ります
が、諸事情。
・Lunch後の昼寝
・他パーティーとの熱談
・特小無線に熱中しすぎて、SOTA忘れる
で気が付けば下山時間という事があるため。

3) 天候次第で直ぐに登頂断念する軟弱もの、という感じの山行になるため、事前周知しても波を出さなかったり、SOTA対象外運用の場合が多々あります。SOTAの為に山を登るのではなく、アウトドアの一部の楽しみとしてSOTA運用しています。山の中では、ある意味自由に行動(当然ルール内)したいと考えています。そのため、各局にご迷惑をおかけしたくない。自分へのプレッシャーもかけたくないという表れかと思います。

私のアクティベーターとしては144MHz/SSBがメインとなります。

HF運用もリクエストがある時だけ、担ぎ上げますが、基本は144/430/1200MHzとなります。設備としては、以下の3パターンが多いです。

設備のチョイスですが
① 山頂が狭く、短時間運用しか出来ない場合
RIG: VX-6 (145/433MHz FM)
ANT: RH789

② 多少開けた山頂で、少し無線でもやるかという場合
RIG: VX-6 (145/433MHz FM)
ANT: RH770


JA/NN-209 烏帽子岳

RIG: TH-55 or TR-50 (1295MHz FM)
ANT: 5ele LOOP


JA/IB-022宝篋山(ほうきょうさん)

③ 144MHz/SSB やる気&気合い十分時の場合
RIG: FT-817ND
ANT: 2ele HB9CV


JA/YM-004 蔵王山(熊野岳)

それぞれの移動運用写真を見てお気づきでしょうか。そう、殆どアルミ三脚にクリップオンしています。こんな簡単な設備でも144MHz SSB、意外にも良く飛びます。固定からは立派な設備をお持ちの局長さんもいらっしゃり、こちらの標高もあるため、これが飛ぶんです!144MHz独特の伝搬も面白く、山岳回折とかで思わぬDXが出来るのも魅力だと思います。またアンテナ自体が大きくなく、他登山客への配慮を考えると、私には合っているSYSTEMなのかもしれません。今年に入ってからは、さらにヘッドフォンも導入しています。

やはり、他登山客の中には静かな山風景を楽しみに来られる方もいらっしゃいます。SOTAに限らず、山には色々な趣味人が楽しまれますので音の配慮も考えました。また、通信用ヘッドフォンは非常に聞きやすく、おすすめだと思います。

144MHzを語ってしまいましたが、HFも時々やります。チェイサーでも使う、お手軽運用SYSTEMとなります。RHM10とローアングル三脚にカウンターポイズの組み合わせになります。


JA/NN-059 湯ノ丸山_八ヶ岳&富士山を眺める贅沢なシャック

まだまだ改良余地が多々ありますが、こちらも山頂隅っこで小さく展開できます。登山客が増えだすと、アンテナ一式をもって移動します、すたこらさっさと。この身軽さも、私の運用にもあっています。

帰宅後の楽しみ

SOTAからは離れてしまいますが、私にとって帰宅後のSOTAデーターベース入力とは別に山頂からDXさせていただいた局長さんとの距離計測と伝搬経路を地図上に表示させて確認するのが楽しみの一つです。

① こちらは昨年の11月にJA/FS-122 福島県石川郡 三株山へアクティベーションした際の記録です。

FT-817ND 5W 2ele HB9CV / 144MHz
相手局:愛知県知多郡移動
距離:約399.3km

途中に南アルプスがありますね。 山岳回折したのかな~と回想。この時は2エリアが強かったです。

FT-817ND 5W 2ele HB9CV / 144MHz
相手局:静岡県牧之原移動局
距離:約330km

こちらも途中に富士山がありますが、見事反対側に回り込んでQSO成立しています。そうなると先の知多移動局も富士山経由だったのかな~よく飛んだなぁ~等々。帰宅後に部屋で振り返り、データーとして残しておく。楽しいひと時だと思います。

後記
私なりのSOTA楽しみ方をご紹介させていただきました。

私の無線の楽しみ方は、子供のころの玩具トランシーバーでの無線ごっこが、そのままアマチュア無線へ移行しただけです。神奈川県の秦野という当時は自然に囲まれたロケーションで過ごしていましたので友達と釣りに出かけては玩具トランシーバーで途切れ途切れの釣果連絡交信、大山の山頂までトランシーバーを持って登り、麓の友達との鮮明な交信等々、いまだに覚えています。そのためなのか、いまだにPhoneが大好き。

そのPhone交信ですが、普段固定運用で144MHzを良く聞いています。設備的も厳しい上にノイズに埋もれて聞こえにくいQSOが多々あります。そんなノイズに埋もれ聞こえにくい弱い音声信号でも、山の上に行くとノイズに関してはストレスフリーです。飛びに関してはQRPなので工夫が必要ですが、その有り難い環境で運用させていただき、弱い音声信号を、いかにピックアップ出来るか。ピックアップ出来たときは、思わず山頂でガッツポーズです。
※はたから見たら変なおじさん状態ですね、ヘッドフォン装着したおじさんが、いきなり山頂でガッツポーズですから。

この記事が掲載される頃は、秋山シーズン真っ盛りですね。また秋の旅行シーズンでもあります。旅行先からアクティベーターを追いかけたり、時には気持ちの良い秋空のもと、足を延ばしてハイキング&SOTAしてみませんか。四季を感じられる日本です、楽しくアウトドアと無線ライフを満喫しましょう。そして、皆様とお空でFBなQSOをお待ちしています!!

いかがでしょう?私は秋山さんの自由な楽しみ方が私の運用スタイルにも共通するところがあり、とても共感できます。 普段は仕事で忙しい毎日であっても、休みの取れた時に自由に気の向くままに山を縦走するそんな秋山さんの様子が目に見えるようです。大自然の中で、他の登山客にも配慮し小さくコンパクトな設備で運用するなんてところにも、秋山さんがいかに自然を愛し、それを楽しんでいるかがわかるように感じます。SOTAに限らず、山の上から無線をする、ぜひ皆様も大自然の中で無線を楽しんでみませんか?

JH0CJH 川内 徹

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次号は 12月 1日(木) に公開予定

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