Monthly FB NEWS 月刊FBニュース 月刊FBニュースはアマチュア無線の電子WEBマガジン。ベテランから入門まで、楽しく役立つ情報が満載です。

Summits On The Air (SOTA)の楽しみ

その60 山頂からのFT8について-4

JH0CJH・JA1CTV 川内徹

あれだけ暑かった夏も秋分の日を過ぎて急激に寒くなってきました。高山の上では朝夕は氷点下の気温になっている日もあります。晩秋から初冬の登山が楽しい季節になってきました。くれぐれも安全に気を付けて山からの無線運用を楽しみましょう。

今回も引き続き山頂からFT8運用を楽しむためIC-705に300g足らずの追加機器の作成をしていきましょう。前回までにラズベリーパイの設定の前半を行いました。今回はFT8の通信ではとても大切な時刻の設定をしていきます。FT8では時刻同期がとても大切なカギになります。時刻が1秒くらいずれているだけでもなかなか取ってもらえなくなる、また自分の時刻は正しく同期で来ていても、相手局の時刻がずれている時にも何度呼んでも取ってもらえない時があります。

実はラズベリーパイはこの点が一番のネックになります。というのは、ラズベリーパイは時計を持っていません。正確にいうと時刻保持の機能がありません。ネットワークに接続して使うことが前提になっているのでラズベリーパイのスイッチを入れてOSが立ち上がると、すぐにネットワーク上の時計サーバーに同期して時刻を合わせているのです。しかしFT8用に山に持っていく場合にはネットワーク環境はありません。このためラズベリーパイに時刻保持の機能を持たせます。これがRTCモジュールです。


これも現在デバイスの枯渇で入手が困難になっています。

私はSwitch Science社のラズベリーパイ用RTCモジュールを使いました。これを使うには少し設定が必要です。まずはRTCモジュールをラズベリーパイに接続します。


次にI2Cの有効化。これは下記のようにメニューから「設定」-「Raspberry Piの設定」で行います。


下のようにインターフェースタグの下で、I2Cを「有効」にすることでOK。


ラズベリーパイを再起動した後、Terminalを起動し
$ i2cdetect -y 1
とコマンドを打ってみます。すると下記のように


GPIOピンを通して、RTCモジュールが認識されていることが判ります。一度RTCが動き出すと、この「68」が「UU」に代わります。まだRTCが動いていませんので「68」の表示です。

この状態でTerminalから下記のコマンドを打ってラズベリーパイにRTCモジュールを認識させます。
$ sudo modprobe rtc-ds1307
$ echo ds1307 0x68 | sudo tee /sys/class/i2c-adapter/i2c-1/new_device

これでOKです。またラズベリーパイの中にはネットワーク環境にない場合に、前回停止した時刻を記録しておいてそこの時間で稼働させる機能がありますが、これは意味がありませんので機能を止め、さらに誤動作を防ぐためにそのモジュールを消してしまいます。

// 機能を停止
$ sudo update-rc.d fake-hwclock disable
// モジュール削除
$ sudo apt-get remove fake-hwclock
$ sudo dpkg --purge fake-hwclock

次に時計の設定です。
// hwclockをシステム時計に合わせます
$ sudo hwclock -w
// 時間を表示させます
$ sudo hwclock -r

2020-09-12 13:58:42.191741+09:00
これで動作が確認できました。

次に起動するときにRTCの時刻を取り込むように /etc/rc.local を修正します。
Terminalから $ sudo nano /etc/rc.local と打ちrc.localを開きます。

必ず最終行の exit 0の前に下記の一行を記述します。
Sudo hwclock -s

記入したらCtrl+O (CTRLキーとO“オー”)を同時に押します。これで保存しました。次にCtrl+Xで元のTerminalに戻ります。これで時計の初期設定はOKです。

この辺で今回の時計の初期設定を終えておきましょう。次回もまたラズベリーパイの設定について説明していきます。

SOTA日本支部ではSlackを使ったコミュニティプラットフォームがあります。すでに100人以上のSOTA愛好家の方々が参加されています。このコミュニティに新たに参加をご希望の方は私宛のメール、jh0cjh599アットマークgmail.comでも結構ですし、SOTA日本支部のホームページの問合せのページから連絡を頂いても結構です。登録案内を送らせていただきます。

Summits On The Air (SOTA)の楽しみ バックナンバー

2022年10月号トップへ戻る

次号は 12月 1日(木) に公開予定

サイトのご利用について

©2024 月刊FBニュース編集部 All Rights Reserved.