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Summits On The Air (SOTA)の楽しみ

その44 IC-705を使ってみて 1

JH0CJH・JA1CTV 川内徹

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皆さま、こんにちは。ようやく新型コロナウイルスのワクチンも広く出回り始めました。既にワクチン接種を受けた方も居られるのではないでしょうか? 私はまだ受けることができないのですが、急激に接種数が増大している現在では、夏が終わるころには受けることができるのではないかなどと思っています。早く自由に移動運用できるといいですね。

さて前回まで山岳移動、特にIC-705を使った場合のバッテリーの比較をやってみました。今回からは、このIC-705というリグについて、いくつか感想も交えながらレビューをしてみたいと思っています。

しかし、既に発売されてから1年以上経っていることもありますし、世界中で話題になっているリグでもあることから、レビューの記事は数えきれないほどあります。それほど注目を浴びるリグであることも事実です。そこで私のレビューは誰も書かないような視点で少し書いてみたいと思っています。


まず、このリグの良い点は誰もが認める操作性と可搬性の共存だと思います。これだけの大きさのリグでカラー液晶を備え、タッチパネルで直感的に操作できること、そしてリアルタイムスペクトラムスコープによるバンドコンディションの変化に即対応できる点です。・・・・おっと、これは誰もがこのリグの素晴らしい機能として既に書いていることでしたね。

実はこのリグが2019年のハムフェアで発表された時、SOTAでの利用シーンを意識したものであることも発表されていましたし、そのコンセプトも車での移動ではなく、自分の足で歩いていく山岳移動運用を十分視野に入れたものでした。ここで私をはじめ、他のSOTA愛好の方々が、皆同様に心配したのはその消費電力です。モノクロの液晶画面に比べカラー液晶はそれだけで消費電力が大きいし、更にカラー液晶自体の大きさも今までのポータブルリグに比べてとても大きい。それだけでも消費電力は大きいはずです。さらにDSPやCPU制御がリグの機能の中心にある点も電力消費の点では負担になるはず。一方でハンディ機のような小さなバッテリー(というよりもハンディ機互換のバッテリー)で、このリグがどこまで山岳移動で実用になるのかということが疑問でした。発売当初から同じように心配していた人もこのリグを手にして、まず試してみたのはこの点ではないでしょうか? その結果、おそらく大半の人が持っていた消費電力についての心配が吹き飛んだと思っています。

私は山岳移動ではHFで長時間CWで運用するスタイルが多いため、外部電源を使っていますが、この内蔵バッテリーだけでも相当実用になると感じています。また消費電力が小さいからこそ、外部電源であればさらに安心して長時間の運用を楽しむことができています。

消費電力低減の工夫は実に至るところに見えており、私はこのリグを開発した人は絶対に山岳移動をしている人ではないかと思っています。オートパワーオフやFM/DVモードでのパワーセーブモードなどは今までのリグでも適用されてきました。今回、私がこの誰も言及していないレビューで大いに評価したい点は2つです。

一つ目は、このリグには可搬性やD-STARでの使用を更に便利にするためにGPS機能、Wi-Fi機能、Bluetooth機能などの機能があらかじめビルドインされています。常時安定化電源を接続している場合は問題ありませんが、山に登ったりする際には常時使う機能ではありませんので消費電力が気になります。これを機能ごとにスイッチオフできる点が良いと思います。必要な機能だけを必要な時に使えます。GPSは消費電流がWi-FiやBluetoothに比べて大きいという報告もあります。私は一度時計を合わせたらあとはGPSは大体オフにしております。

二つ目に私が大きな評価をしたい点は節電の工夫です。パソコンやスマホでも導入されているように、このIC-705にはスクリーンセーバーが導入されています。長時間運用する場合にカラー液晶での無駄な消費電力を抑えるために、設定した時間を過ぎると液晶画面を消して無駄な電力消費を抑えます。

更に、皆さんお気づきかどうか判りませんが、これだけではなく、「画面消灯」という機能があります。これは「MENU」から「SET」、「ディスプレイ設定」から下記の画面消灯を選んでONを設定します。これはデフォルト設定のままで既にONになっています。



この状態で運用中に「POWERボタン」を短く押すと画面が消灯されます。

これは「スクリーンセーバー」と似てはいますが、実は全く違うものです。スクリーンセーバーは、ある一定時間(設定した時間)操作しない場合には、自動で画面を消して無駄な電力消費を抑えますが、ダイヤルを回したり、機能ボタンに触れるとすぐに通常状態に戻ります。しかし、「画面消灯」の機能は、POWERボタンを運用者の意思で押すことで画面が消灯します。状況はスクリーンセーバーと同じですが、この状態ではボリューム(AFゲイン)以外はすべてロックされています。ダイヤルに触ってもボタンに触っても解除されませんし、不要に周波数がずれたり、設定が変わったりすることもありません。このように運用者が意思をもって画面を消したことを尊重しているわけです。そして、その状態を音声ボリューム以外は保持し、設定を変えないという点に消費電力の低減を主目的として取り入れられた大きな意味があると思っています。山頂で設定を変更せずにCQを出し続けるような運用スタイルではとても便利な節電機能です。

最後に、これは消費電力低減ということではないのですが、もう一つ特筆したいのはUSB電源で充電が可能なところです。今の時代に山に行く際のライフラインのひとつである携帯電話やスマホは必需品です。当然このための予備電源は持っていく方が大半だと思います。このUSB電源が使えるということは、それだけで山岳移動運用には大きなメリットがもたらされます。汎用性も有りますし、何しろ充電可能な場所、状況の範囲が広がります。

これはまさに実際に山に行って移動運用をしている人でないと、このような数々のアイデアは出て来ないと思います。この点についてはIC-705の設計段階から消費電力削減の機能に掛けるICOM設計開発陣の意気込みすら感じることができます。

今回はIC-705の発売前から気になっていた点、そしてそこがうまく対処されている点を紹介しましたが、次回より更に良い点だけでなく、改善してほしい点なども含め、IC-705についての洞察を進めてみたいと思います。

SOTA日本支部では常時メーリングリストの申し込みを受け付けております。私宛のメール、jh0cjh599アットマークgmail.comでも結構ですし、SOTA日本支部のホームページの問合せのページから連絡を頂いても結構です。

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