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日本全国・移動運用記

第54回 鳥取県日野郡移動(アンテナチューナーAH-4で簡単QSY)

JO2ASQ 清水祐樹

鳥取県は人口が最も少ない県で、交信が難しい市町村もあるようです。山間部のため運用する局が少ないと思われる、日野郡の3町で移動運用を計画しました。

最近のHF帯は電波伝搬のコンディションが悪く、昼間に7MHz帯の近距離が聞こえないことが多くあります。その場合、3.5MHz帯では近距離が安定して入感します。また、油断していると突然10MHz帯で国内の近距離が聞こえることもあります。そこで、アンテナを切り替えて、それぞれの周波数帯に素早くQSYできると便利です。

今回の移動運用では、アイコム製のアンテナチューナーAH-4を使って、周波数帯の切り替えが簡単にできるアンテナを新たに製作しました。その概要についても説明します。

江府町での運用

日野郡3町のうち、米子自動車道から最も近い町が江府町です。江府ICの出口につながる長く曲がりくねった道を下ると、山に囲まれた市街地に到着します。

運用場所は、インターネット上の航空写真で探しておいた公園に決めていました(写真1)。現地に行ってみると、この公園はかなりの谷底にあり、特に南側は断崖絶壁に近いロケーションでした。HF帯では、上空の電離層に電波が届けば遠方と交信できるので、新しいアンテナの実力を確かめる意味も含めて、この場所で運用することにしました。


写真1 江府町での運用の様子

7MHz CWで運用を開始すると、早速のパイルアップになり、7MHz帯だけで97局から呼ばれました。SメーターでS9より強い局も何局か見受けられました。やはり、モービルアンテナ等の短いアンテナと違って、全長7mのアンテナは効率が良いようです。10MHz帯や3.5MHz帯で運用したい時にも寒い車外に出る必要は無く、TUNERボタンを押すだけでQSYができました。

日野町での運用

江府町から西に進むと日野町に入ります。周りの地形を見ると次第に山が険しくなり、平地が少なくなります。ここは市街地に近い駐車スペースを利用しました(写真2)。


写真2 日野町での運用の様子

日野町に着いてからも、7MHzのコンディションは良さそうだったので、7MHz CWから開始すると1時間足らずで100局を超える大盛況になりました。コンディションが良かったこと、運用局が少なく需要が多いことに加えて、アンテナの性能が良いことも大きく影響しているようです。10MHz帯では1エリアが聞こえており、2時間足らずの間に延べ157局と交信できました。

運用を終えて、近くのコンビニエンスストアで買い物を済ませて時計を見ると、運用終了から4分しか経っておらず、時計が遅れているかと思いました。しかし、時計は合っていました。アンテナの撤収に要する時間が予想よりはるかに短く、1分ほどで済んでしまったようです。

日南町での運用

日南町は広い平地が少なく、何とか見つけた駐車スペースも周囲は山に囲まれています。1月は日没が早く、暗くなって運用場所探しも難しくなり、写真も撮りにくい状況になりました。

日没が近くなり、7MHz CWは近距離がスキップするだろうと半分あきらめモードで出てみると、コンディションが悪い時には信号がカスカスになるはずの2エリアや6エリアが強力に聞こえており、30分近くもパイルアップが続きました。3.5MHz帯は非常に強力で、Sメーターが+20dB以上まで振れることもありました。3.5MHz帯のダイポールアンテナは水平方向に長さ40m、このアンテナは垂直方向に長さ7mで、性能的にはダイポールアンテナには及ばないはずですが、ダイポールアンテナを使っているかのような信号の聞こえ方でした。

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次号は 12月 1日(木) に公開予定

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