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日本全国・移動運用記

第93回 大型連休の北海道移動(前編)

JO2ASQ 清水祐樹

2023年6月1日掲載

今年も、大型連休に北海道での移動運用を計画しました。行き帰りのフェリーに加えて、現地で9泊10日に及ぶ長期間の移動運用です。その様子を2回に分けてお送りします。

移動運用の計画

最近の移動実績が無いエリアとして、幌泉郡えりも町、積丹半島方面、そして二海郡八雲町を含めるルートを計画しました(図1)。運用場所は、運用のリクエストだけでなく、宿泊地、カレンダー上の平日、渋滞回避などを総合的に考慮して決めています。


図1 移動運用のルート

使用した設備

HF帯のアンテナは、この連載で何度も紹介している(最近では2023年4月号)ワイヤー付き釣竿とオートマチックアンテナチューナーの組み合わせを主に使いました。アンテナチューナーを車の屋根に置くだけで、アンテナチューナーの底面に取り付けたアルミ板が車のボディーと容量結合してアースとして動作し、車にキズを付けることありません。釣竿は7mまたは8mのカーボンファイバー製を使用しています。

北海道の海岸では、真っ直ぐ歩けなかったり、風上に向けて車のドアを開けることが困難になったりするほどのものすごい強風になることがあります。強風時に、長い釣竿や伸縮ポールを伸ばそうとすると、横風でかなり強い力を受けて、8mの釣竿では伸縮が困難になります。7mの釣竿では、強風時でも伸縮が可能なため、強風時には7m、無風時には8mを使い分けています。

オートマチックアンテナチューナーと釣竿アンテナの組み合わせで使用する釣竿は、長いほど良いとは限らず、長さの適・不適があります。例えば10mの釣竿では、14MHzで1/2波長になるためチューニングが困難です。7m・8mの釣竿のいずれも、1/2波長の整数倍になるアマチュアバンドが無く、3.5~50MHz帯の全てのバンドでチューニングできます。1.9MHz帯で使用するための外付けコイルは、2020年3月号をご参照ください。

7mと8mの竿を比較すると、1.9~7MHz帯では8mの方が少し強いと感じるものの、10~50MHz帯では明確な差は感じませんでした。受け取ったhQSLで空中線電力を拝見すると、7mの釣竿でも7MHz CWで出力5Wや10Wの局と十分な強さでQSOできており、強風時の運用は7mの釣竿で十分と考えています。

4月28~29日(1~2日目) 厚真町からえりも町へ

フェリーは厚真町に到着しました。そこから南東に進んで、えりも町方面に向かいます。天気は良好で、気温はあまり下がりませんでした。厚真町の公園で運用した後、新冠(にいかっぷ)町で深夜に1.9MHz帯と3.5MHz帯を中心に運用した後、明け方から7MHz帯から高い周波数への運用を再開しました。

これまでの運用経験から、4月29日にはEスポが発生する確率は低く、そこから1週間ほどの間に強力なEスポが出現する傾向があります。今年の4月29日もEスポの発生は無く、昼間の1エリアは7~14MHz帯、6エリアは10~18MHz帯が強力に入感して、それ以外の周波数はほぼ聞こえない、オンとオフがはっきりした伝搬でした。


写真1 新ひだか町の運用場所の様子

新冠町からは南東に進んで、新ひだか町・浦河町・様似(さまに)町と運用しました。今年は特に7MHzの調子が良い感じで、4か所の運用で早速1,000QSOを記録しました。夜には雨が降り始めて、えりも町に到着した頃には風も強くなりました。

4月30日(3日目) えりも町から帯広へ

朝は風雨が強く、路面の状況を確認しながら各バンドを運用しました。伝搬のコンディションは前日とあまり変わらず、7~18MHz帯が主になりました。風雨は次第に弱まってきたものの、広尾町に移動すると濃霧で数100m先が見えない状態でした(写真2)。濃霧といっても電波の飛びには影響が無く、ひたすらコンディションの上昇を待つばかりとなりました。


写真2 広尾郡広尾町での運用の様子。昼間にもかかわらず、濃霧で視界不良

隣の大樹町に向けて、約25kmを移動する途中で天気が急激に回復し、視界は良好になりました。時間の経過だけでなく、海から離れたことで気象条件が大きく変化したことも影響したようです。しかし、Eスポの気配は相変わらず感じられませんでした。夜にはローバンドのリクエストがあった帯広市の広い河川敷で運用しました。

5月1日(4日目) 帯広市の西側へ

5月1日はカレンダーでは平日なので、珍しい場所での運用予定は入れないように配慮しました。帯広市の周辺の市町村で、最近の運用実績が少ない西側を回ることにしました。芽室町では堤防上の空きスペースで運用しました(写真3)。天気は良かったものの風が強く、畑では強風で土が舞い上がっていました。清水町、新得町、鹿追町と隣接する町で運用しましたが、伝搬のコンディションは思うように上がってきませんでした。

その後、北広島市に向けて移動する途中で、勇払郡(胆振)安平町のインターチェンジで降りて運用したところ、日没後の方がコンディションが良かったようで、各バンドとも猛烈なパイルアップになりました。


写真3 芽室町の運用場所の様子

5月2日(5日目) 北広島市から札幌市へ

天気は非常に良く、風も弱くなりました。北広島市の公園で運用を開始すると、伝搬のコンディションが非常に悪く、朝方に強力に入感するはずの10MHz帯ですら、ほとんど聞こえませんでした。平日で、特に珍しいQTHでは無いことを差し引いても、CQが空振り連発する状態で、交信するには困難を極めました。

その後、札幌市に入り、白石区、豊平区、西区の公園の駐車場で運用しました(写真4)。札幌市内は渋滞が激しく、豊平区から西区への移動は高速道路を利用しました。ここまでEスポの発生はみられず、QSO数が予想を下回る厳しい展開になりました。


写真4 札幌市白石区の運用場所の様子

(次号に続く)

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