Monthly FB NEWS 月刊FBニュース 月刊FBニュースはアマチュア無線の電子WEBマガジン。ベテランから入門まで、楽しく役立つ情報が満載です。

日本全国・移動運用記

第75回 岩手県釜石市移動

JO2ASQ 清水祐樹

こちらの記事を印刷する(PDF 形式)

岩手県の沿岸部は、市町村の面積が広く移動に時間がかかるため、これまでは長期の休みを利用して移動運用に出掛けていました。今回は趣向を変えて、釜石市を中心とした6市町で、花巻空港を利用して、11月6~7日の1泊2日で移動運用を計画しました。

花巻空港から、レンタカー移動セットを使用

使用する無線機は、いつものようにIC-7300MとIC-9700で、機材は宅配便で現地に送付しておき、レンタカーに設置しました(写真1)。アンテナは長さ8mのビニル線付き釣竿と、アース板付きオートアンテナチューナー(AH-4)を使用しました。釣竿を伸ばしてタイヤベースに差し込み、車の屋根にアンテナチューナーを置いてビニル線を接続するだけで、すぐに運用できます。詳しくは2021年4月号の記事で解説しています。



写真1 レンタカーに機材を設置した様子と、車の屋根に置いたアース板付きAH-4(オートアンテナチューナー)

1日目 花巻市-奥州市-気仙郡住田町

花巻市は、花巻空港に隣接する公園で運用しました(写真2)。まず、伝搬のコンディションの様子を見るため、7MHz CWから開始しました。信号強度は良くも悪くもなくといった感じでした。10MHz帯に上がると、西日本が強力に入感しており、14MHz帯でも交信できました。他のバンドを気にしながらも、7MHz帯と10MHz帯で多くの局から呼ばれて時間が無くなったので、次の場所に移動しました。


写真2 花巻市での運用の様子

続いては奥州市です。サテライト通信に適した、周囲に山や建物が少ない開けた場所を探しました(写真3)。自動車専用道路のインターチェンジの近くに、地図に名称が載っていないグラウンドを発見しました。ここではHF帯のリクエストが少なかったので、サテライトの運用が主な目的です。しかし、14MHz CWは、短時間の運用でありながらも、コンディションが上がったため7局と交信できました。


写真3 奥州市での運用の様子

気仙郡住田町は山間部にあり、運用場所の確保が難しい町です。奥州市の運用場所から、住田町の中心部までは約40kmの距離があります。移動の途中で衛星が来てしまったので、道端の駐車スペースで臨時にサテライト通信運用を行いました。しかし、山に囲まれていて衛星からの信号が聞こえる時間は短く、呼んできた全ての局とは交信できなかった様子でした。

住田町の中心部にある公園に到着しました(写真4)。この場所も、南西側に山があり、ロケーションは良いとは言えません。早速、10MHz帯から運用を始めると、15時台で日没が近づきつつある時間帯にもかかわらずパイルアップになり、続いて14MHz帯でも交信できました。しかし、18MHz帯から高い周波数は全く聞こえませんでした。

日没を過ぎると、通常は3.5MHz帯、続いて1.9MHz帯で多くの局が聞こえるようになります。しかし、この日はコンディションが悪く、日没後は各局の信号が弱くなり、CQを10分ほど空振りすることもありました、持ってきたアンテナは1種類しかなく、アンテナを増設するなどの手段も無いため、あきらめて運用を終了しました。


写真4 住田町での運用の様子

2日目 釜石市-上閉伊郡大槌町-遠野市

2日目は、釜石市で運用を開始しました。市街地は平地が非常に少なく、駐車スペースを確保することが困難です。そこで、市の北部にある、ラグビーワールドカップ2019が開催されたことで知られる鵜住居(うのすまい)地区での運用を考えました。行ってみると、きれいに整備された広い公園がありました(写真5)。


写真5 釜石市での運用の様子

この場所も、海岸に近いにもかかわらず、山がすぐ近くにあります。午前5時半ではまだ暗く、周辺の状況は見えません。暗さに目が慣れて、山の方角・高さがサテライト通信に大きく影響しないことを目視で確認してから、運用を開始しました。最初は1.9MHz帯から運用を開始しました。アンテナが簡易型のため、さすがに西日本各局の信号は弱く感じますが、コンディションは前夜よりも良く、交信できた最も遠くの局は長崎県でした。太陽が昇って完全に明るくなった頃から7MHz帯に出ると、順調に呼ばれ続けて61局と交信できました。しかし、10MHz帯は信号が弱く、限られた時間で上乗せは難しいと判断し、次の運用場所に向かいました。

上閉伊郡大槌町は、海岸に近い駐車場を利用しました(写真6)。ここは需要が多いようで、10MHz CWで45局、7MHz CWで77局と長時間のパイルアップが続き、14MHz帯を運用する時間がありませんでした。


写真6 大槌町での運用の様子

大槌町から遠野市までの50km近い距離を移動し、山間部から離れた、市街地に近い運動公園で運用しました(写真7)。ここではコンディションが良く、18MHz帯で11局と交信できました。しかし、21MHz帯から高い周波数は聞こえませんでした。また、1.9MHz帯では、まだ明るい14時台に2局と交信できました。日没で暗くなる前に、花巻空港の近くに移動して撤収作業が完了できるよう、15時に運用を終了しました。


写真7 遠野市での運用の様子

結果

QTHごと、1時間ごとのQSO数を図1に示します。HF帯の伝搬のコンディションは全般的に低調で、18MHz帯は7日の13時台に交信できたのみで、21MHz帯よりも高い周波数帯では交信できませんでした。他のバンドも、特に6日は交信のペースが上がらず、1.9MHz帯は6日夕方よりも、7日早朝のQSO数が多い結果になりました。


図1 各市町村、1時間ごとのQSO数。サテライトはCW/SSB、その他のバンドはCW。これ以外に、D-STARのレピータ(岩手滝沢430)経由で4QSO。

日本全国・移動運用記 バックナンバー

2021年12月号トップへ戻る

次号は 12月 1日(木) に公開予定

サイトのご利用について

©2024 月刊FBニュース編集部 All Rights Reserved.